夜陰口遊は

(よるのとばりがおりてしぜんに)

夜の帳が降りて自然に

(かげはきえうせとけこむ)

影は消え失せ溶け込む

(くらやみのなかしかいとざされ)

暗闇の中視界閉ざされ

(こえをたよりにすすむものよ)

声を頼りに進む者よ

(ああいつからだろうね)

ああ…　何時からだろうね

(よるがこんなにふあんになるのは)

夜がこんなに不安になるのは

(だれかがみてるふいにこえがして)

誰かが見てる？ふいに声がして

(うしろふりかえってもなにもいない)

後ろ振り返っても何もいない

(つきのあかりもとどかぬこんな)

月の明かりも届かぬこんな

(しんのよるほどきこえるいるはずのない)

真の夜ほど聞こえる　いる筈の無い

(なにかをしらせるみみにひびくせんりつが)

何かを知らせる耳に響く旋律が

(ころばぬようにそしてふりかえらぬよう)

転ばぬようにそして振り返らぬよう

(あゆみいそげばさらなるこえが)

歩み急げば更なる声が

(うたがこころをわしづかんでるたえぬせんりつ)

歌が心を鷲掴んでる絶えぬ戦慄

(そうあれはおさないひ)

そう…　あれは幼い日

(やみよをいくみちのあとをおう)

闇夜を行く道の後を追う

(ものへのことばわすれてはだめと)

存在への言葉忘れては駄目と

(つよくいわれていたはずなのに)

強く言われていた筈なのに

(なにかがそこにいずることのよちょうだと)

何かがソコに出ずることの予兆だと

(しったそのときすがたはないが)

知ったその時姿は無いが

(あたまにひびくうたごえはずっととまらない)

頭に響く歌声はずっと止まらない

(みみをふさいではしりつづけたみえぬものからのがれたい)

耳を塞いで走り続けた見えぬモノから逃れたい

(あしをもつらせころぶわたしにおおいかぶさるくろいかげは)

足をもつらせ転ぶ私に覆い被さる黒い影は…

(あのひやくそくをしたの)

あの日　約束をしたの

(してはいけなかったのに)

シテハイケナカッタノニ

(よるのとばりがおりてしぜんに)

夜の帳が降りて自然に

(かげはきえうせとけこむ)

影は消え失せ溶け込む

(くらやみのなかしかいとざされ)

暗闇の中視界閉ざされ

(こえをたよりにすすもうとみみをすますと)

声をたよりに進もうと耳を澄ますと

(こんなよなかにきこえてくるわうたごえ)

こんな夜中に聞こえてくるわ歌声

(さわぎたてずにこころおちつけ)

騒ぎ立てずに心落ち着け

(きいたとおりにとなえるのそれですべてが)

聞いたとおりに唱えるのそれですべてが

(うまくいくはずなにごともなくいちにち)

上手く行く筈何事も無く一日

(おわらせることできたはずなのに)

終わらせること出来た筈なのに

(それがどうしてこんなこと)

それがどうして？こんな事

(つきのあかりもとどかぬこんな)

月の明かりも届かぬこんな

(しんのよるよりくらくてどこともしれぬ)

真の夜より暗くて何処とも知れぬ

(ふちのみぎりへうちそわれては)

不知の砌へ打ち添われては

(もうもどれない)

もう戻れない