春玄鳥

(はるつばめかぜをきってあおたかくそらにまっていた)

春玄鳥風を切って蒼高く空に舞っていた

(きおくまとうさくらのなか)

記憶纏う桜の中

(めぶくひのうらでふぶくもうのしらべ)

芽吹く陽の裏で吹雪く妄の調べ

(ぼくらはつらなりよるにこごえた)

僕らは連なり夜に凍えた

(ひびくかねのねはなびくとまどいさ)

響く鐘の音は靡く戸惑いさ

(きせつはだれもまたずにすすんだ)

季節は誰も待たずに進んだ

(やればできるさやかましいよな)

やればできるさ喧しいよな

(せいしんろんじゃだませないようなにじをめがけ)

精神論じゃ騙せないような虹路を目掛け

(はるつばめかぜをきってあおたかくそらにまっていた)

春玄鳥風を切って蒼高く空に舞っていた

(ひらひらりふぞろいでもはねをゆらせよ)

ひらひらり不揃いでも羽根を揺らせよ

(はるつばめかぜをきってまだみぬそらをゆく)

春玄鳥風を切って未だ見ぬ空を行く

(ぜろをこえてぼくらかけるよ)

零を越えて僕ら翔るよ

(はるにこがれぼくらはまうよ)

春に焦がれ僕らは舞うよ

(けわしやいばかぜはねをきずつけて)

険し刃風羽根を傷付けて

(よかぜはようしゃなくふきすさんだ)

夜風は容赦なく吹き荒んだ

(あるときはきみがあるときはぼくが)

ある時は君がある時は僕が

(ゆらしたはねでぼくらはつづいた)

揺らした羽根で僕らは続いた

(なりふりむしでつなぎつづけた)

形振り無視で繋ぎ続けた

(かんじょうろんでかまわないささきをめがけ)

感情論で構わないさ未来を目掛け

(はるつばめえにしくんでしゅにまじわりあっていいじゃない)

春玄鳥縁組んで朱に交わり合っていいじゃない

(ふらふらりきずついてもぼくらはとぶよ)

ふらふらり傷付いても僕らは翔ぶよ

(かきつばたうたでよんでのぞみしゆめをみる)

燕子花歌で詠んで望みし夢を見る

(やいばのかぜもこわくないよ)

刃の風も怖くないよ

(ぐんじょうのむれぬけてつれづれならかきすてこえてきた)

群青の群れ抜けて徒然なら掻き捨て越えてきた

(ふゆもよるもぼくらともに)

冬も夜も僕ら共に

(あおざめたさきであおういっしゅんもいっしょうもともに)

青ざめた先で会おう一瞬も一生も共に

(なみだはとうにかれてまぶたのうらはくらくて)

涙はとうに枯れて瞼の裏は暗くて

(りかいしたそのさきでもぼくらはとぶよ)

理解したその先でも僕らは翔ぶよ

(はるつばめよるをきってまだみぬあさへゆく)

春玄鳥夜を切って未だ見ぬ朝へ行く

(じゅうごやぬけいざよいはるです)

十五夜抜けいざよい春です

(はれつばめかぜをきってあおたかくそらにまっていた)

晴玄鳥風を切って蒼高く空に舞っていた

(ひらひらりふぞろいでもはねをゆらせよ)

ひらひらり不揃いでも羽根を揺らせよ

(はるつばめかぜをきってまだみぬそらをゆく)

春玄鳥風を切って未だ見ぬ空を行く

(ぜろをこえてぼくらかけるよ)

零を越えて僕ら翔けるよ

(きおくはひらりさくらのなか)

記憶はひらり桜の中

(はるをゆこうぼくらゆこうどこまでも)

春を行こう僕ら行こう何処までも