鷹の歌

(あなたはつえをついてゆっくりとあるいてきた)

あなたは杖をついてゆっくりと歩いて来た

(みてはいけないようでわたしのしせんはたじろいだ)

見てはいけないようで私の視線はたじろいだ

(あなたはとてもおそくからだをはこんでいた)

あなたはとても遅く身体を運んでいた

(まわりのひとはみんないたわりのてをさしのべた)

まわりの人はみんないたわりの手を差しのべた

(たかとよばれていたひとが)

鷹と呼ばれていた人が

(はうようにいのちをはこぶ)

這うように命を運ぶ

(「みなさい」あなたのめが)

「見なさい」あなたの目が

(「みなさい」わたしをみた)

「見なさい」私を見た

(「おそれるなかれいきることを」)

「怖れるなかれ生きることを」

(たかのめがみつめてきた)

鷹の目が見つめて来た

(せかいはかわってゆくあなたはいつもそれの)

世界は変わってゆくあなたはいつもそれの

(かえてはならないことをつよくさけびつづけてきた)

変えてはならないことを強く叫び続けて来た

(せかいはかわってゆくあなたをわらいながら)

世界は変わってゆくあなたを嘲笑いながら

(わたしはあなたのうたをいたいたしくききかえす)

私はあなたの歌を痛々しく聴き返す

(はいいろのつばさはやせて)

灰色の翼は痩せて

(かすれたなきごえをあげて)

かすれた鳴き声をあげて

(「みなさい」あなたのめが)

「見なさい」あなたの目が

(「みなさい」わたしをみた)

「見なさい」私を見た

(「いのちをこえてつづくものを」)

「命を超えて続くものを」

(たかのめがさけんでいた)

鷹の目が叫んでいた

(あなたはとまりもせずそのままあるいてゆく)

あなたは停まりもせずそのまま歩いてゆく

(めんどうなみちばかりをあえてあるきつづけてゆく)

面倒な道ばかりをあえて歩き続けてゆく

(わたしはじぶんをはじるあなたをおもってはじる)

私は自分を恥じるあなたを思って恥じる

(らくなみちへながれくだるじぶんのやすさをはじる)

ラクな道へ流れくだる自分の安さを恥じる

(たかとよばれていたひとが)

鷹と呼ばれていた人が

(はうようにいのちをはこぶ)

這うように命を運ぶ

(「みなさい」あなたのめが)

「見なさい」あなたの目が

(「みなさい」わたしをみた)

「見なさい」私を見た

(「おそれるなかれいきることを」)

「怖れるなかれ生きることを」

(たかのめがみつめてきた)

鷹の目が見つめて来た

(「みなさい」あなたのめが)

「見なさい」あなたの目が

(「みなさい」わたしをみた)

「見なさい」私を見た

(「おそれるなかれいきることを」)

「怖れるなかれ生きることを」

(たかのめがみつめてきた)

鷹の目が見つめて来た