鏡-2-

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師匠シリーズ
マイタイピングに師匠シリーズが沢山あったと思ったのですが、なくなってまっていたので、作成しました。

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問題文

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(なにかがおこる。そうおもったおれは、ここからでようとした。)

なにかが起こる。そう思った俺は、ここから出ようとした。

(そしてそのためにふりむこうとしたとき、かがみのなかのあおざめた)

そしてそのために振り向こうとしたとき、鏡の中の青ざめた

(じぶんのかおのはしになにかくろいものがみえたきがした。)

自分の顔の端になにか黒いものが見えた気がした。

(どきどきしながらふりかえるが、なにもなかった。)

ドキドキしながら振り返るが、なにもなかった。

(くらいへやがひろがっているだけだ。またかがみにむきなおる。)

暗い部屋が広がっているだけだ。また鏡に向き直る。

(こんどはかおのいちがずれて、かおのうしろにかくれていたくろいものが)

こんどは顔の位置がずれて、顔の後ろに隠れていた黒いものが

(おおきくなっていた。それがうごいたしゅんかん、さけびごえをあげそうになった。)

大きくなっていた。それが動いた瞬間、叫び声をあげそうになった。

(はっきりとわかる。それはひとかげだった。かがみのなかのふたつのひとかげ。)

はっきりとわかる。それは人影だった。鏡の中の二つの人影。

(ひとつはかがみのまえにたつおれ。もうひとつはそのおれのうしろにたつながいかみのじんぶつ。)

一つは鏡の前に立つ俺。もう一つはその俺の後ろに立つ長い髪の人物。

(さっきふりむいたときはいなかった。そしてよかんがする。)

さっき振り向いたときはいなかった。そして予感がする。

(もういちどふりむいても、だれもいないのではないだろうか。)

もう一度振り向いても、誰もいないのではないだろうか。

(こんなんのしょうたいなんか、みていいはずがなかった。こうかいがよぎる。)

困難の正体なんか、見ていいはずがなかった。後悔がよぎる。

(かがみのなかでへやのいりぐちふきんから、ながいかみのひとかげがこちらのほうへ)

鏡の中で部屋の入り口付近から、長い髪の人影がこちらのほうへ

(じりじりとちかづいてくる。くらすぎてかおまではわからない。)

ジリジリと近づいてくる。暗すぎて顔まではわからない。

(おれはふるえながら、かけていためがねをずらす。)

俺は震えながら、掛けていた眼鏡をずらす。

(かがみのむこう、じぶんのすがたや、はいごのかべなどとともに、)

鏡の向こう、自分の姿や、背後の壁などとともに、

(そのひとかげもりんかくからぼやけてしまった。げんかくではない。)

その人影も輪郭からぼやけてしまった。幻覚ではない。

(のうがみせるまぼろしならめがねをずらしてもぼやけない。)

脳が見せる幻なら眼鏡をずらしてもぼやけない。

(こうちょくするおれのはいごへ、ぼやけたままのひとかげがゆれながらちかづいてくる。)

硬直する俺の背後へ、ぼやけたままの人影が揺れながら近づいてくる。

(みみなりがつよくなる。)

耳鳴りが強くなる。

など

(そしてこのへやにはいり、かがみをみたしゅんかんにかんじたいわかんが)

そしてこの部屋に入り、鏡を見た瞬間に感じた違和感が

(もういちどつよくせまってくるようなきがした。)

もう一度強く迫ってくるような気がした。

(ふりむこうか。ふりむいたら、たぶんなにもいない。)

振り向こうか。振り向いたら、たぶんなにもいない。

(そしてへやのいりぐちへはしって、そとへでる。そうしようか。)

そして部屋の入り口へ走って、外へ出る。そうしようか。

(しんぞうをばくばくいわせながらそんなことおもっていたが、)

心臓をバクバク言わせながらそんなこと思っていたが、

(けっしてめはかがみのなかからそらせないのだった。)

けっして目は鏡の中から逸らせないのだった。

(そのとき、かがみのなかのうでどけいがまためにはいった。)

そのとき、鏡の中の腕時計がまた目に入った。

(たんしんはいぜんいちじのあたりをさしていた。そのしゅんかん、)

短針は依然1時のあたりを指していた。その瞬間、

(いわかんのしょうたいにきがついた。かがみのなかでうでどけいをしているてをじっとみつめる。)

違和感の正体に気がついた。鏡の中で腕時計をしている手をじっと見つめる。

(みぎがわのてにうでどけいをしていた。)

右側の手に腕時計をしていた。

(かがみのなかのおれが、みぎがわのてにうでどけいをしているのだった。)

鏡の中の俺が、右側の手に腕時計をしているのだった。

(おれはかたまったままうごけなくなる。)

俺は固まったまま動けなくなる。

(おれはふだん、とうぜんのことながらひだりてにうでどけいをはめている。)

俺は普段、当然のことながら左手に腕時計をはめている。

(かがみにうつるときは、むかってひだりがわのてにはめていないとおかしいではないか。)

鏡に映るときは、向かって左側の手にはめていないとおかしいではないか。

(そしてそのかがみのなかのたんしんは、じゅういちじのあたりをさしていないと)

そしてその鏡の中の短針は、11時のあたりを指していないと

(おかしいはずだった。)

おかしいはずだった。

(なんだこれは。なんだこれは。ということばがあたまのなかをぐるぐるとまわる。)

なんだこれは。なんだこれは。という言葉が頭の中をぐるぐると回る。

(かがみにうつるおれのからだで、かずすくないさゆうたいしょうではないものが、)

鏡に映る俺の体で、数少ない左右対称ではないものが、

(すべてあるけつろんをさししめしていた。)

すべてある結論を指し示していた。

(しんぞうが、むねのみぎよりのいちでどくどくとみゃくうっているきがした。)

心臓が、胸の右寄りの位置でドクドクと脈打っている気がした。

((こっちがかがみのなかだ)そんなことはあるはずがなかった。)

(こっちが鏡の中だ)そんなことはあるはずがなかった。

(しかしかがみのむこうのおれこそが、たしかにただしいほうのてにただしいじかんを)

しかし鏡の向こうの俺こそが、確かに正しい方の手に正しい時間を

(さすうでどけいをはめているのだった。)

指す腕時計をはめているのだった。

(そしてかがみのむこうのおれのはいごに、かみのながいちょうしんのひとかげがせまってきていた。)

そして鏡の向こうの俺の背後に、髪の長い長身の人影が迫って来ていた。

(こっちがかがみのなかである、というありえないじたいに、)

こっちが鏡の中である、というありえない事態に、

(おれはうろたえるよゆうもなく、こっちがかがみのなかであるというぜんていのもとに、)

俺はうろたえる余裕もなく、こっちが鏡の中であるという前提のもとに、

(いまなにをすべきかをかんがえた。こんらんするあたまをはえのとびまわるようなみみなりが)

今なにをすべきかを考えた。混乱する頭を蝿の飛び回るような耳鳴りが

(かきみだし、なにをしていいのかわからない。うごけない。ふりむけない。)

掻き乱し、なにをしていいのかわからない。動けない。振り向けない。

(かがみのむこうのおれのはいごに、きれながのひとみがみえたしゅんかん、おもわずさけんでいた。)

鏡の向こうの俺の背後に、切れ長の瞳が見えた瞬間、思わず叫んでいた。

(「どうしたらいいですか」なぜそんなことをいったのかわからない。)

「どうしたらいいですか」なぜそんなことを言ったのかわからない。

(そとにいるだろうcoloさんにたすけをもとめるさけびごえとしてはきみょうだ。)

外にいるだろうColoさんに助けを求める叫び声としては奇妙だ。

(まるで、すべてをしってるひとにといかけるような・・・・・・)

まるで、すべてを知ってる人に問いかけるような・・・・・・

(するとかんぱついれずにこたえがかえってきた。「きてよかったでしょう」)

すると間髪入れずに答えが返ってきた。「来てよかったでしょう」

(かがみのむこうでへやのいりぐちのくろいぬのががさがさとゆれ、)

鏡の向こうで部屋の入り口の黒い布がガサガサと揺れ、

(みょうにげんじつかんのないcoloさんのこえがきこえてきた。)

妙に現実感のないColoさんの声が聞こえてきた。

(「どうしたらいいですか」もういちどさけんだ。)

「どうしたらいいですか」もう一度叫んだ。

(すぐはいごまできている、きれながのひとみのくろめがいっしゅんぼうちょうした。)

すぐ背後まで来ている、切れ長の瞳の黒目が一瞬膨張した。

(「かんたん。いますぐこのよちむからさめて、かがみうらないにいこうという)

「簡単。今すぐこの予知夢から覚めて、鏡占いに行こうという

(さそいをことわる。それだけ」そんなことばが、ちょくせつあたまのなかにひびいた。)

誘いを断る。それだけ」そんな言葉が、直接頭の中に響いた。

(ゆさぶられてめがさめる。coloさんのまんしょんのいっしつだった。)

揺さぶられて目が覚める。Coloさんのマンションの一室だった。

(みかっちさんがめのまえでつくえにつっぷしているcoloさんをつづけて)

みかっちさんが目の前で机につっぷしているColoさんを続けて

(おこそうとしている。おれはかくせいしきれないあたまで、じょうきょうをはあくする。)

起こそうとしている。俺は覚醒しきれない頭で、状況を把握する。

(じゅっこうするまでもなく、ゆめをみていたらしい。おもわずうでどけいをかくにんする。)

熟考するまでもなく、夢を見ていたらしい。思わず腕時計を確認する。

(じゅうにじすぎ。もちろんみぎてにはめている。ひどいゆめだった。)

12時過ぎ。もちろん右手にはめている。ひどい夢だった。

(すべてはcoloさんのよちむだった、というせっていらしい。)

すべてはColoさんの予知夢だった、という設定らしい。

(たしかにcoloさんはいじょうにかんがするどく、そのかんのもとになっているのは)

確かにColoさんは異常に勘がするどく、その勘の元になっているのは

(えどがーけいしーのようなよちむだと、ししょうにきいたことがある。)

エドガーケイシーのような予知夢だと、師匠に聞いたことがある。

(そのはなしがげんいんで、こんなへんなゆめをみたのか。ばかばかしいではないか。)

その話が原因で、こんな変な夢を見たのか。ばかばかしいではないか。

(だっていまのは、coloさんのみるゆめではなく、このおれのゆめだったのだから。)

だって今のは、Coloさんの見る夢ではなく、この俺の夢だったのだから。

(「うーん」というこえとともにcoloさんがあたまをいやいやする。)

「うーん」という声とともにColoさんが頭をイヤイヤする。

(みかっちさんがむりやりそのあたまをゆさぶりながら、いった。)

みかっちさんが無理やりその頭を揺さぶりながら、言った。

(「おきろー。かがみうらないにいくんでしょ」)

「おきろー。鏡占いに行くんでしょ」

(そのことばをきいて、おれはせすじにつめたいものがはしった。いや、まて。)

その言葉を聞いて、俺は背筋に冷たいものが走った。いや、待て。

(おれがねているときにきっとそんなはなしになったのだろう。)

俺が寝ているときにきっとそんな話になったのだろう。

(それがあさいねむりにはいっていたおれのゆめのひょうそうにあらわれたにすぎない。)

それが浅い眠りに入っていた俺の夢の表層に現れたにすぎない。

(「あー、そうだっけ」)

「あー、そうだっけ」

(ねむそうにあたまをあげるcoloさんをみて、おれはおもわずいった。)

眠そうに頭をあげるColoさんを見て、俺は思わず言った。

(「いや、おれもうかえりますし」みかっちさんは「えー」といって、)

「いや、俺もう帰りますし」みかっちさんは「えー」と言って、

(ふまんをくちにしたがとりあわなかった。)

不満を口にしたが取り合わなかった。

(coloさんはまぶたをこすりながら、おれをじっとみていた。)

Coloさんは瞼をこすりながら、俺をじっと見ていた。

(「なにか」とどきどきしながらいうと、「なんだっけ」とくびをひねっている。)

「なにか」とドキドキしながら言うと、「なんだっけ」と首を捻っている。

(「あ、そうだ」そういって、coloさんはみかっちさんになにかみみうちをした。)

「あ、そうだ」そう言って、Coloさんはみかっちさんに何か耳打ちをした。

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