空想エレクティカ

(ぼくはいらないにんげんなんだと)

僕はいらない人間なんだと

(ぜんぶはなしてみせたら)

全部話してみせたら

(きみはどんなかおをするんだろう)

君はどんな顔をするんだろう

(まるでことばやこえやえいぞうにこころなぐられているようだ)

まるで言葉や声や映像に心殴られているようだ

(ここはちかいっかいだんしといれ)

ここは地下一階男子トイレ

(かげもかたちもないじんせいをぐりぐりかきまわしていたなら)

影も形もない人生をグリグリかき回していたなら

(もどせないってあとからしった)

戻せないって後から知った

(ちちおやもははおやもきょうだいもしょせんはたにんなんだから)

父親も母親も兄弟も所詮は他人なんだから

(ぼくのことなんてほうっといてくれよ)

僕のことなんて放っといてくれよ

(ふしぜんなうごきばっかりで)

不自然な動きばっかりで

(にげるのがじょうずだったりで)

逃げるのが上手だったりで

(めせんをあわせないようにいいきかせる)

目線を合わせないように言い聞かせる

(そうこいつはじつははったりで)

そうこいつは実はハッタリで

(ほんものはきっとかんだいで)

本物はきっと寛大で

(だれかがはったれってるもはがさずわらってる)

誰かが貼ったレッテルも剥がさず笑ってる

(いまにしへあらがうよあけ)

いま西へ抗う夜明け

(きみははなにでもなりにけり)

君は花にでもなりにけり

(しんのかちもしらないくせに)

真の価値も知らないくせに

(ただくうそう)

ただ空想

(ぼくのために)

僕のために

(さきにたたないはずのこうかいをしゅみれーしょんしてばっかりで)

先に立たないはずの後悔をシュミレーションしてばっかりで

(かわいそうなひとえんじている)

可哀想な人演じている

(だれもいえないほどのたいそうなゆめをはきちらしてあるく)

誰も言えないほどの大層な夢を吐き散らして歩く

(かえりみちなんてわすれちまったよ)

帰り道なんて忘れちまったよ

(ひとごみがにがてだったりで)

人混みが苦手だったりで

(じぶんのはなしばっかりで)

自分の話ばっかりで

(きみをわらわせたかんかくもみうしなってる)

君を笑わせた感覚も見失ってる

(だいじなものをうばったりで)

大事なものを奪ったりで

(れんらくはいつもばったりで)

連絡はいつもばったりで

(だれにもたねをあかせずにまたひとりないてる)

誰にも種をあかせずにまたひとり泣いてる

(いざしらずだけのつよさで)

いざ知らずだけの強さで

(ながれぼしにでもなりにけり)

流れ星にでもなりにけり

(しんのあいもしらないくせに)

真の愛も知らないくせに

(ただうたうきみのために)

ただ歌う君のために

(まよなかにつないだこいは)

真夜中に繋いだ恋は

(いらぬやさしさのおしうりだ)

要らぬ優しさの押し売りだ

(あああいをあいをください)

嗚呼愛を愛をください

(たださけぶだれのために)

ただ叫ぶ誰のために？

(いまにしへあらがうよあけ)

いま西へ抗う夜明け

(きみははなにでもなりにけり)

君は花にでもなりにけり

(しんのかちもしらないくせに)

真の勝ちも知らないくせに

(ただくうそうぼくのために)

ただ空想僕のために