泡沫夢夜物語/すたぽら

(こよいつきよのうたげさみだれうかんせいとかっさいの)

今宵 月夜の宴 五月雨完成と喝采の

(むかうほこさききみはちょうのようにうるわしくまいおどる)

向かふ矛先 君は蝶のように麗しく舞い踊る

(されどうちなるおもいはやおよろずのたみのぐんしゅうの)

されど内なる想ひは 八百万の民の群衆の

(きたいせんばんうらはらかごのそとへとびたちいずこへ)

期待千万裏腹 籠の外へ 飛び立ち何故へ

(つぎのよではふたりであるきましょうと)

「次の世では二人で歩きましょう」と

(いまきみをすくうてはそらをきりうぞうむぞうにとけて)

今君を救う手は 空を切り有象無象に溶けて

(やみよてらすつきかげにうれうこころすくい)

闇夜照らす月影に 憂ふ心 救い

(くもがくれまどうこいごころはこころうくともめをふせ)

雲隠れ 惑う恋心は 心憂くとも目を伏せ

(ひめごとまぎれたきょうのかぜがほおをかすめさそい)

秘め事 粉れた今日の風が　頬を掠め 誘い

(かけぬけいまきみのてをひいて)

駆け抜け 今 君の手を引いて

(しらがみのそのさきへうたかたゆめよものがたり)

柵のその先へ　泡沫夢夜物語

(うたよみどりにひゃっかりょうらん)

歌詠鳥に百花繚乱

(そうぞうつきなみのはんかちょうか)

想像月並みの半か丁か

(たゆたうすいめんでおどるすいれんか)

揺蕩う水面で踊る睡蓮花

(てらすあまてらす)

照らす アマテラス

(まっかにひかるこのりんどう)

真っ赤に光るこの竜胆

(うすれずいろおびてくかんじょう)

薄れず色帯びてく感情

(あきさめにみだれさくてんか)

秋雨に乱れ咲く天下

(とうげんきょうくんとのじゅんれんか)

桃源郷君との巡恋歌

(ぼかすゆめのりんかく)

ぼかす夢の輪郭

(たまえどまどうかやのげんかく)

給えど惑う蚊帳の幻覚

(うつろうかげてんじょうゆうげんなこのよ)

移ろう影天井 幽玄なこの世

(けんらんさにさそうあのこのよう)

絢爛さに誘う あの子のよう

(なみだがれまいちりみだれ)

涙枯れ舞い散り乱れ

(くもづきぞやどりけるひとあはれ)

雲月ぞやどりける人あはれ

(こよいうたげにきてふうれいさんじゅう)

今宵 宴に来てふ愁い三重

(ぼくとおどりませんか？)

僕と踊りませんか？

(そとのせかいはどんなにすんだそらでしょうと)

「外の世界はどんなに澄んだ空でしょう」と

(みっかげつのあくるひはきみとともにこのそらあおぎましょう)

三日月の明くる日は 君と共にこの空仰ぎましょう

(やみよてらすつきかげにうれうこころすくい)

闇夜 照らす月影に 憂ふ心 救い

(くもがくれまどうこいごころはこころうくともめをふせ)

雲隠れ 惑う恋心は 心憂くとも目を伏せ

(ひめごとまぎれたきょうのかぜがほおをかすめさそい)

秘め事 紛れた今日の風が 頬を掠め 誘い

(かけぬけいまきみのてをひいてしらがみのそのさきへ)

駆け抜け 今 君の手を引いて 柵のその先へ

(うたかたゆめよこよいのうたげのはなしはここらでおしまい)

泡沫夢夜 今宵の宴の噺はここらで終い