ブラインド・エゴイスト

(あいじょうがそそがれていくすこしずつこえていく)

愛情が注がれていく 少しずつ肥えていく

(みたされて、ひたされて、つのっていく )

満たされて、浸されて、募っていく

(うまれたいみをさずけた)

生まれた意味を授けた

(あなたにこがれ、こがされる)

貴女に焦がれ、焦がされる

(たからのはなかざりも、いろあせたふぃるむも、)

宝の花飾りも、色褪せたフィルムも、

(もやされて、ぬりつぶされ、はいとなる)

燃やされて、塗り潰され、灰となる

(さいごにこのめでみたえがおは)

最期にこの眼で見た笑顔は

(なみだときょうきにまみれてた)

涙と狂気に塗れてた

(なんてひげきをかかえたまま)

なんて悲劇を抱えたまま

(こわれ、くずれ、はててゆくのでしょう)

壊れ、崩れ、果ててゆくのでしょう

(さあ、あわれみとなぐさみのこのいのり)

さあ、憐れみと慰みの此の祈り

(ささげましょう)

捧げましょう

(はいをやきつくしたこのいたみも、)

肺を焼き尽くしたこの痛みも、

(おるごーるがきざむこもりうたも、)

オルゴールが刻む子守唄も、

(あやまちすら、わたしをかたどるすべてなの)

過ちすら、私を象る全てなの

(まわりのだれもがあなたをせめても、)

周りの誰もが貴女を責めても、

(つみのはてをわたしはうけいれるよ)

罪の果てを私は受け入れるよ

(とぎれおちた、かいろ)

途切れ落ちた、回路

(さんじょうとうつろなこうけいくろくいびつなじょうけい)

惨状と虚ろな光景 黒く歪な情景

(めがさめて、ねつはさめ、こどうはなく)

目が覚めて、熱は冷め、鼓動は失く

(はきけすらかんじることができない)

吐き気すら感じることが出来ない

(もえがらをながめてた)

燃殻を眺めてた

(かみがこのよにいるのなら、)

神がこの世にいるのなら、

(どうしてこんなばつをわたしにあたえたの？)

どうしてこんな罰を私に与えたの？

(ただ、ゆめみてた、こがれてた)

ただ、夢見てた、焦がれてた

(あいしてた、だけなのに)

愛してた、だけなのに

(そっとあなただったかみとはだに)

そっと貴女だった髪と肌に

(ふれることすらかなわないのかな)

触れることすら叶わないのかな

(さめないおんどおきざりにされたこのこころ)

覚めない温度 置き去りにされたこの心

(かたわらでうちすてられた)

傍で打ち捨てられた

(ふたつのざんがいにはきょうみもしめせないよ)

二つの残骸には興味も示せないよ

(あなたしかみえない)

貴女しか見えない

(わなをはったくもは)

罠を張った蜘蛛は

(すこしずつにわのちょうのはねをかみつぶす)

少しずつ二羽の蝶の羽根を噛み潰す

(きづかれないようにじかんをかけてくらった)

気づかれないように時間を掛けて喰らった

(どくをもってさいごのしあげにこころをすりつぶす)

毒を以て最後の仕上げに心を磨り潰す

(よごれをのこさずはいできれいなわたしのかんせい)

汚れを残さず剥いで綺麗な私の完成

(あなたとふたりきりだね)

貴女と二人きりだね

(それだけがのぞみだったのに)

それだけが望みだったのに

(このてにのこったのはいしだけ)

この手に残ったのは意思だけ

(でもきづいたの)

でも気づいたの

(あなたのなかできれいなままわたしはいきていける)

貴女の中で綺麗なまま私は生きていける

(さめないゆめのちゅうしんで)

冷めない夢の中心で

(ねつをおびたおもいがとどいたんだ)

熱を帯びた想いが届いたんだ

(こぼれてゆくからだをみつめ)

零れてゆく身体を見つめ

(ささやかな「あい」をささぐ)

ささやかな「アイ」を捧ぐ