軽蔑ヲ鳴ラセ

(みたびまわってわんとなくきがいがあれば)

三度廻ってワンと鳴く気概があれば

(ききくつのうらできるほどげひてしまえたら)

効き靴の裏できる程下卑てしまえたら

(よるべないあなたにうたえてたかなぁ)

寄る辺ない貴方に歌えてたかなぁ

(あすのないおれをあいせていたかなぁ)

明日の無い俺を愛せていたかなぁ

(いきていくきりょくのざんだかがそこをつくよる)

生きて行く気力の残高が底をつく夜

(おんがくにたいしたこうりょくなんてないことを)

音楽に大した効力なんて無い事を

(みをもってしってしまったおれじゃなしえないのさ)

身を以て知ってしまった俺じゃ成し得ないのさ

(よるべないあなたにうたうことなど)

寄る辺ない貴方に歌う事など

(なのにあなたをおもえばまぬけなむそうかのおれを)

なのに貴方を想えば間抜けな夢想家の俺を

(めろでぃーがさばいたいのかもにして)

メロディーがさ媒体のカモにして

(めのうらできせいするのさ)

眼の裏で寄生するのさ

(がいやのやじやひひょうかのしたうちで)

外野の野次や批評家の舌打ちで

(ちょうかくをうしなってしまいそうだ)

聴覚を失ってしまいそうだ

(それでもじまえのがんきゅうくろいあいだは)

それでも自前の眼球黒い間は

(ちのいろのぎたーでけいべつをならせ)

血の色のギターで軽蔑を鳴らせ

(はんぜんとしないままいきるおれに)

判然としないまま生きる俺に

(かみがあたえたもうたものは)

神が与え給うた物は

(どきょうでもあいでもりょうしきでもなく)

度胸でも愛でも良識でもなく

(しけりきったこのひにくだけさ)

湿気り切ったこの皮肉だけさ

(どおりはじいしきのさいてんどうりはもぬけのから)

通りは自意識の祭典道理は蛻の殻

(こうていのすべりをうながすぜりーみたいなこどく)

肯定の滑りを促すゼリーみたいな孤独

(それでもじまえのれつじょうたぎるあいだは)

それでも自前の劣情たぎる間は

(ひょうじょうきんふるくどうでぶべつをしめせ)

表情筋フル駆動で侮蔑を示せ

(ひたいのがんきょうをさがすあほみたいに)

額の眼鏡を探す阿呆みたいに

(じぶんさえみうしなってしまいそうだ)

自分さえ見失ってしまいそうだ

(それでもじまえのしんぞうみゃくうつあいだは)

それでも自前の心臓脈打つ間は

(ちのいろのぎたーでけいべつをならせ)

血の色のギターで軽蔑を鳴らせ

(がいやのやじやひひょうかのしたうちで)

外野の野次や批評家の舌打ちで

(ちょうかくをうしなってしまいそうだ)

聴覚を失ってしまいそうだ

(それでもじまえのがんきゅうくろいあいだは)

それでも自前の眼球黒い間は

(ちのいろのぎたーでけいべつをならせ)

血の色のギターで軽蔑を鳴らせ