White Rabbit

(うさぎのみみかざり)

兎の耳飾り

(おきにめしたきのかけら)

お気に召した木の欠片

(ひとりあそびかえり)

ひとり遊び帰り

(こもれびとゆれてみる)

木漏れ日と揺れてみる

(がらがらどあのむこううかぶかげに)

ガラガラドアの向こう浮かぶ影に

(ただいまがとどくようにくつをならす)

“ただいま”が届くように靴を鳴らす

(いつもしわくちゃなえがおが)

いつも皺くちゃな笑顔が

(きいてくれたわたしのこと)

聞いてくれたワタシのこと

(ききそびれたあなたのこと)

聞きそびれたアナタのこと

(おとぎばなしのまぼろしのそのまたゆめのなか)

おとぎ話の幻のそのまた夢の中

(もしもあなたがそこにゆくなら)

もしもアナタがそこに行くなら

(おいていかないでよ)

置いていかないでよ

(こどもだましのまやかしのことばはいらないよ)

子供騙しのまやかしの言葉はいらないよ

(ただよどみなくはなしたい)

ただ淀みなく話したい

(いつまでもこどものまま)

いつまでも子供のまま

(しげみをかきわけて)

茂みをかき分けて

(しゃくりないたひみつきち)

しゃくり泣いた秘密基地

(なくしたみみかざり)

無くした耳飾り

(かわりなどきかないの)

代わりなど利かないの

(おるごーるのおひめさまねぇこたえて)

オルゴールのお姫様、ねぇ答えて

(きえさったものたちはどこへいくの)

消え去ったものたちはどこへ行くの？

(するとかわらないえがおが)

すると変わらない笑顔が

(そのわるつでかたってみせた)

そのワルツで語ってみせた

(こんなふうにたのしげなしゃんぐりらよ)

「こんなふうに、楽しげなシャングリラよ」

(わけなどなくみのけがよだつ)

理由などなく身の毛がよだつ

(おもいでがふいにかけまわる)

思い出がふいに駆けまわる

(ちいさくつよくりょうのてをからめあわせる)

小さく強く両の手を絡め合わせる

(どよめきはやがてそらにまう)

どよめきはやがて空に舞う

(ちんもくがそれをうけいれる)

沈黙がそれを受け入れる

(それでもこのてはずっとほどかない)

それでもこの手はずっと解かない

(ねぇきかせてよ)

「ねぇ聞かせてよ…」

(いまなみだはながさない)

いま涙は流さない

(いのりがとどくように)

祈りが届くように

(おとぎばなしのまぼろしのそのまたゆめのなか)

おとぎ話の幻のそのまた夢の中

(いつかあなたがそこにゆくなら)

いつかアナタがそこに行くなら

(とどめはしないけど)

留めはしないけど

(まだここにいてだきしめて)

まだここに居て　抱きしめて

(わかれはいわないよ)

別れは言わないよ

(ただいつまでもかんじたい)

ただいつまでも感じたい

(きょうまでのあなたのこと)

今日までのアナタのこと

(たとえばみみかざり)

例えば耳飾り

(いなくなってもなくならない)

居なくなっても無くならない

(しろくてながいきくみみが)

白くて長い聞く耳が

(わたしにもはえてきたの)

ワタシにも生えてきたの