なにもないまち / 稲葉浩志

(かーてんをしめわすれあさひがぼくにたずねる)

カーテンを閉め忘れ 朝日が僕にたずねる

(ひとりでねむるべっどはちょっとひろすぎやしないかい)

ひとりで眠るベッドは ちょっと広すぎやしないかい

(ぱんにかじりつきながらこーひーのゆげをながめる)

パンにかじりつきながら コーヒーの湯気を眺める

(きみのきえたこのへやはしずかすぎやしないかい)

きみの消えたこの部屋は 静かすぎやしないかい

(いつもどおりぼくいがいのなにもかも)

いつもどおり 僕以外のなにもかも

(なにもないなにもないなにもないなにもないまちじゃ)

なにもない なにもない なにもない なにもないまちじゃ

(あるいてもはしってもないてもどこにもたどりつけない)

あるいても はしっても ないても どこにもたどりつけない

(なにもないなにもないなにもないなにもないまちじゃ)

なにもない なにもない なにもない なにもないまちじゃ

(あれもないこれもないそれもないここにいるいみがない)

あれもない これもない それもない ここにいるイミがない

(しんごうまちでらじおのぼりゅーむをあげてうたう)

信号待ちでラジオの ボリュームをあげて歌う

(ぽっかりあいたじょしゅせきにはひかりをうけてほこりがまう)

ぽっかりあいた助手席には 光を受けてほこりが舞う

(すぎるけしきはぼくをつきはなす)

過ぎる景色は 僕をつきはなす

(なにもないなにもないなにもないなにもないまちじゃ)

なにもない なにもない なにもない なにもないまちじゃ

(あるいてもはしってもないてもどこにもたどりつけない)

あるいても はしっても ないても どこにもたどりつけない

(なにもないなにもないなにもないなにもないまちじゃ)

なにもない なにもない なにもない なにもないまちじゃ

(あれもないこれもないそれもないここにいるいみがない)

あれもない これもない それもない ここにいるイミがない

(へやをでようあしたになったらまちをでようあしたになったら)

ヘヤヲデヨウ アシタニナッタラ マチヲデヨウ アシタニナッタラ

(やっていけるひとりになってもうまくずるくひとりになっても)

ヤッテイケル ヒトリニナッテモ ウマクズルク ヒトリニナッテモ

(へやをでようあしたになったらまちをでようあしたになったら)

ヘヤヲデヨウ アシタニナッタラ マチヲデヨウ アシタニナッタラ

(やっていけるひとりになってもうまくずるくふとくみじかく)

ヤッテイケル ヒトリニナッテモ ウマクズルク フトクミジカク