夕立ち

(とおくすすけたなまりぞら)

遠く煤けた鉛空

(こんなよごれていたっけな)

こんな汚れていたっけな

(にごりさめたとおりあめ)

濁り　冷めた通り雨

(それともしみるめのせいかな)

それとも　染みる目のせいかな

(どこできづいただろうか)

どこで気づいただろうか

(どこでたがえただろうか)

どこで違えただろうか

(いまもおおきくみえるものは)

今も大きく見えるものは

(もうこれくらいなんだよ)

もうこれくらいなんだよ

(ことばをうしなって)

言葉を失って

(きぐるみできかざって)

着ぐるみで着飾って

(めをふさいだところで)

目を塞いだところで

(まぶたをきずつけるだけ)

瞼を傷つけるだけ

(おとなになってしまったの)

大人になってしまったの

(こどものままでいられないの)

子供のままでいられないの

(すきなものもあいせないで)

好きなものも愛せないで

(きらわれものになっていくの)

嫌われ者になっていくの

(じぶんかってにしねないの)

自分勝手に死ねないの

(いいたいこともいえないなら)

言いたいことも言えないなら

(ぼくはなんなのだれなのねえ)

ボクは何なの　誰なの　ねえ

(おりのなかはせまい)

檻の中は狭い

(からだはおおきくなるのに)

身体は大きくなるのに

(きみとすごしたこのせかいが)

君と過ごしたこの世界が

(とげだらけでいたいんだよ)

棘だらけで痛いんだよ

(にげだしてしまいたいな)

逃げ出してしまいたいな

(きずがただれていくまえに)

傷が爛れていく前に

(めもあてられないかおだ)

目も当てられない顔だ

(こころがおしゃかになりそう)

心がお釈迦になりそう

(きずつけあってけんかして)

傷つけあって　喧嘩して

(あしたもなかまといえたあのころとちがうのは)

明日も仲間と言えたあの頃と違うのは

(ほかでもないぼくののぞんだぼくだった)

他でもない　ボクの望んだボクだった

(しったふうなくちきくな)

知ったふうな口利くな

(ばかのひとつできめつけるな)

馬鹿の一つで決めつけるな

(きみはどうなのこたえてよねえ)

君はどうなの　答えてよ　ねえ

(なにをごみにだしたてにあまるおもいではすてた)

何をゴミに出した　手に余る思い出は捨てた

(どろまみれのきょうもこれがしあわせとしんじたかった)

泥まみれの今日も　これが幸せと信じたかった

(ぼくをてばなしてひろうあしたすらないようだ)

ボクを手放して　拾う明日すらないようだ

(もうおしこめないかんじょうでながれていく)

もう押し込めない感情で流れていく

(ほうってふりきって)

放って　振り切って

(みがってにやぶったもういいかい)

身勝手に破った「もういいかい？」

(さかむけのこころに)

逆剥けのココロに

(どうしてふれてくれるの)

どうして触れてくれるの

(おとなになってしまったの)

大人になってしまったの

(こどものままでいられないの)

子供のままでいられないの

(すきなものもあいせないよ)

好きなものも愛せないよ

(きらわれものじゃあいせないよ)

嫌われ者じゃ愛せないよ

(どのみがってもやさしさも)

どの身勝手も　優しさも

(だれのしわざだれのためだれのせい)

誰の仕業　誰のため　誰のせい

(それはぼくだよそうでしょねえ)

それはボクだよ　そうでしょ　ねえ