おとなの掟

(まっくろななかにひとつきえてはうかぶといきよ)

真っ黒な中に一つ　消えては浮かぶ吐息よ

(つめたいやみよはぼくのねがいのみこみかくまいます)

冷たい闇夜は僕の願い　飲み込み匿います

(まっしろないきがいまもっともむくなほんねと)

真っ白な息がいま　もっとも無垢な本音と

(かじかんだこえでなにをうたううそでもほんとうでも)

悴んだ声で何を歌う？　嘘でも本当でも

(すきとかきらいとかほしいとか)

好きとか嫌いとか欲しいとか

(きもちいいだけのせりふでしょう)

気持ちいいだけの台詞でしょう

(ああしろくろつけるにはふさわしい)

ああ白黒付けるには相応しい

(ほろびのじゅもんだけれど)

・・滅びの呪文だけれど・・

(まっさらなこどもじだいきょうかしょをあんきしていれば)

真っ新な子供時代　教科書を暗記していれば

(せいかいふせいかいどちらかをえらべるとおもっていた)

正解不正解どちらかを　選べると思っていた

(とがきどおりにいきているじぶん)

ト書き通りに生きている自分

(あどりぶにはなれていないくせ)

アドリブには慣れていない癖

(いいたいことあふれだしかしましい)

云いたいこと溢れ出しかしましい

(きみのまえだけだけれど)

・・君の前だけだけれど・・

(てばなしてみたいこのりょうてふさいだちしき)

手放してみたいこの両手塞いだ知識

(どんなにかるいとかんじるだろうか)

どんなに軽いと感じるだろうか

(ことばのよろいものろいもいっさいがっさい)

言葉の鎧も呪いも一切合財

(ぬいではいでもういちどぼくらがであえたら)

脱いで剥いでもう一度僕らが出会えたら

(すきとかきらいとかほしいとか)

好きとか嫌いとか欲しいとか

(くちばしったらどうなるでしょう)

口走ったら如何なるでしょう

(ああしろくろつけるのはおそろしい)

ああ白黒付けるのは恐ろしい

(せつじつにいきればこそ)

・・切実に生きればこそ・・

(そうじんせいはながいせかいはひろい)

そう人生は長い、世界は広い

(じゆうをてにしたぼくらはぐれー)

自由を手にした僕らはグレー

(こうふくになってふこうになってあわただしい)

幸福になって、不幸になって慌ただしい

(むねのうちだけがさわぐ)

胸の裡だけが騒ぐ

(おとなはひみつをまもる)

・・おとなは秘密を守る・・