ラフ・メイカー

(なみだでぬれたへやにのっくのおとがころがった)

涙で濡れた部屋に　ノックの音が転がった

(だれにもあえないかおなのに)

誰にも会えない顔なのに

(もうなんだよどちらさま)

もうなんだよ　どちら様？

(なのるほどたいしたなじゃないが)

名乗るほど大した名じゃないが

(だれかがこうよぶらふめいかー)

誰かがこう呼ぶ　「ラフメイカー」

(あんたにえがおをもってきた)

アンタに笑顔を持ってきた

(さむいからいれてくれ)

寒いから入れてくれ

(らふめいかーじょうだんじゃない)

ラフメイカー？　冗談じゃない！

(そんなもんよんだおぼえはない)

そんなもん呼んだ覚えはない！

(かまわずきえてくれ)

構わず消えてくれ！

(そこにいられたらなけないだろう)

そこにいられたら泣けないだろう！

(だいこうずいのへやにのっくのおとがとびこんだ)

大洪水の部屋に　ノックの音が飛びこんだ

(あのやろうまだいやがったのか)

あのヤロウ　まだ居やがったのか！

(きえてくれっていったろう)

消えてくれって　言ったろう！

(そんなことばをいわれたのは)

そんな言葉を言われたのは

(うまれてこのかたはじめてだ)

産まれてこのかた初めてだ

(ひじょうにかなしくなってきた)

非常に悲しくなってきた

(どうしようなきそうだ)

どうしよう　泣きそうだ･･･

(らふめいかーじょうだんじゃない)

ラフメイカー！　冗談じゃない！

(あんたがないてちゃしょうがない)

アンタが泣いてちゃしょうがない！

(なきたいのはおれのほうさ)

泣きたいのは　オレのほうさ！

(こんなもんよんだおぼえはない)

こんなもん呼んだ覚えはない

(ふたりぶんのなきごえとおく)

二人分の　泣き声遠く･･･

(どあをはさんでせなかあわせ)

ドアを挟んで　背中合わせ

(しゃっくりまじりのなきごえ)

しゃっくりまじりの泣き声

(ひざをかかえてせなかあわせ)

ヒザを抱えて背中合わせ

(すっかりつかれたなきごえ)

すっかり疲れた泣き声

(いまでもしっかりおれを)

今でもしっかりオレを

(わらわせるつもりからふめいかー)

笑わせるつもりか　ラフメイカー

(それだけがいきがいなんだ)

それだけが生きがいなんだ

(わらわせないとかえれない)

笑わせないと帰れない！

(いまではあんたをへやに)

今ではアンタを部屋に

(いれてもいいとおもえたが)

入れてもいいと思えたが

(こまったことにどあがあかない)

困ったことにドアが開かない

(たまったなみだのすいあつだ)

たまった涙の水圧だ！

(そっちでどあをおしてくれ)

そっちでドアを押してくれ

(かぎならすでにあけたから)

鍵ならすでにあけたから

(うんとかすんとかいってくれ)

ウンとかスンとか言ってくれ

(どうしたおいまさか)

どうした？　おい　まさか

(らふめいかーじょうだんじゃない)

ラフメイカー！　冗談じゃない！

(いまさらおれひとりおいて)

今更オレ一人置いて

(かまわずきえやがった)

構わず消えやがった！

(しんじたしゅんかんうらぎった)

信じた瞬間　裏切った！

(らふめいかーじょうだんじゃない)

ラフメイカー！　冗談じゃない･･･

(ぎゃくがわのまどのわれるおと)

逆側の窓の割れる音

(てつぱいぷもってなきがおで)

鉄パイプ持って泣き顔で

(あんたにえがおをもってきた)

「アンタに笑顔を持ってきた」

(ちいさなかがみをとりだして)

小さな鏡を取り出して

(おれにつきつけてこういった)

オレに突きつけてこう言った

(あんたのなきがおわらえるぞ)

「アンタの泣き顔笑えるぞ」

(あきれたがなるほどわらえた)

呆れたが　なるほど　笑えた