プラトーの花

(ぷらとーのはなとよばれたおんながいた)

「プラトーの花」と呼ばれた女がいた

(かれんなはなうりみなからすかれていた)

可憐な花売り　皆から好かれていた

(やすらぎみちびくえがおはまさにてんし)

やすらぎ導く笑顔は　まさに天使

(かのじょがしょうふだったことをしるものはこのまちにいなかった)

彼女が娼婦だったことを知る者はこの町にいなかった

(わかきりょうしゅがかのじょをみそめたとき)

若き領主が彼女を見初めたとき

(だれもがよろこびかのじょをしゅくふくした)

誰もが喜び　彼女を祝福した

(ふたりのすえながいしあわせねがったのさ)

二人の末永い幸せ　願ったのさ

(かのじょがしょうふだったことをしるものはこのまちにいなかった)

彼女が娼婦だったことを知る者はこの町にいなかった

(ゆいのうのぜんじつにおとこはまちにあらわれた)

結納の前日に　男は町に現れた

(おんなにきせいするみにくいげひんなけだもの)

女に寄生する　醜い下品なケダモノ

(ひみつをしるものかのじょのかこをしるもの)

秘密を知る者　彼女の過去を知る者

(はなはきれいでなくてはならない)

――花は綺麗でなくてはならない――

(はなはきれいでなくてはならない)

――花は綺麗でなくてはならない――

(さんねんのときがたちしょうねんはまちにあらわれた)

三年の時がたち　少年は町に現れた

(ははおやのあいじょうをもとめたたとえそのひとが)

母親の愛情を求めた　たとえその人が

(じぶんをうみすてたおろかなしょうふだとしても)

自分を産み捨てた　愚かな娼婦だとしても

(はなはきれいでなくてはならない)

――花は綺麗でなくてはならない――

(はなはきれいでなくてはならない)

――花は綺麗でなくてはならない――

(ぷらとーのはなはしあわせそれでいいじゃないか)

「プラトーの花」は幸せ　それでいいじゃないか

(いどのそこうめられたにまいのかれはのことなど)

井戸の底埋められた　二枚の枯葉のことなど

(きにとめちゃいけないきにとめるひつようなどない)

気に留めちゃいけない　気に留める必要などない

(はなはきれいでなくてはならない)

――花は綺麗でなくてはならない――

(はなはきれいでなくてはならない)

――花は綺麗でなくてはならない――

(かのじょがしょうふだったことをしるものはこのまちにはいない)

彼女が娼婦だったことを知る者はこの町にはいない

(かのじょがしょうふだったことをしるものはぼくいがいにいない)

彼女が娼婦だったことを　知る者は僕以外にいない……