置き手紙/Vaundy

(あれは)

あれは

(なんねんまえのはなしだ)

何年前の話だ

(ずいぶん)

ずいぶん

(まえのながいはなしだ)

前の長い話だ

(はなそう)

話そう

(「)

「

(これで)

これで

(やめるはらづもりだったんだ)

やめる腹積りだったんだ

(あいにいくつもりは)

会いに行くつもりは

(べつになかったさ)

別になかったさ

(きょうは)

今日は

(てんきがいいみたいだ)

天気がいいみたいだ

(ぐもひとつないよるだ)

雲一つない夜だ

(ほしをみにいこう)

星を見にいこう

(きみはなにもしらないかおでわらってくれたよね)

君は何も知らない顔で笑ってくれたよね

(だからぼくらのひびが、こわれ、くずれていこうとも)

だから僕らの日々が、壊れ、崩れていこうとも

(いっちゃいな)

言っちゃいな

(いまつたえたいことが)

今伝えたいことが

(ぼくたちがぼくたちをおもいあえるような)

僕たちが僕たちを思い合えるような

(まほうのことば)

魔法の言葉

(いまつたえたいことが)

今伝えたいことが

(ぶあいそうなあいじょうもかきけすような)

無愛想な愛情もかき消すような

(まほうのことば)

魔法の言葉

(あしたこそきみにつたえにいこう)

明日こそ君に伝えにいこう

(「みれんがここできえずに)

『未練がここで消えずに

(もしもわたしがふしのやまいにかかったら」)

もしも私が不死の病にかかったら』

(なんてそれは)

なんてそれは

(ゆるい、かなしばりみたいにからみ)

ゆるい、金縛りみたいに絡み

(あたたかい、きみのほうにしおは)

暖かい、君の方に潮は

(かわってた)

変わってた

(きょうもなにもしらないかおでわらってくれよね)

今日も何も知らない顔で笑ってくれよね

(たとえいきがつまり、もだえ、ふるえていようとも)

たとえ息が詰まり、悶え、震えていようとも

(いっちゃうわ)

言っちゃうわ

(いまつたえたいことが)

今伝えたいことが

(ぼくたちがぼくたちをおもいあえるような)

僕たちが僕たちを思い合えるような

(まほうのことば)

魔法の言葉

(いまつたえたいことが)

今伝えたいことが

(ぶあいそうなあいじょうもかきけすような)

無愛想な愛情もかき消すような

(まほうのことば)

魔法の言葉

(あしたまでにとなえきるよ)

明日までに唱えきるよ

(つづりきれない)

綴りきれない

(こきゅうのかずだけはえたおもいは)

呼吸の数だけ生えた思いは

(あふれそだってた)

溢れ育ってた

(ふしのやまいがもしあるなら)

不死の病がもしあるなら

(あぁ、もうやめよう)

あぁ、もうやめよう

(くちにださずに)

口に出さずに

(「くさりきるまで、わけてぬふたりで」)

『腐りきるまで、別てぬ二人で』

(そのつたえたいことは)

その伝えたいことは

(ぼくたちがぼくたちをおもいあえるような)

僕たちが僕たちを思い合えるような

(まほうのことば)

魔法の言葉

(このつたえたいことが)

この伝えたいことが

(ぶあいそうなあいじょうもかきけすような)

無愛想な愛情もかき消すような

(まほうのことば)

魔法の言葉

(」)

」

(なんてくさりきったふたりのはなし)

なんて腐りきった二人の話