新型コロナウイルス感染症の診療の手引第4版-2後
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問題文
(7 しょうにれいのとくちょう)
7 小児例の特徴
(covid-19のしょうにれいは、せいじんれいにひかくしてしょうれいすうがすくなく、)
COVID-19の小児例は、成人例に比較して症例数が少なく、
(またむしょうじょうしゃ/けいしょうしゃがおおい。しかし、むしょうじょうしゃ/けいしょうしゃであっても)
また無症状者/軽症者が多い。しかし、無症状者/軽症者であっても
(pcrほうなどでけんしゅつされるういるすげのむりょうはゆうしょうじょうしゃとどうようにおおく、)
PCR法などで検出されるウイルスゲノム量は有症状者と同様に多く、
(こきゅうきゆらいけんたいのみならず、べんちゅうへのはいせつもちょうきかんみとめられることがほうこくされて)
呼吸器由来検体のみならず、便中への排泄も長期間認められることが報告されて
(いる。しょうにのじゅうしょうど、しょうににおけるかぞくないかんせんりつ、しょうににおいてじゅうような)
いる。小児の重症度、小児における家族内感染率、小児において重要な
(ていきのよぼうせっしゅのじっしじょうきょうについてがいせつする。)
定期の予防接種の実施状況について概説する。
(「しょうにのじゅうしょうど」 いたりあにおけるcovid-19かんじゃ)
「小児の重症度」 イタリアにおけるCOVID-19患者
(2020ねん2がつ20にち~2020ねん5がつ8にちのりんしょうぞうをねんれいそうかんでひかくすると、)
2020年2月20日~2020年5月8日の臨床像を年齢層間で比較すると、
(しょうにのcovid-19かんじゃはせいじんやこうれいしゃよりもけいしょうであり、)
小児のCOVID-19患者は成人や高齢者よりも軽症であり、
(にゅういんりつ、じゅうしょう/さいじゅうしょうれいは、かれいとともにぞうかし、)
入院率、重症/最重症例は、加齢とともに増加し、
(むしょうじょう/ごくけいしょうれいはかれいとともにげんしょうしていた。)
無症状/極軽症例は加齢とともに減少していた。
(しょうに3836れい(1.8%)のねんれい(ちゅうおうち)11さい、)
小児3836例(1.8%)の年齢(中央値)11歳、
(しょうじょうはむしょうじょう(39.0%)のわりあいがたかく、ごくけいしょう(24.4%)、)
症状は無症状(39.0%)の割合が高く、極軽症(24.4%)、
(けいしょう(32.4%)をふくめると95%いじょうをしめ、にゅういんりつは13.3%であった)
軽症(32.4%)を含めると95%以上をしめ、入院率は13.3%であった
(しょうににおいては、2さいみまんときそしっかんのうむがじゅうしょうかのきけんいんしであった。)
小児においては、2歳未満と基礎疾患の有無が重症化の危険因子であった。
(しょうにのりんしょうぞうをねんれいそうかんでひかくすると、2さいみまんのにゅういんりつ(36.6%)はたかく)
小児の臨床像を年齢層間で比較すると、2歳未満の入院率(36.6%)は高く
(むしょうじょう(20.2%)のわりあいはひくかった。しょうにのしぼう4れいは)
無症状(20.2%)の割合は低かった。小児の死亡4例は
(すべて6さいいかで、しんけっかんけいいじょうやあくせいしゅようのきそしっかんをゆうし、)
すべて6歳以下で、心血管系異常や悪性腫瘍の基礎疾患を有し、
(sars-cov-2がげんしいんとそうていされていなかった。)
SARS-CoV-2が原死因と想定されていなかった。
(なお、にほんの20さいみまんのcovid-19かんじゃ)
なお、日本の20歳未満のCOVID-19患者
(6852れい(2020ねん10がつ14にちげんざい)ちゅう、しぼうれいのほうこくはない。)
6852例(2020年10月14日現在)中、死亡例の報告はない。
(「かぞくないかんせんりつ」)
「家族内感染率」
(かんこくにおいて2020ねん1がつ20にち~5がつ13にちまでにほうこくされた)
韓国において2020年1月20日~5月13日までに報告された
(10962れいのうち、5706れいのほったんしょうれいをたいしょうにせっしょくしゃついせきちょうさが)
10962例のうち、5706例の発端症例を対象に接触者追跡調査が
(じっしされた。ちょうさたいしょうとなったせっしょくしゃは、)
実施された。調査対象となった接触者は、
(かぞくないが10592れい、かぞくがいが48481れいであり、へいきん9.9にちかんの)
家族内が10592例、家族外が48481例であり、平均9.9日間の
(けんこうかんさつがじっしされた。かぞくないかんせんりつは11.8%(1248/10592))
健康観察が実施された。家族内感染率は11.8%(1248/10592)
(であったのにたいしかぞくいがいのせっしょくしゃかんせんりつは1.9%)
であったのに対し家族以外の接触者感染率は1.9%
((921/48481)にとどまった。)
(921/48481)に留まった。
(ほったんしゃが10さいだいでのかぞくないかんせんりつは18.6%)
発端者が10歳代での家族内感染率は18.6%
((43/231)とたかく、せいじんとどうとういじょうであった。)
(43/231)と高く、成人と同等以上であった。
(いっぽうで0~9さいのほったんしゃからのかぞくないかんせんりつは、5.3%ともっともひくかった。)
一方で0~9歳の発端者からの家族内感染率は、5.3%と最も低かった。
(かぞくいがいでは、40さいいじょうのほったんしゃからのかんせんりつがゆういにたかく、)
家族以外では、40歳以上の発端者からの感染率が有意に高く、
(しょうにでは0~9さいで1.1%(2/180)、)
小児では0~9歳で1.1%(2/180)、
(10さいだいで0.9%(2/226)とひくかった。)
10歳代で0.9%(2/226)と低かった。
(かていにおいてもますくちゃくよう、)
家庭においてもマスク着用、
(しゅしえいせいなどのこじんよぼうさくをじゅんしゅしてかんせんよぼうをすいしょうするひつようがある。)
手指衛生などの個人予防策を遵守して感染予防を推奨する必要がある。
(「しょうにのていきよぼうせっしゅじっしじょうきょう」)
「小児の定期予防接種実施状況」
(whoのちょうさによると、covid-19りゅうこうご、64%のくににおいて)
WHOの調査によると、COVID-19流行後、64%の国において
(ていきよぼうせっしゅのこんらんまたはいちじちゅうだんがかくにんされた。)
定期予防接種の混乱または一時中断が確認された。
(こくないのいちぶちいき(かわさきし)でおこなわれたちょうさによると、)
国内の一部地域(川崎市)で行われた調査によると、
(covid-19りゅうこうまえ(2019ねん3がつ)とひかくし、)
COVID-19流行前(2019年3月)と比較し、
(りゅうこうご(2020ねん3がつ)のよぼうせっしゅけんすうは、4しゅこんごうわくちん)
流行後(2020年3月)の予防接種件数は、4種混合ワクチン
(しょかいせっしゅついかせっしゅはそれぞれ97.2%86.8%、)
初回接種・追加接種はそれぞれ97.2%・86.8%、
(ましんふうしんこんごうわくちん1き2きはそれぞれ95.3%52.8%、)
麻しん風しん混合ワクチン1期・2期はそれぞれ95.3%・52.8%、
(にほんのうえんわくちん1きしょかい1きついか2きはそれぞれ)
日本脳炎ワクチン1期初回・1期追加・2期はそれぞれ
(65.1%55.1%34.8%、)
65.1%・55.1%・34.8%、
(じふてりあはしょうふう2しゅこんごうわくちんは33.0%にげんしょうしていた。)
ジフテリア破傷風2種混合ワクチンは33.0%に減少していた。
(よぼうせっしゅけんすうのていかはとくにねんちょうじやししゅんきしょうにをたいしょうとしたわくちんで、)
予防接種件数の低下は特に年長児や思春期小児を対象としたワクチンで、
(よりけんちょであった。いちぶのvpdはねんちょうじいこうにりかんしたばあいであっても、)
より顕著であった。一部のVPDは年長児以降に罹患した場合であっても、
(じゅうとくなしょうじょうやこういしょうをみとめるばあいがある。)
重篤な症状や後遺症を認める場合がある。
(またcovid-19りゅうこうによるせかいてきなよぼうせっしゅりつのていかにより、)
またCOVID-19流行による世界的な予防接種率の低下により、
(せかいぜんたいでのvpdにたいする)
世界全体でのVPDに対する
(herd immunityがていかすることもけねんされている。)
herd immunityが低下することも懸念されている。
(いじょうより、covid-19りゅうこうかでも、すべてのねんれいにおいて)
以上より、COVID-19流行下でも、すべての年齢において
(すいしょうされるせっしゅすけじゅーるをじゅんしゅすることは、それぞれのわくちんのゆうこうせい)
推奨される接種スケジュールを遵守することは、それぞれのワクチンの有効性
(およびあんぜんせいをさいだいげんかくほするうえでもひじょうにじゅうようである。)
および安全性を最大限確保する上でも非常に重要である。
(いっぽうでほごしゃがあんしんしてせっしゅするためには、でんわなどでじぜんに)
一方で保護者が安心して接種するためには、電話などで事前に
(かかりつけいとせっしゅにちじをちょうせいするなどのくふうもひつようである。)
かかりつけ医と接種日時を調整するなどの工夫も必要である。
(また、やむをえずせっしゅがおくれたわくちんがあるばあいは、なるべくそうきに)
また、やむを得ず接種が遅れたワクチンがある場合は、なるべく早期に
(きゃっちあっぷせっしゅをするひつようがある。ちほうじちたいによっては)
キャッチアップ接種をする必要がある。地方自治体によっては
(ていきせっしゅじきをこえていてもとくれいとして、)
定期接種時期を超えていても特例として、
(ていきせっしゅにじゅんじたせっしゅをみとめているじちたいもあるので、)
定期接種に準じた接種を認めている自治体もあるので、
(きょじゅうちいきのほけんじょにそうだんしてもらいたい。)
居住地域の保健所に相談してもらいたい。
(「しょうにのかわさきびょうにるいじしたしょうじょうとのかんれん」)
「小児の川崎病に類似した症状との関連」
(2020ねん2がつまつから4がつにかけておうべいしょこくでの)
2020年2月末から4月にかけて欧米諸国での
(sars-cov-2かんせんしゃすうのきゅうぞうにともない、いぎりす、いたりあ、)
SARS-CoV-2感染者数の急増に伴い、イギリス、イタリア、
(べいこく、ふらんすなどで、ふくすうのぞうきにえんしょうをみとめるしょうにたぞうきえんしょうしょうこうぐん)
米国、フランスなどで、複数の臓器に炎症を認める小児多臓器炎症症候群
(のなかに、かわさきびょうにるいじしたれいがすくなからずみられる。 とあいついでほうこくされた。)
の中に、川崎病に類似した例が少なからずみられる。 と相次いで報告された。
(それらにきょうつうしたとくちょうとして、ねんれいが10だいをふくむねんちょうじにおおく、)
それらに共通した特徴として、年齢が10代を含む年長児に多く、
(じんしゅはあふりかけい、ひすぱにっくけいがおおく、 あじあけいが5%いかとすくない。)
人種はアフリカ系、ヒスパニック系が多く、 アジア系が5%以下と少ない。
(しょうじょうは、いちょうしょうじょうやかんせつつうしょうじょうをともなうれい、)
症状は、胃腸症状や関節痛症状を伴う例、
(けつあつていかやしんきんえんのしょけん、まくろふぁーじかっせいかしょうこうぐんが)
血圧低下や心筋炎の所見、マクロファージ活性化症候群が
(いずれもはんすうちかくにみられた。 めんえきぐろぶりんちりょうは)
いずれも半数近くに見られた。 免疫グロブリン治療は
(ほぼぜんれいにおこなわれているが、ふのうれいがおおい。)
ほぼ全例に行われているが、不応例が多い。
(また、あじあけんではまだどうようのほうこくはなく、)
また、アジア圏ではまだ同様の報告はなく、
(げんじてんでは、sars-cov-2かんせんにともなう かわさきびょうるいじのしょうじょうは、)
現時点では、SARS-CoV-2感染に伴う 川崎病類似の症状は、
(てんけいてきなかわさきびょうとはことなるびょうたいであろうとかんがえられている。)
典型的な川崎病とは異なる病態であろうと考えられている。
(ただし、ほうこくれいのなかに、かんどうみゃくびょうへんがっぺいれいが)
ただし、報告例の中に、冠動脈病変合併例が
(10~20%だいにみられており、 sars-cov-2かんせんでは)
10~20%台にみられており、 SARS-CoV-2感染では
(ace2じゅようたいをかいしてけっかんへきへのしんにゅうがおこるため、)
ACE2受容体を介して血管壁への侵入が起こるため、
(けっかんえんとけっせんけいせいのゆうはつがかんがえられ、)
血管炎と血栓形成の誘発が考えられ、
(かわさきびょうとどうようにかんどうみゃくにもえんしょうがはきゅうするかのうせいはひていできない。)
川崎病と同様に冠動脈にも炎症が波及する可能性は否定できない。
(にほんでもしょうにのかんせんれいがじょじょにぞうかし、さいきん、 sars-cov-2の)
日本でも小児の感染例が徐々に増加し、最近、 SARS-CoV-2の
(こうたいじょうしょうしゃが8しゅうごにかわさきびょうをはっしょうしたれいがほうこくされたものの、)
抗体上昇者が8週後に川崎病を発症した例が報告されたものの、
(しょっくやたぞうきしょうがいはなかった。 まだおうべいとどうようのげんしょうはみられていないが)
ショックや多臓器障害はなかった。 まだ欧米と同様の現象は見られていないが
(こんごもじゅうぶんにちゅうししていくひつようがある。)
今後も十分に注視していく必要がある。