メリーとニコラウス

(おじいさんきせきをおこせるってほんとう？)

おじいさん奇跡を起こせるって本当？

(しょうじょはろうじんにたずねます。)

少女は老人に尋ねます。

(ああ、どうだろうね。)

ああ、どうだろうね。

(きせきとよぶのかわからないけれど)

奇跡と呼ぶのかわからないけれど

(むかしは、そらをとぶとなかいをかっていたこともあったかなぁ)

昔は、空を飛ぶトナカイを飼っていたこともあったかなぁ

(ええ、うそだぁ)

ええ、嘘だぁ

(おじいさんはじょうだんがへただなぁ)

おじいさんは冗談が下手だなぁ

(ふふふ。ほら、そろそろかえらないと)

フフフ。ほら、そろそろ帰らないと

(おかあさんにおこられてしまうよ？)

お母さんに怒られてしまうよ？

(ろうじんがうながすも、しょうじょはなっとくがいかないといったひょうじょうで)

老人が促すも、少女は納得がいかないと言った表情で

(しぶしぶ、うなずきました)

しぶしぶ、うなずきました

(するとろうじんは、おもいだしたように)

すると老人は、思い出したように

(そうだ、つぎにあうときまでに)

そうだ、次に会うときまでに

(ほしいものをかんがえておきなさい)

欲しいものを考えておきなさい

(もうろくしたこのじいのはなしにつきあってくれたおれいに)

もうろくしたこのじいの話に付き合ってくれたお礼に

(すきなものをあげよう。)

好きなものをあげよう。

(わ～いありがとう)

わ～い　ありがとう

(やくそくだよ)

約束だよ

(かみさまがくれたそのなまえをなくして)

神様がくれた　その名前をなくして

(ちいもめいよもえいこうもうしなったんでしょ)

地位も名誉も栄光も　失ったんでしょ

(うとまれてばかにされそれでもわらいとばして)

疎まれて馬鹿にされ　それでも笑い飛ばして

(きづけばとしだけかさねてまだわらってた)

気付けば歳だけ重ねて　まだ笑ってた

(さよならのそのいみがわかるまでのあいだ)

サヨナラの　その意味がわかるまでの間

(あなたはへいきなふりをしてたねねぇそうでしょ)

あなたは平気なフリをしてたね　ねぇそうでしょ

(きせきをおこすちからもないのに)

奇跡を起こす力もないのに

(ぽろぽろなみだがでちゃうの)

ぽろぽろ　涙が出ちゃうの

(すごくだいじにしてたみずいろのおきどけいは)

すごく大事にしてた　水色の置時計は

(びょうしんがとまったまんまさびしそうにしてた)

秒針が止まったまんま　寂しそうにしてた

(じぶんのことはにのつぎたにんのしあわせねがって)

自分のことは二の次　他人の幸せ願って

(かたむいたいのちをよそにまたわらってた)

傾いた命を余所に　また笑ってた

(いかないでわたしまだしらないことがあるの)

行かないで　私まだ知らないことがあるの

(おおきなてでなでてくれたぬくもりがいたいよ)

大きな手で撫でてくれた　温もりが痛いよ

(きせきをおこすちからがあるなら)

奇跡を起こす力があるなら

(かみさまもういちどだけ)

神様　もう一度だけ

(１２がつとあるひにすずのねがとおくきこえて)

１２月　とある日に　鈴の音が遠く聞こえて

(しろいひげのろうじんがあいにくるという)

白い髭の老人が　会いにくると言う

(さよならのそのいみがわかるまでのあいだ)

サヨナラの　その意味がわかるまでの間

(あなたはへいきなふりをしてたねねぇそうでしょ)

あなたは平気なフリをしてたね　ねぇそうでしょ

(きせきをおこすちからはないけど)

奇跡を起こす力はないけど

(そんなのよりもずっと)

そんなのよりもずっと

(ねぇほしいものがあるのきいてくれる)

ねぇ　欲しいものがあるの　聞いてくれる

(くつしたにいれておいてよねぇいいでしょ)

靴下に入れておいてよ　ねぇいいでしょ

(きせきをおこすちからなんかより)

奇跡を起こす力なんかより

(だいじなものをみつけたよ)

大事なものを見つけたよ

(あなたがおしえてくれたよ)

あなたが教えてくれたよ