アクアテラリウム

(しあわせなんてものじんそれぞれ)

幸せなんてもの人それぞれ

(じゅうにんといろだれでもみなもつの)

十人十色　誰でも皆持つの

(たのしそうにわらうひとがのった)

楽しそうに笑う人が載った

(ちいさいかたろぐななめよんでた)

小さいカタログ斜め読んでた

(さびしさをうめるように)

寂しさを埋めるように

(しかくいすいそうをかった)

四角い水槽を買った

(まるでほんがおよいでる)

まるで本が泳いでる

(ゆれてゆれてゆれて)

揺れて　揺れて　揺れて

(たとえちっぽけでつたないと)

たとえちっぽけで拙いと

(わらわれてもいい)

笑われてもいい

(じゃまをされない)

邪魔をされない

(みにちゅあなだいじなひみつきち)

ミニチュアな大事な秘密基地

(どんなこがここでくらすのか)

どんな子がここで暮らすのか

(おもいをはせるわたしの)

思いをはせる私の

(あくあてらりうむ)

アクアテラリウム

(すべてがすきとおるはこにわでは)

全てが透き通る箱庭では

(じゅんしんなままでいれるきがしたけど)

純真なままでいれる気がしたけど

(ひとりでおよいでるすがたはほら)

一人で泳いでる姿はほら

(わたしみたいですこしわらうの)

私みたいで少し笑うの

(よごれることのないすいそうのなかには)

汚れることのない水槽の中には

(にあわないほどきれいなぐっぴー)

似合わないほど綺麗なグッピー

(しあわせなんて)

幸せなんて

(りょうてでもこぼれていくから)

両手でも溢れていくから

(ためいきをつく)

溜息をつく

(わたしからはなれてにげてった)

私から離れて逃げてった

(なつかしいこころのしみすら)

懐かしい心の紙魚すら

(げんきにおよぐわたしの)

元気に泳ぐ私の

(あくあてらりうむ)

アクアテラリウム

(まるでここはおおきいすいそうみたいで)

まるでここは大きい水槽みたいで

(とじたせかいに)

閉じた世界に

(ひとりきりなわたし)

ひとりきりな私

(いつかそとへでてみたいと)

いつか外へ出てみたいと

(こころにきめていたけど)

心に決めていたけど

(まだだれないでいるのは)

まだ出れないでいるのは

(なんでなんでなんで？)

なんで　なんで　なんで？

(だってだってだって)

だって　だって　だって

(わたしにはにあわないの)

私には似合わないの

(いつまでつよがって)

いつまで強がって

(ここにいるのかな)

ここにいるのかな

(かけちがってるぼたんみたい)

掛け違ってるボタンみたい

(ちかくてとおいきょり)

近くて遠い距離

(ほんとうはけんそうがこいしくて)

本当は喧噪が恋しくて

(ひとりのさびしさごまかしてきたわ)

一人の寂しさ　誤魔化してきたわ

(もうひとりでへいきだってつよがってみても)

もう一人で平気だって強がってみても

(かがみにうつされたきじょはわらえてない)

鏡に映された貴女は笑えてない

(かつじのなかをおよぐさかながふわり)

活字の中を泳ぐ魚がふわり

(せかいにひとつのあくあてらりうむ)

世界に一つのアクアテラリウム

(だれもみてないなら)

誰も見てないなら

(ないてもいいじゃない)

泣いてもいいじゃない