Night It *****

(「あまくみだらなよるはいらぬか」「あいにくぼくはひとをまつのだ」)

「甘く淫らな夜は要らぬか」「生憎僕は人を待つのだ」

(「だくもしらずなにをなすか」「しそうとそのげんじつにみをささぐのだ」)

「濁も知らず何を為すか」「思想とその現実に身を捧ぐのだ」

(「ひとたびみをかさねればいかなろんりもはじけとぶ)

「一度身を重ねれば　如何な論理も弾け飛ぶ

(あたらしいせかいのはじまりまいりましょうほら)

新しい世界の始まり　参りましょう　ほら

(ほれたはれたいったみぬいたこうふくろんとしてかくじつで)

惚れた腫れた　イった見抜いた　幸福論として確実で

(ていねんとにたげんじつしゅぎはえつらくなきよとはべつもので)

諦念と似た現実主義は　悦楽無き世とは別物で

(くらいこべや、じゅんかつあぶらさとうづけのつば、あしのすきま)

暗い小部屋、潤滑油　砂糖漬けの唾、脚の隙間

(さいたさいた、かんびなどぐまそのただしさをにくにやきつけて」)

咲いた咲いた、甘美なドグマ　その正しさを肉に焼き付けて」

(「さてはあくまかちみのたぐいか」「ひとぎきのわるい、けんちょうきょかすみだ」)

「さては悪魔か魑魅の類か」「人聞きの悪い、県庁許可済みだ」

(「せいしんのすうこうさをしらぬか」「はんろんがあるならいってごらんな、)

「精神の崇高さを知らぬか」「反論が有るなら言ってご覧な、

(さぁ、さぁ、さぁ、さぁ」「ひとのぜんいですらたいがい)

さぁ、さぁ、さぁ、さぁ」「人の善意ですら大概

(きょうはんをもとむるあんいなしざましてやまーけっとのぬかすこと、)

共犯を求むる安易な視座　ましてや市場の抜かす事、

(そのほんめいはなんだ？じつに、じつにくうきょなえごよあたえらるるままをむねとして)

その本命は何だ？　実に、実に空虚なエゴよ　与えらるる侭を旨として

(えらばず、あらがわず、さっそうともせず、かぶこうぞうはかくもこけんか！)

選ばず、抗わず、察そうともせず、下部構造はかくも固堅か！

(ひとをころすはないふにあらず、げんじょうのしょくさ、しすてむのほしゅ)

人を殺すは刃物に非ず、現状の詐飾、権力機構の保守

(よるとやみのまざりとけるそのすきまからどくをよびこんでいる」)

夜と闇の混ざり溶ける　その隙間から毒を呼び込んでいる」

(「きたいはすてよ、わかものよすでにとうないにぽすとはなく)

「期待は捨てよ、若者よ　すでに党内に役職はなく

(あのせんげんもそのけんげんもひどくとおのいていた)

あの宣言も　その顕現も　酷く遠のいていた

(いつしか「しゅぎ」もわすれてひれいのめいぼにみをけずる)

いつしか『主義』も忘れて　比例の名簿に身を削る

(かなしいすとーりーのはじまりまいりましょうほらまだたりないのなら)

悲しい物語の始まり　参りましょう　ほら　まだ足りないのなら

(こよいだけはおどりましょうりそうなきこのよのなれのはて)

今宵だけは踊りましょう　理想無きこの世の成れの果て

(あなたわたしかがみあわせつきからもみすてられたふちで)

あなた　私　鏡合わせ　月からも見捨てられた淵で

(かくごはいい？わかるでしょう？こりつにたてぬならしんでゆけ)

覚悟はいい？判るでしょう？　孤立に立てぬなら死んでゆけ

(けしきこぼしそっとひとおしひかりなきやみよにおとされた」)

気色零し　そっと一押し　光無き闇夜に堕とされた」

(「あまくみだらなよるはいらぬか」)

「甘く淫らな夜は要らぬか」