前夜祭の人形 mayuko

(ｈａｐｐｙ　ｈａｌｌｏｗｅｅｎ！)

Happy Halloween!

(あしおとはぬかるむみずに)

足音は泥濘む水に

(しずむむらがるよるのはおと)

沈む群がる夜の羽音

(まっかにわらうおつきさま)

真っ赤に嗤うお月様

(くもひとつないほしぞら)

雲一つない星空

(さかさづりのじゃっくにごあいさつ)

逆さ吊りの南瓜頭にご挨拶

(まぬけづらにもえるいしを)

間抜け面に燃える石を

(まっかにさいたあなぼこが)

真っ赤に咲いた穴ぼこが

(まほうとのろいをうたいだす)

魔法と呪いを歌いだす

(はじめましてのなつかしいゆめ)

初めましての懐かしい夢

(むくろにはねてとけおちた)

むくろに跳ねて溶け落ちた

(からっぽのおりのなかをはやくはやく)

からっぽの檻の中をはやくはやく

(あまいふしあわせでみたさなきゃみたされない)

甘い不幸せで満たさなきゃ満たされない

(はやくはやくいっしょにかえろうよ)

はやくはやく一緒に帰ろうよ

(さかさまのはっぴーえんどはかぼちゃにつめこんで)

さかさまの結末は南瓜に詰め込んで

(どしゃぶりのばっどえんどにくちづけを)

土砂降りの結末に口付けを

(こうかいのすぱいすにくらんであくむみたいなぜっちょうを)

後悔の香辛料に眩んで悪夢みたいな絶頂を

(のこさずかりとってねぶってごちそうさま)

残さず刈り取って舐ってご馳走様

(あしあととやきつくかげに)

足跡と焼き付く影に

(そこなしぬまのさびたはおと)

底なし沼の錆びた羽音

(まっかにさそうおつきさまくもひとつないよる)

真っ赤に誘うお月様雲一つない夜

(かぼちゃきどりのじゃっくにごあいさつ)

南瓜気取りの南瓜頭にご挨拶

(しかめっつらにもえるいしを)

しかめ面に燃える石を

(まっかにぬれたあなぼこが)

真っ赤に濡れた穴ぼこが

(まほうとのろいをわめきちらす)

魔法と呪いを喚き散らす

(いろとりどりのさわがしいゆめ)

色とりどりの騒がしい夢

(むくろにまぜてのみこんだなら)

むくろに混ぜて飲み込んだなら

(ぼろきれのうそもせいひつなおもいでも)

襤褸切れの嘘も静謐な思い出も

(くりいとのゆくえすらあめのかなた)

繰り糸の行方すら雨の彼方

(からっぽのはこのなかをはやくはやく)

空っぽの箱の中をはやくはやく

(あまいふしあわせでみたさなきゃみたされない)

甘い不幸せで満たさなきゃ満たされない

(はやくはやくあさがくるまえに)

はやくはやく朝が来る前に

(さかさまのはっぴーえんどはまどからなげすてて)

さかさまの結末は窓から投げ捨てて

(どしゃぶりのばっどえんどにしゅくふくを)

土砂降りの結末に祝福を

(おさとうのなきがらにくらんであくまみたいな　　を)

お砂糖の亡骸に眩んで悪魔みたいな　　を

(のこさずかりとってねぶってごちそうさま)

残さず刈り取って舐ってご馳走様

(くりかえすはっぴーえんどだけかぼちゃのあたまにつめこんで)

くりかえす結末だけ南瓜の頭に詰め込んで

(つぎはぎのばっどえんどはだれかさんにおしつけろ)

継ぎ接ぎの結末は誰かさんに押し付けろ

(ぐらぐらにむせんだそらのあおひげきをはらんだけっしょうを)

ぐらぐらに咽んだ空の青悲劇を孕んだ結晶を

(もうにどとえいえんにおもいださないように)

もう二度と永遠に思い出さないように

(そうさまっちをたったいっぽん)

そうさ燐寸をたった一本

(まきもどしてはやりなおし)

巻き戻してはやり直し

(どうしようもなくこわれても)

どうしようもなく壊れても

(うぃるはしんだりしないものさ)

ウィルは死んだりしないものさ