煙草の害について その参

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(ゆうしょくにひとをよぶこともしないんです。まったくあれはくちやかましいけちなおんなですから)

夕食に人を呼ぶ事もしないんです。全くあれは口やかましいケチな女ですから

(ね、きゃくにきてくれるひとなんぞあるものですか。もっともごくないみつにおおしえしときます)

ね、客に来てくれる人なんぞあるものですか。最もごく内密にお教えしときます

(けどね、うちのむすめをごらんになりたければたいさいひのたびにおばのなたーりゃ・)

けどね、うちの娘をご覧になりたければ大祭日の度に伯母のナターリャ・

(せみょーのヴぁのところであえますよ、なたーしゃ・せみょーのヴぁってのは、)

セミョーノヴァのところで会えますよ、ナターシャ・セミョーノヴァってのは、

(ほら、まるであぶらむしでもばらまいたみたいにくろいぽつぽつのついたきいろいふくを )

ほら、まるで油虫でもばら撒いたみたいに黒いポツポツの付いた黄色い服を

(ねんじゅうきている、りゅーまちやみのおんなですよ。ほらてんかんやみでみぎあしのおやゆびが)

年中着ている、リューマチ病みの女ですよ。ほらテンカン病みで右足の親指が

(かけている、むかしのかへいをあつめてるおんなですよ。あのいえじゃね、ざくーすかもだして)

欠けている、昔の貨幣を集めてる女ですよ。あの家じゃね、ザクースカも出して

(くれるんです。かないがいかないときにはこいつもやれるんですよ。おことわりしとき)

くれるんです。家内が行かない時にはこいつもやれるんですよ。お断りしとき

(ますがわたしはぐらすいっぱいでようんです。よえばたのしくなるしどうじにいうに)

ますが私はグラス一杯で酔うんです。酔えば楽しくなるし同時に言うに

(いわれぬやるせないきもちになりましてね。なぜかわかいころをおもいだしてどうい)

言われぬやるせない気持ちになりましてね。何故か若い頃を思い出してどうい

(うわけかにげだしたくなるんです。ああそのきもちがどれほどつよいかわかっていただ)

う訳か逃げ出したくなるんです。ああその気持ちがどれほど強いか判って頂

(けたらなあ。にげだしたいんです、どこへですって?どこだってかまうもんですか)

けたらなあ。逃げ出したいんです、何処へですって?何処だって構うもんですか

(ただこのらちもないぐれつなちゃちなせいかつからにげられさえすりゃいいんだ )

ただこのラチもない愚劣なちゃちな生活から逃げられさえすりゃいいんだ

(わたしをこんなみじめなとしとったばかにみじめなおいぼれのぼけなすにしちまった)

私をこんな惨めな歳とった馬鹿に惨めな老いぼれのボケナスにしちまった

(このせいかつからにげられさえすればいいんです。あのおろかなぞくっぽい)

この生活から逃げられさえすればいいんです。あの愚かな俗っぽい

(いじのわるいしょうわるなしゅせんどのそばからにげるんです。33ねんものあいだわたしをいび)

意地の悪い性悪な守銭奴の側から逃げるんです。33年もの間私をいび

(りつづけたつまのそばやおんがくやすいじばやかないのざいさんやそういったくだらないていぞくないっさい)

り続けた妻の側や音楽や炊事場や家内の財産やそういった下らない低俗な一切

(のものからにげられさえすりゃいいんです。そしてそこからとおいとおいのはらのなか)

のものから逃げられさえすりゃいいんです。そしてそこから遠い遠い野原の中

(でたちどまってひろびろとしたおおぞらのしたにきかはしらかおおきなかかしにでもなったように)

で立ち止まって広々とした大空の下に木か柱か大きなカカシにでもなった様に

(たちつくしてすみきったしずかなつきがずじょうにかかっているのをよどおしながめなが)

立ち尽くして澄みきった静かな月が頭上にかかっているのを夜通し眺めなが

など

(らなにもかもわすれてしまいたいんです。ああわたしはなにひとつおぼえていたくないんだ!)

ら何もかも忘れてしまいたいんです。ああ私は何一つ覚えていたくないんだ!

(30ねんまえけっこんしきのときにきたこのぐれつなふるめかしいえんびふくをぬぎすてたくて)

30年前結婚式の時に着たこの愚劣な古めかしい燕尾服を脱ぎ捨てたくて

(たまらないんです。わたしはいつもこれをきてゆうえきなこうえんとやらをやらされてきたん)

堪らないんです。私は何時もこれを着て有益な講演とやらをやらされてきたん

(だ。こんなものこうしてやるわ!わたしはおいぼれでびんぼうでみじめなにんげんです。ちょうど)

だ。こんな物こうしてやるわ!私は老いぼれで貧乏で惨めな人間です。丁度

(つぎはぎだらけのくたびれたこのちょっきとおなじようなもんですよ。わたしにはもうなにも)

ツギハギだらけの草臥れたこのチョッキと同じ様なもんですよ。私にはもう何も

(ひつようないんです!わたしはこんなものよりはこうしょうでじゅんすいなんだ。これでもかつては)

必要ないんです!私はこんなものよりは高尚で純粋なんだ。これでも嘗ては

(わかわかしいこともあったしあたまもよかったんです。だいがくにまなんだこともゆめをくりひろげたこと)

若々しい事もあったし頭も良かったんです。大学に学んだ事も夢を繰り広げた事

(もあったしじぶんをひとかどのにんげんとおもっていたこともあります。でもいまとなっちゃ)

もあったし自分を一角の人間と思っていた事もあります。でも今となっちゃ

(もうなにもひつようないんだ、ちくしょう!よくおれはおまえなんぞとけっこんできたもんさろしあ)

もう何も必要ないんだ、畜生!よく俺はお前なんぞと結婚出来たもんさロシア

(のれいけつかんめ!おれとあろうものがかぜのようにじゆうなにんげんでありたかでありかもしかであ)

の冷血漢め!俺とあろうものが風の様に自由な人間であり鷹でありカモシカであ

(りひとくちにいってげいじゅつかであるじぶんじしんをへんけんとくだらぬさじからできている)

り一口に言って芸術家である自分自身を偏見と下らぬ些事から出来ている

(こんなこおりのたましいにむすびつけちまったとはな、あくまめ!おまえはこおりだ!もくぞうの)

こんな氷の魂に結び付けちまったとはな、悪魔め!お前は氷だ!木造の

(いや、いしづくりのぎゅうにくだよ!おまえは、おまえはばかおんなだ!なくがいいさ、ろしあの)

いや、石造りの牛肉だよ!お前は、お前は馬鹿女だ!泣くがいいさ、ロシアの

(そーせーじやろう!おまえのおっとはげいじゅつかだぞ、こしょうにんじゃないんだ!たんとなけ)

ソーセージ野郎!お前の夫は芸術家だぞ、小商人じゃないんだ!たんと泣け

(びやだるめ!しずかなよせいのほかにはあんそくのほかにはなにもいりませんよ。あなたは)

ビヤ樽め!静かな余生の他には安息の他には何も要りませんよ。あなたは

(いやわたしのひとちがいです。やはりあなたですね。そののほうずなあごひげにぼさぼさ)

いや私の人違いです。やはり貴方ですね。その野放図なアゴ髭にボサボサ

(のかみええそうやってすりきれたえんびふくのまえでりょううでをくんでたばこをふかして)

の髪ええそうやってすり切れた燕尾服の前で両腕を組んで煙草を吹かして

(いた。いえいえわすれちゃいませんよ。あのときにくらべてひげもかみもずいぶんとしろいものが)

いた。いえいえ忘れちゃいませんよ。あの時に比べて髭も髪も随分と白いものが

(おおくなっておりますがあれはたしか18ねんまえ、いやもう20ねんになりますか)

多くなっておりますがあれは確か18年前、いやもう20年になりますか

(わたくしがたまたまおとずれたもろじょーばむらのいざかやにいくとあなたたしか)

わたくしがたまたま訪れたモロジョーバ村の居酒屋に行くと貴方確か

(あんどれい・あんどれーいちさんとかおっしゃいましたねたしか。ええおかげさまでわたしは)

アンドレイ・アンドレーイチさんとか仰いましたね確か。ええお陰様で私は

(きおくりょくがひとなみはずれてよいほうでして。あなたはいすにすわってゆうぜんとたばこをふかし)

記憶力が人並外れて良い方でして。貴方は椅子に座って悠然と煙草を吹かし

(ながらこうおっしゃったんです。しつれいあなたはたばこをおやりにならないようだがこのよ)

ながらこう仰ったんです。失礼貴方は煙草をおやりにならない様だがこの世

(でわたしにとってたばことこどくほどなぐさみになるものはないものだからね。そうでしたね)

で私にとって煙草と孤独ほど慰みになるものはないものだからね。そうでしたね

(あんどれい・あんどれーいちさん。そしてわたしがうぉっかをてにちかづくとあなたは)

アンドレイ・アンドレーイチさん。そして私がウォッカを手に近づくと貴方は

(わたしにこうおっしゃったんです。わたしはついいましがたかないをころしてきました。このたばこを)

私にこう仰ったんです。私はつい今しがた家内を殺してきました。この煙草を

(すいおわったらとなりむらのけいさつしょにしゅっとうするつもりです。りょこうしゃのかたうぉっかのほか)

吸い終わったら隣村の警察署に出頭するつもりです。旅行者の方ウォッカの他

(にはなにもないむらだが、どうぞごゆっくりと。あいやいやここにこうし)

には何もない村だが、どうぞごゆっくりと。あいやいやここにこうし

(ていらっしゃるということはけいきをおえられたかあるいはあんどれい・あんど)

ていらっしゃるということは刑期を終えられたか或いはアンドレイ・アンド

(れーいちさんのおはなしがうそだったかということでありますからどうぞごしんぱいなく。)

レーイチさんのお話が嘘だったかと言う事でありますからどうぞご心配なく。

(まことにざんねんながらころしたはずのおくさまがいちめいをとりとめたということもかんがえられましょ)

誠に残念ながら殺したはずの奥様が一命を取り留めたと言う事も考えられましょ

(うがしかしそれはよいので。あんどれい・あんどれーいちさん。わたしにとって)

うがしかしそれは良いのです。アンドレイ・アンドレーイチさん。私にとって

(そんなことはまあどっちだってかまわない。あなたごじしんのことですから。わたしにはなにも)

そんな事はまあどっちだって構わない。貴方ご自身の事ですから。私には何も

(できない。ただ、わたしはただあのときのあなたのことばがきになっていたんです、ずっと)

出来ない。ただ、私はただあの時の貴方の言葉が気になっていたんです、ずっと

(わたしがとなりにすわるとあなたはこうおっしゃいましたね。わたしはあいつにかないにかくべつふまんが)

私が隣に座ると貴方はこう仰いましたね。私はアイツに家内に格別不満が

(あったわけではない。りょうりはさしてうまくもまずくもなかったしやしきだっていつも)

あった訳ではない。料理はさして美味くも不味くもなかったし屋敷だっていつも

(それなりにかたしていた。つまりつまとしてはそれなりにひとなみだったということだ。)

それなりに片していた。つまり妻としてはそれなりに人並みだったと言う事だ。

(そしてそれでわたしはべつだんもんくなどなかった。それいじょうのおんなであってほしいなどと)

そしてそれで私は別段文句などなかった。それ以上の女であって欲しいなどと

(すこしもおもっていなかった。わたしもただつきにせいぜいなんびゃくかぺいかしかかせぐしかのうが)

少しも思っていなかった。私もただ月にせいぜい何百カペイカしか稼ぐしか能が

(ないしがないへいぼんなむらのきょうしにすぎないからだ。だが、だがあれだけはゆるせな)

ないしがない平凡な村の教師にすぎないからだ。だが、だがあれだけは許せな

(い。どうにもがまんがならなかった。あいつのあのわたしのみみもとでいつもみつばちが)

い。どうにも我慢がならなかった。アイツのあの私の耳元でいつも蜜蜂が

(とびまわっているようなあいつのおしゃべりだけは。じっさいさっきもそうだった。あいつは)

飛び回っている様なアイツのお喋りだけは。実際さっきもそうだった。アイツは

(まるでむらじゅうのみつばちをかきあつめてきたかのようにあのひときわかんだかいこえでわたしをせめたてた)

まるで村中の蜜蜂をかき集めてきたかの様にあの一際甲高い声で私を責め立てた

(のだ。それもわたしのみみもとで。いいかいこうだよ。あなたはどうしていつもそうなの)

のだ。それも私の耳元で。いいかいこうだよ。貴方はどうしていつもそうなの

(よ。どうしてわたしのことをほったからかしにするのよ。あなたほんとうはしってるんで)

よ。どうして私の事をほったからかしにするのよ。貴方本当は知ってるんで

(しょう。ううんしってるのよ。しってるにきまってるわ。わたしがとこやのぷすとわー)

しょう。ううん知ってるのよ。知ってるに決まってるわ。私が床屋のプストワー

(ろふとあいびきしていること。できちゃったこと。しってるんでしょう?ええそうよ。)

ロフと逢引している事。出来ちゃった事。知ってるんでしょう?ええそうよ。

(わたしはぷすとわーろふとできちゃったわ。あってるわいつもあなたのかえりがおそい)

私はプストワーロフと出来ちゃったわ。逢ってるわいつも貴方の帰りが遅い

(ひに。ええきょうも。きょうもついさっきまでいっしょだったわ。はしのむこうのもりでぷ)

日に。ええ今日も。今日もついさっきまで一緒だったわ。橋の向こうの森でプ

(すとわーろふにあってきたわ。あってだかれてきたのあのたくましいうでに。ほら)

ストワーロフに会ってきたわ。会って抱かれてきたのあの逞しい腕に。ほら

(ここにかれくさがついているでしょうこのうでに。かれはぷすとわーろふはいつも)

ここに枯れ草が付いているでしょうこの腕に。彼はプストワーロフはいつも

(いってくれるわ。ぜるげえーぶなきれいだよ。きみのこのくろいながいかみはまるでかぜ)

言ってくれるわ。ゼルゲエーブナ綺麗だよ。君のこの黒い長い髪はまるで風

(になびくさらぶれっとのようだ。でもいい?あんどれーいち。わたしがぷすとわーろふ)

になびくサラブレットの様だ。でもいい?アンドレーイチ。私がプストワーロフ

(とできちゃったのはあなたがわたしにかまってくれないからよ。いえにかえるといつもそ)

と出来ちゃったのは貴方が私に構ってくれないからよ。家に帰るといつもそ

(うやっていすにすわりこんでしょもつをよんでいるだけだからよ。むろんわたしはしって)

うやって椅子に座り込んで書物を読んでいるだけだからよ。無論私は知って

(おったよかないととこやのぷすとわーろふができていたことは。だがわたしはべつにはらも)

おったよ家内と床屋のプストワーロフが出来ていた事は。だが私は別に腹も

(たたなかったししっともしなかった。むしろあいつがぜるげえーぶながどうし)

立たなかったし嫉妬もしなかった。むしろアイツがゼルゲエーブナがどうし

(てしたてやのぐろーふにいいよらなかったのかふしぎにおもってたくらいだ。)

て仕立て屋のグローフに言い寄らなかったのか不思議に思ってたくらいだ。

(ぐーろふのほうがずんぐりむっくりのぷすとわーろふよりよほどいいおとこだからね、)

グーロフの方がずんぐりむっくりのプストワーロフより余程いい男だからね、

(わかくて。といってわたしはあいつをかないをあいしていた。あいつのとりたててなにもな)

若くて。と言って私はアイツを家内を愛していた。アイツの取り立てて何もな

(いへいぼんなところをね。そりゃあたしかにかまわないことにすこしきはひけたがでもけっこんする)

い平凡な所をね。そりゃあ確かに構わない事に少し気は引けたがでも結婚する

(ときにわたしはこういったはずなんだあいつに。わたしがほしいのはただしずかなせいかつなんだ)

時に私はこう言った筈なんだアイツに。私が欲しいのはただ静かな生活なんだ

(ぜるげえーぶな。わたしはいつもせんじょうできかんじゅうをうちあうようなかていにそだったものだか)

ゼルゲエーブナ。私はいつも戦場で機関銃を撃ち合う様な家庭に育ったものだか

(らねと。おやじとおふくろがけんかばかりしていたものでね。だからさっきもそう)

らねと。親父とお袋が喧嘩ばかりしていたものでね。だからさっきもそう

(いってやったよ。いいかいぜるげえーぶな。けっこんするときにいったろう。わたしが)

言ってやったよ。いいかいゼルゲエーブナ。結婚する時に言ったろう。私が

(ほしいのは・・・そのときだ。そのときあいつはさらにひすてりっくなこえでわめいたよ)

欲しいのは・・・その時だ。その時アイツは更にヒステリックな声で喚いたよ

(わたしはぷすとわーろふとねたっていってるのよって。そしてそういったかとおもうと)

私はプストワーロフと寝たって言ってるのよって。そしてそう言ったかと思うと

(いきなりわたしがくわえていたたばこをさっととりあげたのだ。わたしのわたしのほとんどゆいいつの)

いきなり私が咥えていた煙草をサッと取り上げたのだ。私の私の殆ど唯一の

(なぐさみであるたばこを。どうしてたばこがなぐさみなのかって?そりゃたしかにたばこはからだに)

慰みである煙草を。どうして煙草が慰みなのかって?そりゃ確かに煙草は体に

(わるいね。たばこのにこちんはしんけいばかりかまっしょうのぞうきにまでがいをおよぼす。だが)

悪いね。煙草のニコチンは神経ばかりか抹消の臓器にまで害を及ぼす。だが

(いいかねわたしはたばこをすうことでわたしのかびんすぎるしんけいやないぞうをころしていたのだよ。)

いいかね私は煙草を吸う事で私の過敏過ぎる神経や内臓を殺していたのだよ。

(そうしなけりゃかないのこえだけじゃないとりのなきごえやもりのざわめきつうこうにんのあ)

そうしなけりゃ家内の声だけじゃない鳥の鳴き声や森のざわめき通行人のあ

(のうるさいおしゃべりなどでわたしのしずかなせいかつはとっくにこわされていたにちがいないか)

のうるさいお喋りなどで私の静かな生活はとっくに壊されていたに違いないか

(らね。あいつはそのたばこをわたしからとりあげた。そのときわたしのしんけいはもうがまんが)

らね。アイツはその煙草を私から取り上げた。その時私の神経はもう我慢が

(できなくなった。なにしろたばこがないんだからねわたしのしんけいやないぞうをなぐさめてくれ)

出来なくなった。なにしろ煙草がないんだからね私の神経や内臓を慰めてくれ

(る。それでわたしはおもわずさしてしまったんだぜるげえーぶなを。つくえのうえにあった)

る。それで私は思わず刺してしまったんだゼルゲエーブナを。机の上にあった

(ないふでね。でもけいさつもしんぶんもあしたになればこういうだろう。いやむらのれんちゅう)

ナイフでね。でも警察も新聞も明日になればこう言うだろう。いや村の連中

(だって。あいつはあんどれーいちはにょうぼうにまおとこされたもんだからにょうぼうをころした)

だって。あいつはアンドレーイチは女房に間男されたもんだから女房を殺した

(んだってね。そうでしたねまろーじょもぶむらのあんどれいあんどれー)

んだってね。そうでしたねマロージョモブ村のアンドレイ・アンドレー

(いちさん。ええいまようやくわかりましたよ)

イチさん。ええ今ようやく分かりましたよ  (続く)

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