残夜幻想

(まちがえたままだってあるくのはとくいだった)

間違えたままだって歩くのは得意だった

(かけたままだってごまかしわらっていた)

欠けたままだって誤魔化し笑っていた

(たりなくっておぎなってとどかなくて)

足りなくって補って届かなくて

(だれもがきっとみうしなっていきづらさのりゆうをしる)

誰もがきっと見失って生き辛さの理由を知る

(こきゅうはまだつづくか)

呼吸はまだ続くか

(ひといきでつらぬくためにはすこしくるしいだろう)

一息で貫くためには少し苦しいだろう

(ゆるせ)

許せ

(いっぽわれらがいくことを)

一歩我らが往くことを

(いまうまれるときを)

今生まれる時を

(みをこがしやききれてもみちだけはつづいている)

身を焦がし焼き切れても道だけは続いている

(そのうつくしさもあわれみもたいがにきえるうたかた)

その美しさも憐みも大河に消える泡沫

(のこりかすよせあつめ)

残り滓寄せ集め

(まだすすんでいけすすんでいけ)

まだ進んでいけ　進んでいけ

(よるをこえて)

夜を越えて

(まっくらなままだってあしもとはみえていた)

真っ暗なままだって足元は見えていた

(みえていたってころばないわけじゃなかった)

見えていたって転ばないわけじゃなかった

(なきじゃくってなきやんでかれはてて)

泣きじゃくって泣き止んで枯れ果てて

(だれもがきっとみえをはってつよさをかんちがいしている)

誰もがきっと見栄を張って強さを勘違いしている

(こどくはまちがいじゃない)

孤独は間違いじゃない

(でもひとりきりであるくみちにはすこしさびしいだろう)

でもひとりきりで歩く道には少し淋しいだろう

(ゆるせ)

許せ

(いっぽそれてすすむことを)

一歩逸れて進むことを

(おきざりのひびを)

置き去りの日々を

(みをすてなげだしてもちのそこはまだとおい)

身を捨て投げ出しても地の底はまだ遠い

(そのかなしみもせつなさもこくうにとけるかすみ)

その哀しみも切なさも虚空に溶ける霞

(のこりびにすべてくべ)

残り火に全て焚べ

(まだあゆんでいけあゆんでいけ)

まだ歩んでいけ　歩んでいけ

(よるをこえて)

夜を越えて

(みちてみたされてゆくつきも)

満ちて満たされてゆく月も

(かけてかくされてゆくつきも)

欠けて隠されてゆく月も

(やがてくるよあけとともに)

やがて来る夜明けとともに

(きえていずれみえなくなってゆくさだめだろう)

消えていずれ見えなくなってゆく運命だろう

(ならば)

ならば

(ゆるせ)

許せ

(いっぽわれらがいくことを)

一歩我らが往くことを

(いまうまれるときを)

今生まれる時を

(みをこがしやききれてもみちだけはつづいている)

身を焦がし焼き切れても道だけは続いている

(そのうつくしさもあわれみもたいがにきえるうたかた)

その美しさも憐みも大河に消える泡沫

(のこりかすよせあつめ)

残り滓寄せ集め

(まだすすんでいけすすんでいけ)

まだ進んでいけ　進んでいけ

(どんなはてがまっていようとも)

どんな果てが待っていようとも

(あゆんでいけあゆんでいけ)

歩んでいけ　歩んでいけ

(よるをこえて)

夜を越えて