桜吹雪と朧月

(そよぐかぜとともにめぶくいのちのかず)

そよぐ風とともに 芽吹く命の数

(かぎりなくうつくしくもはかなきいのち)

限りなく美しくも 儚き命

(めぐるきせつもまたはかなきものとしる)

巡る季節もまた 儚きものと知る

(おなじはるのひざしなどにどとおとずれず)

同じ春の日差しなど 二度と訪れず

(あのひてをつないでいたあたたかさはいまも)

あの日手を繋いでいた あたたかさは今も

(このてにおぼえていますたとえきせつがかわれども)

この手に覚えています たとえ季節がかわれども

(さくらさくらまいちるよるに)

さくらさくら　舞い散る夜に

(ふたりでみあげたあのおぼろづき)

二人で見上げたあの朧月

(さくらさくらあとすこしだけ)

さくらさくら　あと少しだけ

(なかせておくれ)

泣かせておくれ

(ときはながれてゆくひとしくよどみなく)

時は流れてゆく 等しく澱みなく

(だれがなにをしようともながれつづけてく)

誰が何をしようとも 流れ続けてく

(あなたがすきだったさくらのきのしたで)

あなたが好きだった 桜の木の下で

(はじめてしたくちづけもかこにきえてゆく)

初めてしたくちづけも 過去に消えてゆく

(はるのかぜがふくたびにふたりでおとずれた)

春の風が吹くたびに 二人で訪れた

(ことしもかわらぬけしきはなさきほこるこのばしょで)

今年も変わらぬ景色 花咲き誇るこの場所で

(さくらさくらおぼえてますか)

さくらさくら　憶えてますか

(あのひととわらいあえたあのよるを)

あの人と笑い合えたあの夜を

(さくらさくらにどともどらぬ)

さくらさくら　二度と戻らぬ

(あのしあわせを)

あの幸せを

(きづけばはやいくとせかあのひあのときから)

気づけば早幾年か あの日あの時から

(しらぬひととあのばしょにいくあなたをせめはしない)

知らぬ人とあの場所に行く あなたを責めはしない

(さくらさくらあのひとはもう)

さくらさくら　あの人はもう

(べつのだれかとここにきましたか)

別の誰かとここに来ましたか

(あのひとはもうわたしのことを)

あの人はもう私のことを

(わすれましたか)

忘れましたか

(さくらさくらわたしのこえは)

さくらさくら　私の声は

(もうあのひとにはとどかないから)

もうあの人には届かないから

(さくらさくらこのおもいだけ)

さくらさくら　この想いだけ

(つたえておくれ)

伝えておくれ

(さくらさくらおしえておくれ)

さくらさくら　教えておくれ

(しにさかれたこいのわすれかたを)

死に裂かれた恋の忘れ方を

(さくらさくらあのひとだけは)

さくらさくら　あの人だけは

(しあわせにいきておくれ)

幸せに生きておくれ