10年後のボーカロイドのうた

(ゆうまぐれのでんしゃにゆられいやほんかたっぽ)

夕間暮れの電車に揺られ　イヤホン片っぽ

(きみがきかせてくれたのは)

君が聴かせてくれたのは

(かつぜつのわるいそのふしぎなおんがくさ)

滑舌の悪い　その不思議な音楽さ

(ときはすぎはやりもかわるとあるどうがさいと)

時は過ぎ　流行りも変わる　とある動画サイト

(あのひにかるいきもちでのぞいた)

あの日に　軽い気持ちで覗いた

(まよなかをてらすそのふしぎなおんがくさ)

真夜中を照らす　その不思議な音楽さ

(つめたくたよりないそれはぼーかろいどのうた)

冷たく頼りない　それは　ボーカロイドのうた

(ききとりづらいそれはぼーかろいどのうた)

聴き取りづらい　それは　ボーカロイドのうた

(はこにわのおんがくはちからをうしない)

箱庭の音楽は力を失い

(まほうはさまざまなばしょにちらばっていきました)

魔法は様々な場所に散らばっていきました

(そのはじまりはこどくをうめるように)

その"はじまり"は　孤独を埋めるように

(ひょうげんをゆさぶるように)

表現を揺さぶるように

(みしらぬだれかがいっしょうけんめいつくった)

見知らぬ　誰かが一生懸命つくった

(つたないおんがくだったのです)

拙い音楽だったのです

(かぼそくふたしかなひびとぼーかろいどのうた)

か細く不確かな　日々と　ボーカロイドのうた

(きみしかしらないそんなぼーかろいどのうた)

君しか知らない　そんな　ボーカロイドのうた

(たのしくむねおどるきょくもちのたぎるあついきょくも)

楽しく胸躍る曲も　血のたぎる熱い曲も

(なみだをふりしぼるきょくもぼーかろいどのうた)

涙をふり絞る曲も　ボーカロイドのうた

(ぴこぴこしたぽっぷなきょくもはいふをえぐるらうどなきょくも)

ピコピコしたポップな曲も　肺腑をえぐるラウドな曲も

(おしゃれでかっこいいきょくもぼーかろいどのうた)

おしゃれでカッコいい曲も　ボーカロイドのうた

(そうだいなばらーどもてれるようならぶそんぐも)

壮大なバラードも　照れるようなラブソングも

(びょうきなとらうまそんぐもぼーかろいどのうた)

病気なトラウマソングも　ボーカロイドのうた

(だれもきずつかないきょくもだれかをきずつけたきょくも)

誰も傷つかない曲も　誰かを傷つけた曲も

(だれかがすくわれたきょくもぼーかろいどのうた)

誰かが救われた曲も　ボーカロイドのうた

(いまをきざみこんだきょくもかこをふりかえるきょくも)

今を刻み込んだ曲も　過去を振り返る曲も

(みらいをみていたきょくもぼーかろいどのうた)

未来を見ていた曲も　ボーカロイドのうた

(うれせんのにているきょくもふみだいのしゅだんのきょくも)

売れ線の似ている曲も　踏み台の手段の曲も

(ひとときょうぞんするきょくもぼーかろいどのうた)

人と共存する曲も　ボーカロイドのうた

(にんげんがうたえるきょくもにんげんじゃうたえぬきょくも)

人間が歌える曲も　人間じゃ歌えぬ曲も

(だれもがしってるめいきょくもだれにもしられぬめいきょくも)

誰もが知ってる名曲も　誰にも知られぬ名曲も

(ぼーかろいどのうた)

ボーカロイドのうた

(つめたいけれどもあったかいぼーかろいどのうた)

冷たいけれども　あったかい　ボーカロイドのうた

(ききとりづらいなのにいとしいぼーかろいどのうた)

聴き取りづらい　なのに愛しい　ボーカロイドのうた

(これからうたたちはどこへむかうでしょう)

これから　うた達は何処へ向かうでしょう？

(きこえてくるのは)

聴こえてくるのは

(ふたつのねいろがまざりあう)

二つの音色が混ざり合う

(つまらないあきらめのしらべと)

つまらない諦めの調べと

(じゅんすいなこうきしんのつづくおと)

純粋な好奇心の続く音