生きていたんだよな／あいみょん

(ふつかまえこのへんで)

二日前このへんで

(とびおりじさつしたひとのにゅーすがながれてきた)

飛び降り自殺した人のニュースが流れてきた

(ちまみれせーらーぬれぎぬせんこー)

血まみれセーラー 濡れ衣センコー

(たちまちここらはねっとのえじき)

たちまちここらはネットの餌食

(「あぶないですからはなれてください」)

「危ないですから離れてください」

(そのせりふがしゅうごうのあいずなのにな)

そのセリフが集合の合図なのにな

(ばかさわぎしたやつらがあほみたいにとりまくった)

馬鹿騒ぎした奴らがアホみたいに撮りまくった

(つめたいあすふぁるとにながれる)

冷たいアスファルトに流れる

(あのちのなんともいえない)

あの血の何とも言えない

(あかさがきれいできれいで)

赤さが綺麗で綺麗で

(ないてしまったんだ)

泣いてしまったんだ

(ないてしまったんだ)

泣いてしまったんだ

(なにもしらないぶらうんかんのそとがわで)

何にも知らないブラウン管の外側で

(いきていきていきていきていきて)

生きて生きて生きて生きて生きて

(いきていきていきていたんだよな)

生きて生きて 生きていたんだよな

(さいごのさよならはほかのだれでもなく)

最後のサヨナラは他の誰でもなく

(じぶんにさけんだんだろう)

自分に叫んだんだろう

(かのじょがさいごにながしたなみだ)

彼女が最後に流した涙

(いきたあかしのあかいちは)

生きた証の赤い血は

(なにもしらないおとなたちに)

何も知らない大人たちに

(にびょうでふきとられてしまう)

二秒で拭き取られてしまう

(たちいりきんしのきいろいてーぷ)

立ち入り禁止の黄色いテープ

(「どらまでしかみたことない」)

「ドラマでしかみたことない」

(そんなことばがとびかうなかで)

そんな言葉が飛び交う中で

(いまかのじょはいったいなにをおもっているんだろう)

いま彼女はいったい何を思っているんだろう

(とおくでとおくで)

遠くで 遠くで

(なきたくなったんだ)

泣きたくなったんだ

(なきたくなったんだ)

泣きたくなったんだ

(ながいはずのいちにちがもうくれる)

長いはずの一日がもう暮れる

(いきていきていきていきていきて)

生きて生きて生きて生きて生きて

(いきていきていきていたんだよな)

生きて生きて 生きていたんだよな

(あたらしいなにかがはじまるとき)

新しい何かが始まる時

(きえたくなっちゃうのかな)

消えたくなっちゃうのかな

(ああ)

ああ

(「いまあるいのちをせいいっぱいいきなさい」)

「今ある命を精一杯生きなさい」

(なんてきれいごとだな)

なんて綺麗事だな

(せいいっぱいゆうきをふりしぼってかのじょはそらをとんだ)

精一杯勇気を振り絞って彼女は空を飛んだ

(とりになってくもをつかんで)

鳥になって 雲をつかんで

(かぜになってはるかとおくへ)

風になって 遥遠くへ

(きぼうをいだいてとんだ)

希望を抱いて飛んだ

(いきていきていきていきていきて)

生きて生きて生きて生きて生きて

(いきていきていきていたんだよな)

生きて生きて 生きていたんだよな

(あたらしいなにかがはじまるとき)

新しい何かが始まる時

(きえたくなっちゃうのかな)

消えたくなっちゃうのかな

(いきていきていきていきていきて)

生きて生きて生きて生きて生きて

(いきていきていきていたんだよな)

生きて生きて 生きていたんだよな

(さいごのさよならはほかのだれでもなく)

最後のサヨナラは他の誰でもなく

(じぶんにさけんだんだろう)

自分に叫んだんだろう

(さよならさよなら)

サヨナラ サヨナラ