メルディ

(あいじょうのたいかうれてくさったすいそう)

愛情の対価　熟れて腐った水槽

(ぼくらはきおくにむしばまれる)

僕らは記憶に蝕まれる

(あいぞうもあいらくもゆうべんにぼくをさとした)

愛憎も哀楽も雄弁に僕を諭した

(こえがきこえる)

声が聞こえる

(あなたがくれたもうどくにふれて)

貴方がくれた猛毒に触れて

(ただれたひびのなかでいきていけるのか)

爛れた日々の中で生きていけるのか

(ぜんぶぜんぶきえるのに)

全部　全部　消えるのに

(すんだあいをおぼえていたいの)

澄んだ藍を覚えていたいの

(じょうあいもざんえいもあのときのいたみも)

情愛も残影もあの時の悼みも

(きえないいえないまま)

消えない　癒えないまま

(いきていく)

生きていく

(あいじょうのかいかこえてすたってうれいて)

哀情の開花　肥えて廃って愁いて

(ぼくらはきおくにのろわれてる)

僕らは記憶に呪われてる

(さいげつももうろくもかんじんなものはうばわない)

歳月も耄碌も肝心なものは奪わない

(あいをすくって)

哀を掬って

(どうしておぼえていたいの)

どうして？　覚えていたいの？

(くびしめるのに)

首絞めるのに？

(わからないな)

解らないな

(あいもあいもいらないくだらない)

藍も哀も要らないくだらない

(しずんであふれておぼれてしまうから)

沈んで溢れて溺れてしまうから

(くうはくのえいえんもうたかたにけしさって)

食う吐くの永遠も泡沫に消し去って

(ばいばいゆめであいましょう)

バイバイ　夢で逢いましょう

(くすんだあいのみなもをあおいで)

燻んだ藍の水面を仰いで

(くさったのうがゆらしたかんじょう)

腐った脳が揺らした感情

(ちょうあいもついおくもはりぼてでいいのに)

寵愛も追憶もハリボテでいいのに

(ながれたものをこばめないな)

流れたものを拒めないな

(ねえぜんぶぜんぶきえるから)

ねえ　全部　全部　消えるから

(すんだあいをおぼえていたいよ)

澄んだ藍を覚えていたいよ

(じょうあいもそうしつもそのむねにあるから)

「情愛も喪失もその胸に在るから」

(なんてわかっている)

なんて解っいてる

(ねえぐんじょうひがたえようとも)

ねえ　群青　燈が絶えようとも

(なみださいてぼくをからして)

泪咲いて僕を枯らして！

(きしむこころからだがおもくても)

軋む心　体が重くても

(いいよだから)

いいよ　だから

(ふれて)

触れて