ロスタイム

(でんしんばしらのねいきが)

電信柱の寝息が

(かんせんどうろのあくびが)

幹線道路の欠伸が

(うたたねしたじはんきが)

うたたねした自販機が

(しずかにかなでる)

静かに奏でる

(しんごうきのまばたき)

信号機の瞬き

(がいとうのさえためが)

街頭の冴えた目が

(まどがこぼすいとなみが)

窓がこぼす営みが

(きらきらてらしてる)

キラキラ照らしてる

(ここはだんすふろあぎんまくいたのうえ)

ここはダンスフロア　銀幕　板の上

(しゅえんきゃくほんかんとくみなおれ)

主演　脚本　監督　皆俺

(ほらすてっぷらいくしんぎんぐらいく)

ほらステップライク　シンギングライク

(ぶろーどうぇいみらーぼーるならまんげつくものうえ)

ブロードウェイミラーボールなら満月雲の上

(あいむあすとれんじゃーすとれんじゃーいちごいちえ)

アイムアストレンジャー　ストレンジャー　一期一会

(ならしゃっとだうんすれちがうひとのめ)

ならシャットダウンすれ違う人の目

(いますいこんだ１２０えんのやけい)

いま吸い込んだ120円の夜景

(かんこーひーかたてあげいんあげいん)

缶コーヒー片手アゲインアゲイン

(とけいのはりがあしたへとてまねきしてるが)

時計の針が明日へと手招きしてるが

(おれらまだめもくれないしばしのろすたいむ)

俺らまだ目もくれない　しばしのロスタイム

(このまっくろいよはくをぬりつぶすたびにでたいな)

この真っ黒い余白を塗り潰す旅に出たいな

(どうせならきみのてをつかんで)

どうせなら君の手を掴んで

(ふだんとちがうみちえらんで)

普段と違う道選んで

(えすこーとするこのらんうぇい)

エスコートするこのランウェイ

(あすふぁるとのれっどかーぺっと)

アスファルトのレッドカーペット

(おぎょうぎよくたちならんでる)

お行儀よく立ち並んでる

(とおくできこえてるさいれん)

遠くで聞こえてるサイレン

(うしがえるのなきごえがかんせい)

ウシガエルの鳴き声が歓声

(でんしんばしらのねいきが)

電信柱の寝息が

(かんせんどうろのねいきが)

幹線道路の寝息が

(うたたねしたじはんきが)

うたたねした自販機が

(しずかにかなでる)

静かに奏でる

(しんごうきのまばたき)

信号機の瞬き

(がいとうのさえためが)

街頭の冴えた目が

(まどがこぼすいとなみが)

窓がこぼす営みが

(きらきらてらしてる)

キラキラ照らしてる

(さびついたかんばんむねをはる)

錆びついた看板胸を張る

(おやくごめんのぽすたーがうでをまくる)

お役御免のポスターが腕をまくる

(おいてかれたじてんしゃがへそまげる)

置いてかれた自転車がへそ曲げる

(きみとおれになかゆびをたてる)

君と俺に中指を立てる

(かんしかめらがぼーっとよそみしてる)

監視カメラがボーっとよそ見してる

(かーぶみらーにはすべてしられている)

カーブミラーには全て知られている

(こいんろっかーはひみつをだいている)

コインロッカーは秘密を抱いている

(こうしゅうでんわがはなしたがっている)

公衆電話が話したがっている

(くびをもたげるてっこつのりゅう)

首をもたげる鉄骨の竜

(またひとつそらがせまくなる)

また一つ空が狭くなる

(ひまそうなあーけーどねがえりをうつ)

暇そうなアーケード寝返りをうつ

(むかいあわせのしゃったーはゆめうつつ)

向かい合わせのシャッターは夢現

(かぜがくすぐりあきかんがわらう)

風がくすぐり空き缶が笑う

(たちあがれないすいがらがへたりこむ)

立ち上がれない吸い殻がへたり込む

(はぐれたかたわれをさがしている)

はぐれた片割れを探している

(ひとりぼっちのぐんてがないている)

独りぼっちの軍手が泣いている

(でんしんばしらのねいきが)

電信柱の寝息が

(かんせんどうろのあくびが)

幹線道路の欠伸が

(うたたねしたじはんきが)

うたたねした自販機が

(しずかにかなでる)

静かに奏でる

(しんごうきのまばたき)

信号機の瞬き

(がいとうのさえためが)

街頭の冴えた目が

(まどがこぼすいとなみが)

窓がこぼす営みが

(きらきらてらしてる)

キラキラ照らしてる

(あとすうじかんでとけるまほう)

あと数時間でとける魔法

(あいどんわなのー)

アイドンワナノー

(ひがさすともうあろーん)

陽が差すともうアローン

(じぶんがじぶんであることきがついてしまわぬよう)

自分が自分であること気がついてしまわぬよう

(あとすうじかんでとけるまほう)

あと数時間でとける魔法

(あいどんわなのー)

アイドンワナノー

(ひがさすともうあろーん)

陽が差すともうアローン

(じぶんがじぶんであることきがついてしまわぬよう)

自分が自分であること気がついてしまわぬよう