お祭りマンボ／美空ひばり

(わたしのとなりのおじさんは)

私の隣りの　おじさんは

(かんだのうまれでちゃきちゃきえどっこ)

神田の生まれで　ちゃきちゃき　江戸っ子

(おまつりさわぎがだいすきで)

お祭り騒ぎが　大好きで

(ねじりはちまきそろいのゆかた)

ねじり鉢巻　揃いの浴衣

(あめがふろうがやりがふろうが)

雨が降ろうが　槍が降ろうが

(あさからばんまでおみこしかついで)

朝から晩まで　お神輿　担いで

(わっしょいわっしょい)

わっしょい　わっしょい

(わっしょいわっしょい)

わっしょい　わっしょい

(けいきをつけろしおまいておくれ)

景気をつけろ　塩　撒いておくれ

(わっしょいわっしょいわっしょいわっしょい)

わっしょい　わっしょい　わっしょい　わっしょい

(そーれそれそれおまつりだ)

そーれ　それそれ　お祭りだ

(おじさんおじさんたいへんだ)

おじさん　おじさん　大変だ

(どこかではんしょうがなっている)

どこかで　半鐘が鳴っている

(かじはちかいよすりばんだ)

火事は近いよ　スリバンだ

(なにをいってもわっしょいしょい)

何を言っても　わっしょいしょい

(なにをきいてもわっしょいしょい)

何を聞いても　わっしょいしょい

(わっしょいわっしょいわっしょいわっしょい)

わっしょい　わっしょい　わっしょい　わっしょい

(そーれそれそれおまつりだ)

そーれ　それそれ　お祭りだ

(そのまたとなりのおばさんは)

そのまた隣りの　おばさんは

(あさくさそだちでちょっぴりびじんで)

浅草育ちで　ちょっぴり美人で

(おまつりさわぎがだいすきで)

お祭り騒ぎが　大好きで

(いきなすあしにしぼりのゆかた)

粋な素足に　絞りの浴衣

(あめがふろうがやりがふろうが)

雨が降ろうが　槍が降ろうが

(あさからばんまでおかぐらけんぶつ)

朝から晩まで　お神楽見物

(ぴーひゃらぴーひゃら)

ぴーひゃら　ぴーひゃら

(てんつくてんつく)

てんつく　てんつく

(おかめとおにがはんにゃとひょっとこが)

おかめと鬼が　般若とひょっとこが

(ぴーひゃらぴーひゃらてんつくてんつく)

ぴーひゃら　ぴーひゃら　てんつく　てんつく

(そーれそれそれおまつりだ)

そーれ　それそれ　お祭りだ

(おばさんおばさんたいへんだ)

おばさん　おばさん　大変だ

(おうちはるすだよからっぽだ)

お家は留守だよ　空っぽだ

(こっそりあきすがねらってる)

こっそり　空き巣が　狙ってる

(なにをいってもぴーひゃらひゃ)

何を言っても　ぴーひゃらひゃ

(なにをきいてもてんつくつ)

何を聞いても　てんつくつ

(ぴーひゃらぴーひゃらてんつくてんつく)

ぴーひゃら　ぴーひゃら　てんつく　てんつく

(そーれそれそれおまつりだ)

そーれ　それそれ　お祭りだ

(おまつりすんでひがくれて)

お祭り　済んで　日が暮れて

(つめたいかぜのふくよるは)

冷たい風の　吹く夜は

(いえをやかれたおじさんと)

家を焼かれた　おじさんと

(へそくりとられたおばさんの)

へそくり　盗られた　おばさんの

(ほんにせつないためいきばかり)

ほんに切ない　溜め息ばかり

(いくらないてもかえらない)

いくら泣いても　返らない

(いくらないてもあとのまつりよ)

いくら泣いても　後の祭りよ