鏡-1-

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師匠シリーズ
マイタイピングに師匠シリーズが沢山あったと思ったのですが、なくなってまっていたので、作成しました。

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問題文

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(だいがくいっかいせいのふゆ。)

大学1回生の冬。

(だいがくにはいってからでいりするようになったねっとの)

大学に入ってから出入りするようになったネットの

(じもとけいおかるとふぉーらむのおふかいにでたときのこと。おふかいとはいっても、)

地元系オカルトフォーラムのオフ会に出たときのこと。オフ会とは言っても、

(あつまっていざかやでのむていどのものもあればでぃーぷなめんばーによる)

集まって居酒屋で飲む程度のものもあればディープなメンバーによる

(ひみつのかいごうのようなものもあった。そのひもじゅうにんほどのにんげんがあつまって)

秘密の会合のようなものもあった。その日も10人ほどの人間が集まって

(しろきやでおかるとばなしをさかなにのんだあと、しゅようめんばーだけがよふけに)

白木屋でオカルト話を肴に飲んだ後、主要メンバーだけが夜更けに

(りーだーかくのじょせいのへやにつどったのだった。そのりーだーかくのじょせいとは)

リーダー格の女性の部屋に集ったのだった。そのリーダー格の女性とは

(coloさんというひとで(なぜかひんぱんにはんどるねーむをかえるので)

Coloさんという人で(なぜか頻繁にハンドルネームを変えるので

(そのときほんとうにcoloだったかはじしんがない)、おれのおかるとどうのししょうの)

そのとき本当にColoだったかは自信がない)、俺のオカルト道の師匠の

(かのじょでもあったひとだったのでみょうにかわいがられ、じゃくはいのおれもこい)

彼女でもあった人だったので妙に可愛がられ、若輩の俺も濃い

(しゅようめんばーのあつまりにまぜてもらうことがよくあったのだ。)

主要メンバーの集まりに混ぜてもらうことがよくあったのだ。

(ひみつのかいごうではこうれいじっけんまがいのことをすることもあったが、)

秘密の会合では交霊実験まがいのことをすることもあったが、

(そのひはいちじかいのながれのままcoloさんのへやでだらだらとさけをのんでいた。)

その日は1次会の流れのままColoさんの部屋でダラダラと酒を飲んでいた。

(やましたさんというおとこのせんぱいが「つかれてくるとにんげんのかおがよんぱたーんしか)

山下さんという男の先輩が「疲れてくると人間の顔が4パターンしか

(みえなくなくなる」というふしぎなげんしょうにまつわるこわいはなしを)

見えなくなくなる」という不思議な現象にまつわる怖い話を

(していたところまではおぼえている。ゆさぶられてめをさましたとき、)

していたところまでは覚えている。揺さぶられて目を覚ましたとき、

(へやにはさんにんしかいなかった。coloさん、みかっちさんというじょせいじんにおれ。)

部屋には3人しかいなかった。Coloさん、みかっちさんという女性陣に俺。

(「かがみうらないにいこう」まだかくせいしていないあたまに、じつにしんぷるなこうぶんが)

「鏡占いに行こう」まだ覚醒していない頭に、実にシンプルな構文が

(すべりこんできた。なんでもしないにあたらしいうらないのみせがおーぷんしたのだが、)

滑り込んできた。なんでも市内に新しい占いの店がオープンしたのだが、

(それがいっぷうかわった「かがみをつかったうらない」をしているのだそうだ。)

それが一風変わった「鏡を使った占い」をしているのだそうだ。

など

(おもわずうでどけいをみたが、たんしんはじゅうにじをまわっていた。)

思わず腕時計を見たが、短針は12時を回っていた。

(しかしふたりはだいじょうぶ、だいじょうぶ、まだやってるというのである。)

しかし二人は大丈夫、大丈夫、まだやってるというのである。

(せんめんじょをかりてかおだけあらっていると、coloさんがそばにやってきて)

洗面所をかりて顔だけ洗っていると、Coloさんがそばにやってきて

(こういった。「こまってることがあるんでしょう。そのみせのかがみのなかには、)

こう言った。「困ってることがあるんでしょう。その店の鏡の中には、

(こんなんのしょうたいがうつるんだって」こまっていること。たしかにある。)

困難の正体が映るんだって」困っていること。たしかにある。

(coloさんやおふかいのめんばーにはいっていないが、そのころおれはある)

Coloさんやオフ会のメンバーには言っていないが、そのころ俺はある

(じょせいにからむやっかいごとのただなかにいた。)

女性に絡むやっかいごとの只中にいた。

(れいかんのつよいひとにたてつづけにであったせいかしんれいげんしょうには)

霊感の強い人に立て続けに出会ったせいか心霊現象には

(よくそうぐうするようになっていたのだが、いじょうなにんげんのほうが)

よく遭遇するようになっていたのだが、異常な人間のほうが

(はっきりいってたちがわるい。そのじょせいは、しんじがたいことに)

はっきり言ってたちが悪い。その女性は、信じがたいことに

(しないのこうこうで「どうきゅうせいのちをすう」というじけんをおこして)

市内の高校で「同級生の血を吸う」という事件を起こして

(ていがくになったことがあるという。)

停学になったことがあるという。

(きょうみをもってかのじょのことをしらべてまわっていたのがふきょうをかったのか、)

興味をもって彼女のことを調べてまわっていたのが不興を買ったのか、

(そのころみのまわりにふかしぎなできごとがたてつづいておきていた。)

そのころ身の回りに不可思議な出来事が立て続いて起きていた。

(もちろんかのじょとかんけいがあるとはかぎらない。)

もちろん彼女と関係があるとは限らない。

(しかしさいあくのじたいをそうていしてせいかつするのはおくびょうものにとってとうぜんだ。)

しかし最悪の事態を想定して生活するのは臆病者にとって当然だ。

(おれはしりあいにもらったまよけのたりすまんなるものまで)

俺は知り合いにもらった魔除けのタリスマンなるものまで

(はだみはなさずもっていた。coloさんはなにをかんがえているのかわからない)

肌身離さず持っていた。Coloさんは何を考えているのかわからない

(どくとくのひょうじょうで、「たぶん、ほんものだから」といった。)

独特の表情で、「たぶん、本物だから」と言った。

(coloさんはかんがするどい。だいがくのさーくるのせんぱいでもあるおれのおかるとどうの)

Coloさんは勘が鋭い。大学のサークルの先輩でもある俺のオカルト道の

(ししょうには、そのやっかいごとをつたえていたが、)

師匠には、そのやっかいごとを伝えていたが、

(こいびとをまきこみたくないのかししょうはcoloさんにはおしえてないはずだった。)

恋人を巻き込みたくないのか師匠はColoさんには教えてないはずだった。

(はずなのに、なにかかんづいているようなけはいがしていた。)

はずなのに、なにか勘づいているような気配がしていた。

(さんにんでつれだってまんしょんのいっしつをでるとそとはやたらさむく、)

3人で連れ立ってマンションの一室を出ると外はやたら寒く、

(おれはかえりませんかとなんどかいったがじょせいふたりがのりのりだったため)

俺は帰りませんかと何度か言ったが女性二人がノリノリだったため

(むしされ、はんかがいのほうへずんずんとほをすすめていった。)

無視され、繁華街のほうへずんずんと歩を進めていった。

(ところが、そのとじょうでみかっちさんのphsがなり、みかっちさんは)

ところが、その途上でみかっちさんのPHSが鳴り、みかっちさんは

(でんわぐちでなにごとかわめいたかとおもうとはしってどこかにいってしまった。)

電話口で何事かわめいたかと思うと走ってどこかに行ってしまった。

(おれはめんくらうとともにどこかほっとして、「ふたりになったし、)

俺は面くらうとともにどこかほっとして、「二人になったし、

(かえりましょう」といった。しかしcoloさんはくびをふると「きなさい」と)

帰りましょう」と言った。しかしColoさんは首を振ると「来なさい」と

(うむをいわせぬくちょうでおれをうながした。)

有無を言わせぬ口調で俺を促した。

(しんやいちじちかくになっていたが、まだあかりのきえないはなやかな)

深夜1時近くになっていたが、まだ明かりの消えない華やかな

(とおりからすこしはずれて、うすぐらいうらどおりをすすむと「がくせいろーん」と)

通りからすこし外れて、薄暗い裏通りを進むと「学生ローン」と

(かかれたかんばんのあるちいさなびるのまえにたちどまった。)

かかれた看板のある小さなビルの前に立ち止まった。

(うらないのみせらしきかんばんもでていないが、coloさんはここだという。)

占いの店らしき看板も出ていないが、Coloさんはここだと言う。

(そしてちかへのびるかいだんをずんずんとおりていくのだった。)

そして地下へのびる階段をずんずんと降りて行くのだった。

(ちかには「うらない」とだけかかれたあやしげなどあがあり、)

地下には「占い」とだけかかれた怪しげなドアがあり、

(coloさんはちゅうちょなくおしあけておれをてまねきするのだった。)

Coloさんは躊躇なく押し開けて俺を手招きするのだった。

(うすぐらいてんないにはひとのけはいがなく、あつでのくろいぬのでしゃへいされた)

薄暗い店内には人の気配がなく、厚手の黒い布で遮蔽された

(かうんたーらしきところに、ひとのてがみえたしゅんかんはおもわずびくっとした。)

カウンターらしきところに、人の手が見えた瞬間は思わずビクッとした。

(coloさんがそのぬのごしになにかはなしかけると、しろいてはみせのおくを)

Coloさんがその布越しになにか話しかけると、白い手は店の奥を

(ゆびさししたかとおもうとすぅっときえるようにひっこんでいった。)

指差したかと思うとスゥっと消えるように引っ込んでいった。

(せまいてんないはくろでとういつされ、てんじょうのしょうめいもくろいぬのでおおわれていたので)

狭い店内は黒で統一され、天井の照明も黒い布で覆われていたので

(めがなれるまでははなをつままれてもとっさにはわからなかったかもしれない。)

目が慣れるまでは鼻を摘ままれてもとっさにはわからなかったかもしれない。

(「こっち」とcoloさんがおれのてをつかんでひっぱり、みせのおくへとむかった。)

「こっち」とColoさんが俺の手をつかんで引っ張り、店の奥へと向かった。

(おくにはくろいぬのでかくされるようにしてどあがぽつんとあり、)

奥には黒い布で隠されるようにしてドアがぽつんとあり、

(きれめのはいったあつでのきじをかきわけるようになかを)

切れ目の入った厚手の生地を掻き分けるように中を

(のぞきこんだかとおもうと、coloさんは「ここ」といっておれをうながすのだった。)

覗き込んだかと思うと、Coloさんは「ここ」と言って俺を促すのだった。

(ながされるようにここまできてしまったが、なんだかすべてがうすきみわるい。)

流されるようにここまで来てしまったが、なんだかすべてが薄気味悪い。

(「こんなんのしょうたいがうつるかがみ」そんなものがほんとうにあるんだろうか。)

『困難の正体が映る鏡』そんなものが本当にあるんだろうか。

(とはおもわなかった。そんなものをみていいんだろうか。そうおもったのだった。)

とは思わなかった。そんなものを見ていいんだろうか。そう思ったのだった。

(おれはcoloさんにおしこまれるようにどあのなかへはいった。)

俺はColoさんに押し込まれるようにドアの中へ入った。

(なかはさっきまでよりもくらい。)

中はさっきまでよりも暗い。

(はいごではきれめのはいったぬのがいりぐちをふさぐようにばさばさと)

背後では切れ目の入った布が入り口を塞ぐようにバサバサと

(もとにもどるおとがした。くらくても、へやがせまいことはちょっかんでわかる。そのいちばんおくに)

もとに戻る音がした。暗くても、部屋が狭いことは直感でわかる。その一番奥に

(ひとかげがみえた。びくびくしながらちかづくと、やはりそれはおれだった。)

人影が見えた。ビクビクしながら近づくと、やはりそれは俺だった。

(きょうめんであることをかくにんしようとしててをのばそうとするが、)

鏡面であることを確認しようとして手を伸ばそうとするが、

(いっしゅんあたまがくらくらするようなかんかくがして、それをすることはためらわれた。)

一瞬頭がくらくらするような感覚がして、それをすることは躊躇われた。

(なにか、せつめいしがたいいわかんのようなものがあった。)

なにか、説明しがたい違和感のようなものがあった。

(「こんなんのしょうたい」それはじぶんじしんだ。)

『困難の正体』それは自分自身だ。

(そんなことをさとらせるためのみせなのだろうかと、ふとおもった。)

そんなことを悟らせるための店なのだろうかと、ふと思った。

(ぜんしんがうつっているおおきなかがみのなかのうでどけいにめをおとすと、)

全身が映っている大きな鏡の中の腕時計に目を落とすと、

(たんしんはいちじのあたりをさしていた。そのときである。)

短針は1時のあたりをさしていた。そのときである。

(あたまのなかにくぐもったようなみみなりがかすかにひびきはじめた。まずい。)

頭の中にくぐもったような耳鳴りがかすかに響き始めた。まずい。

(そのおとが、しんぞうをはやがねのようにみだれさせる。)

その音が、心臓を早鐘のように乱れさせる。

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