夏恋花火

(おしつぶされそうなひとごみ)

押し潰されそうな人ごみ

(みうしないそうでふあんになるけど)

見失いそうで不安になるけど

(あしばやにあるくあなたのせなか)

足早に歩くあなたの背中

(おいかけることがせいいっぱいで)

追いかけることが精一杯で

(きらきらひかりだすそらわきあがるかんせい)

キラキラ光り出す空　湧き上がる歓声

(ふとふれたみぎてがあつくなってく)

ふと触れた右手が熱くなってく

(よぞらにうかぶざんぞうにねがいをこめたはなび)

夜空に浮かぶ残像に願いを込めた花火

(はかなげなそのひかりをいのるようにみあげた)

儚げなその光を祈るように見上げた

(だれにもきこえぬこえでつぶやいたきえないで)

誰にも聞こえぬ声で呟いた「消えないで」

(そっとあなたとてをかさねたばしょにやどるひかり)

そっと、あなたと手を重ねた場所に宿る光

(きなれないゆかたすがたも)

着慣れない浴衣姿も

(つないだままのこのみぎても)

繋いだままのこの右手も

(いつもよりちかいふたりのきょりが)

いつもより近いふたりの距離が

(はずかしくなってうつむいていた)

恥ずかしくなってうつむいていた

(ひらひらまいちるはなきえてゆくせんこう)

ヒラヒラ舞い散る花消えてゆく閃光

(とどくようなきがしててをのばすけど)

届くような気がして手を伸ばすけど

(ゆめにえがいたいっしゅんをてらしだしてよはなび)

夢に描いた一瞬を照らし出してよ花火

(つないだあなたのそのてみうしなわないように)

繋いだあなたのその手見失わないように

(だれにもきこえぬこえでつぶやいたきえないで)

誰にも聴こえぬ声で呟いた「消えないで」

(そっとふたりがすごすみらいにふりそそぐはなびら)

そっと、ふたりが過ごす未来に降り注ぐ花びら

(よぞらにうかぶざんぞうにねがいをこめたはなび)

夜空に浮かぶ残像に願いを込めた花火

(はかなげなそのひかりをいのるようにみあげた)

儚げなその光を祈るように見上げた

(だれにもきこえぬこえでつぶやいたきえないで)

誰にも聴こえぬ声で呟いた「消えないで」

(ぎゅっとほどけそうになったてをにぎりしめた)

ぎゅっと、ほどけそうになった手を握りしめた

(あなたがくれたいっしゅんをむねにやきつけてはなび)

あなたが暮れた一瞬を胸に焼き付けて花火

(けっしてわすれることなどできないようにと)

決して忘れることなどできないようにと

(あなたにきこえるようにささやいたはなさないで)

あなたに聞こえるように囁いた「離さないで」

(ずっとかがやきつづけるひかりふたりだけのはなび)

ずっと、輝き続ける光　ふたりだけの花火