ハンディキャップ

(おっことされてすてられてほこりかぶっては)

落っことされて捨てられて　埃被っては

(さいさんぬってつくろってすえたぬいぐるみ)

再三縫って繕って　饐えたぬいぐるみ

(いつでもせかいはくもりぞらかりぬいのひとみじゃ)

いつでも世界は曇り空　仮縫いの瞳じゃ

(ゆわいたいとやしあわせにきづけるでしょうか)

結わいた糸や幸せに　気づけるでしょうか

(なまえもしらないそらのあおさもしらない)

名前も知らない　空の青さも知らない

(ひとのあたたかさなんてしらない)

人の温かさなんて知らない

(ふかくくびまでかぶさっている)

深く首まで被さっている

(つくりわらいのぬぎかたをしらない)

作り笑いの脱ぎ方を知らない

(あっちむいてこっちむいて)

あっちむいて　こっちむいて

(とりつくろってぼろぼろにやぶれて)

取り繕って　ボロボロに破れて

(いたいよ)

痛いよ

(ぬいついてむしばむはんでぃきゃっぷだけ)

縫いついて蝕むハンディキャップだけ

(このからっぽのぼくをしかってくれる)

この空っぽのボクを叱ってくれる

(りょうてをふってもちょうになれやしない)

両手を振っても　蝶になれやしない

(からをやぶってもとりになれやしない)

殻を破っても　鳥になれやしない

(みじめにどろみずをすってもはなはさきやしない)

惨めに泥水を吸っても　花は咲きやしない

(そうしてがらくたのぼくはなにになれもしない)

そうしてがらくたのボクは　何になれもしない

(はばたきかたをよくおぼえていないのは)

羽ばたき方をよく覚えていないのは

(もとよりはねがないというけつろん)

元より羽がないという結論

(どうしてつめばかりながいのだろう)

どうして爪ばかり長いのだろう

(きずつけずにはきみにもさわれない)

傷つけずには君にも触れない

(あっちだってこっちだって)

あっちだって　こっちだって

(つぎはぎだらけこんなちまみれのては)

継接ぎだらけ　こんな血まみれの手は

(いやだよ)

厭だよ

(ころぶたびふえたはんでぃきゃっぷだけ)

転ぶたび増えたハンディキャップだけ

(このからっぽのぼくをかざってくれる)

この空っぽのボクを飾ってくれる

(できそこないでも)

出来損ないでも

(きらわれものでも)

嫌われものでも

(あなだらけでも)

穴だらけでも

(ねえきのうよりじょうずにいきるから)

ねえ　昨日より上手に生きるから

(さわってくれますか)

触ってくれますか

(あっちむいてこっちむいて)

あっちむいて　こっちむいて

(とりつくろってぼろぼろにやぶれて)

取り繕って　ボロボロに破れて

(いたいよ)

痛いよ

(あといっぽあるけばじゆうになれるの)

あと一歩歩けば自由になれるの？

(ごみばこをみたすぼくのかお)

ゴミ箱を満たすボクの顔

(ああきょうもまたいきるためにしのう)

ああ　今日もまた　生きるために死のう