前夜祭の産声 mayuko

(こんやはだれとあそぼうか)

今夜は誰と遊ぼうか

(あのこそのこどのここのこ)

アノコソノコドノココノコ

(「かわいい！」)

「可愛い！」

(おそろいにうちあげられて)

おそろいに打ち上げられて

(くさったおめめがすてき)

腐ったおめめが素敵

(きれいながらくたにしよう)

綺麗なガラクタにしよう

(かれとかのじょとおそろいに)

彼と彼女とおそろいに

(せつないなみだとさそうこえ)

切ない涙と誘う声

(しあげにたらすまじょのゆめ)

仕上げに垂らす魔女の夢

(はろうぃんのよるにまほうのうた)

ハロウィンの夜に魔法の歌

(「うぇお・うぇお・うぇる・ばっきゃ・あ・ぐぇん」)

「ウェオ・ウェオ・ウェル・バッキャ・ア・グェン」

(つちくれがはいだしおどりだす)

土くれが這い出し踊りだす

(「ゆお・ゆお・よー・る・ばっきゃ・あ・ぐぇん」)

「ユオ・ユオ・ヨー・ル・バッキャ・ア・グェン」

(おまつりだ)

お祭りだ

(ならべすすめわらえ！)

並べ進め笑え！

(ききたいことばはひとつだけ)

聴きたい言葉はひとつだけ

(そのひとことで、すくわれるのです)

そのひとことで、救われるのです

(そのひとことで、すすめるのです)

そのひとことで、進めるのです

(だからぼくらは、なんどでも)

だからぼくらは、なんどでも

(こんやはよいあめもようです)

今夜は良い雨模様です

(ふたりがしんだあのひのようです)

二人が死んだあの日のようです

(きょうのよきひにうまれおちた)

今日の好き日に生まれ落ちた

(かれとかのじょのできのほどはーー)

彼と彼女の出来の程はーー

(「あーあ」)

「あーあ」

(またおなじにふたりはふたりをさがしさまよって)

また同じに二人は二人を探しさまよって

(ぼくらがもらうはずのおかしをうみになげこんだ)

僕らがもらうはずのお菓子を海に投げ込んだ

(できそこないもくずになげくじかんはない)

デキソコナイ藻屑に嘆く時間は無い

(もっとちゃんとやっとそっと)

もっとちゃんとやっとそっと

(なんどだってくりかえそう)

何度だって繰り返そう

(いつかのよるをやりなおすんだ)

いつかの夜をやり直すんだ

(つぎはぎのりょうてがなくなるまえに)

継ぎ接ぎの両手がなくなる前に

(はめこんだめだまがころがるまえに)

嵌め込んだ目玉がころがる前に

(すげかえたあたまがふたりをおぼえているうちに)

挿げ替えた頭が二人を覚えている内に

(きけずじまいのまほうのことばをつたえてくれないふたりは)

聞けずじまいの魔法の言葉を伝えてくれない二人は

(いえずじまいのまほうのことばをつたえられないふたりなら)

言えずじまいの魔法の言葉を伝えられない二人なら

(かれじゃないきみもかのじょじゃないきみも)

彼じゃない君も彼女じゃない君も

(「いらない」)

「いらない」

(はろうぃんのよるにまほうのうた)

ハロウィンの夜に魔法の歌

(「うぇお・うぇお・うぇる・ばっきゃ・あ・ぐぇん」)

「ウェオ・ウェオ・ウェル・バッキャ・ア・グェン」

(きえうせたあしたがおどりだす)

消え失せた明日が踊りだす

(「ゆお・ゆお・よー・る・ばっきゃ・あ・ぐぇん」)

「ユオ・ユオ・ヨー・ル・バッキャ・ア・グェン」

(さいごにのこしたふたりのうた)

最後に残した二人の歌

(いつかのよあけに)

いつかの夜明けに

(つちくれのいのりははかのした)

土くれの祈りは墓の下

(まだまだいけない)

まだまだ行けない

(おまつりだ)

お祭りだ

(ならべすすめわらえうたえさがせおどれ)

並べ進め笑え歌え探せ踊れ

(たどりつくまで！)

辿り着くまで！

(そしてききそびれたこえがちぎれたみみにとどいたら)

そして聞きそびれた声が千切れた耳に届いたら

(あのひからずっとつっかえていた)

あの日からずっと閊えていた

(つづきのじゅもんをうたうよ)

続きの呪文を歌うよ

(「ｔｒｉｃｋ　ｏｒ　ｔｒｅａｔ」)

「trick or treat」

(ｗｅ’ｌｌ　ｓｕｃｃｅｅｄ　ｎｏｗ　ｏｒ　ｎｅｖｅｒ！！)

We'll succeed now or never!!