ディストーテッド・アガペー

(もしもまたうまれかわれたならばつぎはどんなひとにうまれたらいいな)

もしもまた生まれ変われたならば　次はどんな人に生まれたらいいな

(あかるいだとかともだちがおおいだとかもうなんだっていいよないまのじぶんじゃないなら)

明るいだとか友達が多いだとか　もう何だっていいよな 今の自分じゃないなら

(じさつしがんしゃもひとごろしもぎぜんしゃもきょうしもせいしょくしゃもちいさなおんなのこも)

自殺志願者も人殺しも偽善者も　教師も聖職者も小さな女の子も

(じぶんじしんのこころをまもるだけでせいいっぱいめいっぱいそれだけでもうじかんぎれ)

自分自身の心を守るだけで　精一杯 目一杯 それだけでもう時間切れ

(でたらめなくうそうできょうもきずついたんでしょう)

出鱈目な空想で今日も傷付いたんでしょう

(たぶんいわれるのいやだろうけどさすこしくらいわかるよ)

たぶん言われるの嫌だろうけどさ 少しくらい分かるよ

(そうやってじぶんだけずっとせめつづけて)

そうやって 自分だけずっと責め続けて

(にげだしたくてぬけだしたくてかわりたくてまたつまずいて)

逃げ出したくて 抜け出したくて　変わりたくて また躓いて

(もうしにたくたってかまわないからそこにすわっていなよみつけにいくよ)

もう死にたくたって構わないから　そこに座っていなよ 見つけに行くよ

(だれもかわりになれやしないよゆるさなくていいからすこしくらいわらいなよねえ)

誰も代わりになれやしないよ　許さなくていいから 少しくらい笑いなよ ねえ

(ときがこたらやくにたてるようにのーとひっぱりだしておはなしをかいたよ)

時が来たら 役に立てるように　ノート引っ張り出して お話を書いたよ

(たくさんかきなぐってみかえしてきがついてさむけがした)

沢山書き殴って見返して気が付いて　寒気がした

(これはぜんぶじぶんのことじゃないか)

これは全部 自分のことじゃないか

(「いつまでもいつまでもしあわせにくらしました」)

「いつまでも いつまでも幸せに暮らしました」

(そこでおわるなよそのさきだよしらなきゃいけないのは)

そこで終わるなよ その先だよ 知らなきゃいけないのは

(うけとったこうふくをこわさないほうほうを)

受け取った 幸福を 壊さない方法を

(みつけだしたくてつかみたくてまもりたくてまたこわされて)

見つけ出したくて 掴みたくて　守りたくて また壊されて

(もうだれのこともさしんじなくていいからそこでねていなよさがしにいくよ)

もう誰のこともさ 信じなくていいから　そこで寝ていなよ 探しに行くよ

(きみのかわりにわらってはやれないよなにもないのはぼくだっておなじなんだよ)

君の代わりに 笑ってはやれないよ　何もないのは 僕だって同じなんだよ

(なにかをわたしたいのだけどなにもわたせるものがなくて)

何かを渡したいのだけど 何も渡せるものが無くて

(しかたないからこのしんたいをこまかくきざんでうたにしたよ)

仕方ないからこの身体を 細かく刻んで歌にしたよ

(きみがもしものぞんでるならどれでもすきなのひろってよ)

君がもしも望んでるなら どれでも好きなの拾ってよ

(きみのだいきらいなこのせかいをいつまでもここでうたうからここにいるから)

君の大嫌いなこの世界を いつまでもここで歌うから　ここにいるから

(もうしにたくたってかまわないから)

もう死にたくたって構わないから

(そこにすわっていなよなんどでもみつけにくるから)

そこに座っていなよ 何度でも見つけに来るから

(だれもかわりにゆるしてはやれないよきみをゆるせるのはそうきみしかいない)

誰も代わりに許してはやれないよ　君を許せるのは そう 君しかいない

(だからどうにかしていきのびてよずっととじたままでもかまわないよ)

だからどうにかして生き延びてよ ずっと閉じたままでも構わないよ

(それをわらうやつがいたってさどうせきみをころせやしないから)

それを笑う奴がいたってさ どうせ君を殺せやしないから

(じぼうじきだっていいよやたらとひとにおびえないでよ)

自暴自棄だっていいよ やたらと人に怯えないでよ

(ぼくをゆるさなくていいからすこしくらいわらってよねえ)

僕を許さなくていいから 少しくらい笑ってよ　ねえ