ボーカロイドのうた/ピノキオピー

(ゆうまぐれのでんしゃにゆられいやほんかたっぽ)

夕間暮れの電車に揺られ　イヤホン片っぽ

(きみがきかせてくれたのはかつぜつのわるいそのふしぎなおんがくさ)

君が聴かせてくれたのは 滑舌の惡いその不思議な音楽さ

(ひまをくいつぶしてあるくとあるどうがさいと)

暇を食いつぶして歩く とある動画サイト

(ふとかるいきもちでのぞいたまよなかをてらすそのふしぎなおんがくさ)

ふと 軽い気持ちで覗いた 真夜中を照らすその不思議な音楽さ

(つめたくたよりないそれはぼーかろいどのうた)

冷たく頼りないそれはボーカロイドのうた

(ききとりづらいそれはぼーかろいどのうた)

聴き取りづらいそれはボーカロイドのうた

(はこにわのおんがくはちからをうしないまほうはさまざまなばしょにちらばっていきました)

箱庭の音楽は力を失い 魔法は様々な場所に散らばっていきました

(そのひとつはこどくをうめるようにひょうげんをゆさぶるように)

その一つは孤独を埋めるように 表現を揺さぶるように

(みしらぬだれかがいっしょうけんめいつくったつたないおんがくだったのです)

見知らぬ誰かが 一生懸命作った拙い音楽だったのです

(かぼそくふたしかなひびとぼーかろいどのうた)

か細く不確かな日々と ボーカロイドのうた

(きみしかしらないそんなぼーかろいどのうた)

君しか知らない そんなボーカロイドのうた

(たのしくむねおどるきょくも)

楽しく胸躍る曲も

(ちのたぎるあついきょくも)

血のたぎる熱い曲も

(なみだをふりしぼるきょくも)

涙をふり絞る曲も

(ぼーかろいどのうた)

ボーカロイドのうた

(ぴこぴこしたぽっぷなきょくも)

ピコピコしたポップな曲も

(はいふをえぐるらうどなきょくも)

肺腑をえぐるラウドな曲も

(なんかいでふかしぎなきょくも)

難解で不可思議な曲も

(ぼーかろいどのうた)

ボーカロイドのうた

(そうだいなばらーどもてれるようならぶそんぐも)

壮大なバラードも 照れるようなラブソングも

(びょうきなとらうまそんぐもぼーかろいどのうた)

病気なトラウマソングも ボーカロイドのうた

(だれもきずつかないきょくもだれかをきずつけたきょくも)

誰も傷つかない曲も 誰かを傷つけた曲も

(だれかがすくわれたきょくも)

誰かが救われた曲も

(ぼーかろいどのうた)

ボーカロイドのうた

(いまをきざみこんだきょくもかこをふりかえるきょくも)

今を刻み込んだ曲も 過去を振り返る曲も

(みらいをみていたきょくもぼーかろいどのうた)

未来を見ていた曲も ボーカロイドのうた

(ねりにねられたねたきょくもにちじょうをえがいたきょくも)

練りに練られたネタ曲も 日常を描いた曲も

(ちょっとえっちなきょくもぼーかろいどのうた)

ちょっとエッチな曲も ボーカロイドのうた

(にんげんがうたえるきょくもにんげんじゃうたえぬきょくも)

人間が歌える曲も 人間じゃ歌えぬ曲も

(だれもがしってるめいきょくもだれにもしられぬめいきょくも)

誰もが知ってる名曲も 誰にも知られぬ名曲も

(ぼーかろいどのうた)

ボーカロイドのうた

(つめたいけれどもあったかいぼーかろいどのうた)

冷たいけれどもあったかい ボーカロイドのうた

(ききとりづらいなのにいとしいぼーかろいどのうた)

聴き取りづらいなのにいとしい ボーカロイドのうた

(これからうたたちはどこへむかうでしょう？)

これからうた達は何処へ向かうでしょう？

(きこえてくるのは)

聴こえてくるのは

(ふたつのねいろがまざりあうじゅんすいなこうきしんのしらべと)

二つの音色が混ざり合う 純粋な好奇心の調べと

(あまくくすんだみつのおと)

甘く くすんだ蜜の音