死神の勤怠管理

(げつようびはたましいをかり)

月曜日は　魂を刈り

(かようびはかんりかのかいぎ)

火曜日は　管理課の会議

(すいようびははけんするしにがみよぶ)

水曜日は　派遣する死神呼ぶ

(もくようびはじゅんぱくのしゃつ)

木曜日は　純白のシャツ

(きんようびはねくたいをえらび)

金曜日は　ネクタイを選び

(どようびはしねまてぃっくれこーどみる)

土曜日は　シネマティックレコード観る

(かんぺきなきりつをまもるひびしずかに)

完璧な規律を守る日々　静かに

(またたくまかみほどのくるいもゆるさない)

瞬く間　髪ほどの狂いも許さない

(おろかしいしにがみりっし)

愚かしい死神　律し

(すべてのしのきおくまもる)

全ての死の記憶護る

(ちりひとつないおとのしないとしょかんがこおる)

塵一つ無い　音のしない図書館が凍る

(げんかくなしごとをなしとげ)

厳格な仕事を成し遂げ

(こどくをひもとくじかんに)

孤独を紐解く時間に

(つよくくろくにがくぬいつくきおくがひくくとおく)

強く　黒く　苦く　縫い付く記憶が　低く　遠く

(げつようびはゆううつなあめ)

月曜日は　憂鬱な雨

(かようびはいはんしゃをしかり)

火曜日は　違反者を叱り

(すいようびはぐれるさとくりふをける)

水曜日は　グレル・サトクリフを蹴る

(もくようびはざんぎょうをして)

木曜日は　残業をして

(きんようびはたましいのかいしゅう)

金曜日は　魂の回収

(どようびはめざわりなあくまをかる)

土曜日は　目障りな悪魔を狩る

(めいわくでふかんぜんなしんせいきゃっかし)

迷惑で不完全な申請　却下し

(やまづみのもんだいでふかいきわまりない)

山積みの問題で　不快極まりない

(かぎりなくむだなさぎょうと)

限りなく無駄な作業と

(くだらないたにんのみすが)

下らない他人のミスが

(ちょうわのとれたがらすばりのびがくをはかいし)

調和の取れた　硝子張りの美学を破壊し

(ゆるされぬめんだつきそく)

許されぬ　免脱　規則

(たいだがまねいたひちょうわ)

怠惰が招いた非調和

(くずれやぶれこわれけがされたよていひょうきょうもざんぎょう)

崩れ　破れ　壊れ　汚された予定表　今日も残業

(こんなんなしごとかたづけ)

困難な仕事片付け

(はがねのちつじょをもどす)

鋼の秩序を戻す

(れいてつすぎるりせいをきりのかげにだきしめ)

冷徹すぎる理性を霧の陰に抱きしめ

(れんごくのかべがあろうと)

煉獄の壁があろうと

(かならずくずしてみせる)

必ず崩して見せる

(うでがこえがつめがうしなわれようとも)

腕が　声が　爪が　失われようとも

(しずけさのなかでかなでる)

静けさの中で奏でる

(せいちなとけいのはりが)

精緻な時計の針が

(このこころのすべてをつかさどりしかみなら)

この心の　全てを司りし神なら

(ためらわずいのちそぎとる)

躊躇わず命殺ぎ取る

(すべてのちょうわときぼう)

全ての調和と希望

(かなえつむげうたえことばすらいてつく)

叶え　紡げ　歌え　言葉すら凍てつく

(くらきせかい)

暗き世界

(せつなく)

切なく