柘榴

(しんぞうにかぎをかけはーとごととじこめて)

心臓に鍵をかけ　ハートごと閉じ込めて

(ろっこつをかきわけてもいだちいさなかじつ)

肋骨をかきわけて　もいだ小さな果実

(たてまえのはかいしにはなをそえほんねいだき)

建前の墓石に　花を添え　本音抱き

(ものくろのかおのおくかくしたおもいはまっか)

モノクロの顔の奥　隠した想いは真っ赤

(どこかのだれかみたいにつよくはなれなくて)

どこかの誰かみたいに　強くはなれなくて

(わらいがおをくみたてるのがうまくなったみたい)

笑い顔を組み立てるのが　上手くなったみたい

(まいおちるはなふぶきよ)

舞い落ちる　花吹雪よ

(ひそかにもれそうなほんねとおどれ)

ひそかに漏れそうな　本音と踊れ

(ぱっくりひらいたむねのなかみえるかいほんねがごろごろ)

ぱっくり開いた胸の中　見えるかい？本音がゴロゴロ

(ふたをとじたらりぼんかけぼくはうなずいた)

蓋をとじたらリボンかけ　僕はうなずいた

(のうめんにえがくえがおはあじもしゃしゃりもありゃしないさ)

能面に描く笑顔は　味もしゃしゃりもありゃしないさ

(なきながらわらうぼくらのほんとうはどっちだ)

泣きながら笑う僕等の　本当はどっちだ

(どこかのだれかみたいによわねははけなくて)

どこかの誰かみたいに　弱音は吐けなくて

(つよがってみせてみるのがふつうになったみたい)

強がって見せてみるのが　普通になったみたい

(かぜたちぬとおりあめよ)

風立ちぬ　通り雨よ

(しずかにこぼれだすなみだとまざれ)

静かにこぼれだす　涙とまざれ

(すがたもかたちもちがうからかたちないこころをぼくらは)

姿も形も違うから　形ない心を僕等は

(こねくりまわしかたどってはめあおうとする)

こねくりまわし象って　はめ合おうとする

(あわせてつくったかたちにあじもへったくれもないけども)

合わせて作った形に　味もへってくれもないけども

(なきながらわらうぼくらはそれでもひっしさ)

泣きながら笑う僕等は　それでも必死さ

(しんぞうのかぎあなにかろうじてみえるのは)

心臓の鍵穴に　かろうじて見えるのは

(ひざかかえうつむいてゆれるちいさなかじつ)

膝抱えうつむいて　揺れる小さな果実

(ぱっくりひらいたむねのなかみえるかいほんねがごろごろ)

ぱっくり開いた胸の中　見えるかい？本音がゴロゴロ

(ふたをとじたらりぼんかけぼくはたちあがる)

蓋をとじたらリボンかけ　僕は立ち上がる

(のうめんにえがくえがおはあじもしゃしゃりもありゃしないさ)

能面に描く笑顔は　味もしゃしゃりもありゃしないさ

(なきながらわらうぼくらはわらいながらないたりもするさ)

泣きながら笑う僕等は　笑いながら泣いたりもするさ

(やさしくはかなくあわれなぼくらさ)

優しく儚く　憐れな僕等さ