青色絵具

(ただあまいせいかつをのろうだけ)

ただ甘い生活を呪うだけ

(とけたあいすをのむえんてんかのうみべ)

溶けたアイスを飲む炎天下の海辺

(はいほてるをながめて)

廃ホテルを眺めて

(たがい、ちがうえいがのなかで)

互い、違う映画の中で

(むねのおくにいつかのあと)

胸の奥にいつかの跡

(くびれたさきのまるいあかりは)

くびれた先の丸い灯りは

(ていぼうのあるまちでうちあげはなびをならべている)

堤防のある街で打ち上げ花火を並べている

(さかさまにきえたひばな、)

逆さまに消えた火花、

(らむねをあけるおとなつ、だった。)

ラムネを開ける音　夏、だった。

(すすをかぶったあおいろえのぐ)

煤を被った　青色絵具

(ただあまいせいかつをのろうだけ)

ただ甘い生活を呪うだけ

(とけたあいすをのむえんてんかのうみべ)

溶けたアイスを飲む炎天下の海辺

(はいほてるをながめて)

廃ホテルを眺めて

(たがい、ちがうえいがのなかで)

互い、違う映画の中で

(ぼうはてい、かなあみのはだ)

防波堤、金網の肌

(ふしぎとこどもごころにのこるてざわりをなぞっている)

不思議と子供心に残る手触りをなぞっている

(がそりんのはなをつくにおい)

ガソリンの鼻をつく匂い

(とおくないてるとびのこえ)

遠く鳴いてる鳶の声

(おりーぶぐりーんのやねひにやけたあと)

オリーブグリーンの屋根　陽に焼けた痕

(しらなみ、あわがくだけてく)

白波、泡が砕けてく

(すなつぶのうえにもようをえがいていく)

砂粒の上に模様を描いていく

(びたんさんののうにひびくことば！)

微炭酸の脳に響く言葉！

(「ぺんきぬりたて」のいろのうみ)

「ペンキ塗りたて」の色の海

(いくつものまちのにおいを)

いくつもの街の匂いを

(おぼえておとなになってく)

覚えて大人になってく

(かけらのしおがひかってる)

カケラの塩が光ってる

(すくえばすきとおる２５ど)

掬えば透き通る25

(のこりがもえぎかたむいたばすてい)

残り香萌葱　傾いたバス停

(どうにでもなればいい)

どうにでもなればいい

(ふあんはしゃそう、ながれていく)

不安は車窓、流れていく

(ただあまいせいかつをのろうだけ)

ただ甘い生活を呪うだけ

(とけたあいすをのむえんてんかのうみべ)

溶けたアイスを飲む炎天下の海辺

(はいほてるをながめて)

廃ホテルを眺めて

(たがい、ちがうえいがのなかで)

互い、違う映画の中で