ミスター

(しんぐるさいずのへやでひとりきり)

シングルサイズの部屋で一人きり

(おもいだすのはあなたとのくらし)

思い出すのはあなたとの暮らし

(ものがたりのぶたいはびるがむれる)

物語の舞台はビルが群れる

(だいとかいをとおくにみるうみべのまち)

大都会を遠くに見る海辺の街

(はじめてあったひのことだって)

初めて会った日のことだって

(いまもまだちゃんとおぼえてる)

今もまだちゃんと覚えてる

(ふぉーまるなしゃつ)

フォーマルなシャツ

(じゃけっとがすこしふにあいなあなた)

ジャケットが少し不似合いなあなた

(ことばかずはすくなくていつもきびしくて)

言葉数は少なくて いつも厳しくて

(しかられてばかりで)

叱られてばかりで

(きかいじかけのこころを)

機械仕掛けの心を

(むりょくさがつつんでいったでも)

無力さが包んでいった でも

(あなたをしりたくて)

あなたを知りたくて

(なにもかもしっていたくて)

何もかも知っていたくて

(だけどおしえてなんて)

だけど教えてなんて

(いえずにひとりそっとよるにいのる)

言えずに一人 そっと夜に祈る

(すこしでもわかりたくて)

少しでも分かりたくて

(そんなひびをくりかえした)

そんな日々を繰り返した

(それでもときおりみせてくれた)

それでも時折見せてくれた

(おだやかなあのひょうじょうも)

穏やかなあの表情も

(いちどだけうかべたなみだも)

一度だけ浮かべた涙も

(かくしきれずにこぼれていた)

隠し切れずに溢れていた

(やさしさだった)

優しさだった

(あのひもそうだった)

あの日もそうだった

(あれはふたりさいごのおもいで)

あれは二人最後の思い出

(くらやみでこのてをにぎりかえして)

暗闇でこの手を握り返して

(わらってくれたあなたはもういない)

笑ってくれた あなたはもういない

(いまでもききたくて)

今でも聴きたくて

(もういちどきかせてほしくて)

もう一度聴かせて欲しくて

(やさしくてぶきような)

優しくて不器用な

(あなたのこえをきびしいことばを)

あなたの声を 厳しい言葉を

(なんてねがうこのきもちは)

なんて願うこの気持ちは

(どんななまえなんですか)

どんな名前なんですか

(またいつもとおなじように)

またいつもと同じように

(わたしのことしかってよみすたー)

私のこと叱ってよミスター