前夜祭の蝙蝠 mayuko

(ようこそおじょうさんおちゃはいかが？)

ようこそお嬢さんお茶はいかが？

(くろいおとなのあじにおれんじのはちみつをとかして)

黒い大人の味にオレンジの蜂蜜をとかして

(ようこそおぼっちゃんおかしはいかが？)

ようこそお坊ちゃんお菓子はいかが？

(にがいおとなのあじはあまいちょこれーとでつつんで)

苦い大人の味は甘いチョコレートで包んで

(たのしいおはなしならひとつだけのとくべつを)

愉しいお話ならひとつだけの特別を

(うそみたいなほんとうにふしあわせのすぱいすを)

嘘みたいな本当に不幸せのスパイスを

(さぁうたえうたえ)

さぁ歌え歌え

(「　　　　！」)

「♪♪♪♪！」

(おかしなおかしのだいこうしん)

可笑しなおかしの大行進

(さぁかたれかたれでたらめなしんじつを)

さぁ語れ語れでたらめな真実を

(ひがのぼるまでくりかえすとりっくおあとりーと)

日が昇るまで繰り返す呪文

(さがしてもみつからない)

１探しても見つからない

(ほかのだれでもみたされない)

２ほかの誰でも満たされない

(だれかのなみだはなぐさめにはならない)

３だれかの涙はなぐさめにはならない

(ようこそおじょうさんきみはだあれ？)

ようこそお嬢さん君はだあれ？

(とうぜんのかおをしてあまいおかしだけかじって)

当然の顔をして甘いお菓子だけかじって

(ようこそおぼっちゃんきみはだあれ？)

ようこそお坊ちゃん君はだあれ？

(とうぜんのかおをしてあまいおちゃだけをすすって)

当然の顔をして甘いお茶だけをすすって

(たのしいおはなしならひとつだけのとくべつを)

愉しいお話ならひとつだけの特別を

(うそみたいなほんとうにふしあわせのすぱいすを)

嘘みたいな本当に不幸せのスパイスを

(ねぇきみはだあれ？)

ねぇ君はだあれ？

(すがってもかなわない)

４すがっても叶わない

(かたちをまねてもむくわれない)

５形を真似ても報われない

(えんじてもしんじてもまんなかのあながつめたいかぜにきしむだけ)

６演じても信じても真ん中の穴が冷たい風に軋むだけ

(ろうそくのあかりはきえてけむりもゆくえしれず)

蝋燭の灯りは消えて煙も行方知れず

(ふたりのかおもかすれて)

二人の顔も掠れて

(さみしさだけがきばをむく)

さみしさだけが牙を剥く

(いつかはきえるまほうなら)

いつかは消える魔法なら

(そんなふたしかなものにねがいはたくせない)

そんな不確かなものに願いは託せない

(うそでかためてくっつけろ)

嘘で固めてくっつけろ

(さぁうたえうたえ)

さぁ歌え歌え

(「　　　　！」)

「♪♪♪♪！」

(おかしなおかしのだいこうしん)

可笑しなおかしの大行進

(さぁかたれかたれでたらめをしんじつに)

さぁ騙れ騙れでたらめを真実に

(ひがおちるまでくりかえすとりっくおあとりーと)

日が落ちるまで繰り返す呪文

(きみはしらないままでいて)

君は知らないままでいて

(おかしにおぼれていて)

お菓子に溺れていて

(ないしょのおはなしで)

内緒のお話で

(たにんのひげきをわらってよ)

他人の悲劇を笑ってよ

(ぼくらのきげきをえんじてよ)

僕達らの喜劇を演じてよ

(かがみをうらがえしたなら)

鏡を裏返したなら

(かわいそうなこどもの)

かわいそうなこどもの

(おわらないはろうぃんのよる)

終わらない前夜祭の夜

(かくしたひだりてでわらえ)

かくした左手で嗤え

(うそつきはかえるじかんさ)

嘘つきは帰る時間さ