キリスト

(ていそうはこどものいのちをさして)

貞操は子供の命を刺して

(きょうかいのうらでねこをころしていた)

教会の裏で猫を殺していた

(あいじょうがもとめたははのはらでは)

愛情が求めた母の腹では

(とうさんのこだねがおれをうんでいた)

父さんの子種が俺を産んでいた

(いびつに)

歪に

(はいたってそんなもんはたえられないから)

吐いたってそんなもんは耐えられないから

(ほんのうをからしてむやみにみたした)

本能を嗄らして無闇に満たした

(ていさいはどうにもおおきくなって)

体裁はどうにも大きくなって

(せいたいのおきてにしたがっていた)

生体の掟に従っていた

(たとえばつめがはだをこわして)

例えば　爪が肌を壊して

(たとえばきばがみゃくをこわして)

例えば　牙が脈を壊して

(たとえばおれがきみをこわして)

例えば　俺が君を壊して

(ゆるされますか)

許されますか？

(なんでやったのなんでだしたの)

なんでヤったの？なんで出したの？

(なんでうんだのおれのことねえ)

なんで産んだの？俺のこと　ねえ

(なんかいはいてもなんかいないても)

何回吐いても　何回泣いても

(なんかいなんだよはなしをきいて)

難解なんだよ　『話を聴いて』

(かみさまあなたはなぜに)

神様　貴方は何故に

(ひとのひとのかたちをしてて)

人の　ヒトの形をしてて

(おれはなぜにひとではなくて)

俺は何故にヒトではなくて

(こんなこんなかたちなのでしょう)

こんな　こんな　形なのでしょう？

(ていそうはこどものいのちにきして)

貞操は子供の命に帰して

(きょうかいのみさでかいぶつがあつまり)

教会のミサで怪物が集まり

(おまえだけじゃないおまえだけじゃない)

「お前だけじゃない」「お前だけじゃない」

(そんなこととかはずっとわかってる)

そんなこととかはずっと解ってる

(それでもこわれたいっさいもんどうだ)

それでも壊れた一斉問答だ

(いびつだ)

歪だ

(いきるだけってさそれだけでもまじわりほぐれてはってんの)

「生きるだけ」ってさ　それだけでも交わり　解れて　這ってんの

(みだらなかっこうはだけるさっぽうかみさまだってさやってんの)

淫らな恰好　肌蹴る殺法　神様だってさ　やってんの

(でもかみのこはひとのこだってさ)

でも神の子は人の子だってさ

(ほしょくしゃだってひしょくしゃだってさっかがかってにきめたんだ)

捕食者だって被食者だって　作家が勝手に決めたんだ

(いっていっていっていっていっていっていってんの)

イってイってイってイってイってイって　イってんの？

(ｉってｉってｉってｉってｉってｉっていってんの)

「i」って「i」って「i」って「i」って「i」って「i」って　言ってんの

(たつとりのあとうなってうなってうなってうなって)

立つ鳥の跡　唸って唸って唸って唸って

(きたないなってわめいてるじゅんけつのせい)

「汚いな」って喚いてる　純潔の生

(けいたいのこどくはゆめをみていた)

継体の孤独は夢を見ていた

(それでからだはいでんにおちてた)

それでも身体は遺伝に堕ちてた

(どれがさいぜんなんかはしらないとごまかし)

どれが最善なんかは知らないと誤魔化し

(ごうかんのひがいはははとこだって)

強の被害は母と子だって

(たとえばつめがはだをこわして)

例えば　爪が肌を壊して

(たとえばきばがみゃくをこわして)

例えば　牙が脈を壊して

(たとえばおれがきみをこわして)

例えば　俺が君を壊して

(ころしてしまう)

殺してしまう

(だれがせいとかだれがぜんとか)

誰が正とか　誰が善とか

(だれがほうとかしらないよでも)

誰が法とか　知らないよ　でも

(はいていきててかんでいきてて)

吐いて生きてて　噛んで生きてて

(さいてんしゃもないこのせかいにさ)

採点者も亡いこの世界にさ

(うんでうまれてうんでうまれて)

産んで産まれて　産んで産まれて

(うんでうまれてくりかえすさあ)

産んで産まれて　繰り返す　さあ

(うんでうまれてうんでうまれて)

運で　産まれて 熟んで　熟まれて

(うんでうまれてしんでいく)

膿んで　膿まれて　死んでいく

(なんでやったのなんでだしたの)

なんでヤったの？なんで出したの？

(なんでうんだのおれのことねえ)

なんで産んだの？俺のこと　ねえ

(なんかいはいてもなんかいないても)

何回吐いても　何回泣いても

(なんかいなんだよおしえてくれよ)

難解なんだよ　教えてくれよ

(なんでやったのなんでやったの)

なんでヤったの？　なんでヤったの？

(なんでやったのいってみろねえ)

なんでヤったの？　言ってみろ　ねえ

(なんでうんだのなんでうんだの)

なんで産んだの？　なんで産んだの？

(なんでうんだのいみとかないか)

なんで産んだの？　意味とかないか

(かみさまあなたはなぜに)

神様　貴方は何故に

(ひとのひとのかたちをしてて)

人の　ヒトの形をしてて

(おれはなぜにひとではなくて)

俺は何故にヒトではなくて

(こんなこんなかたちなのでしょう)

こんな　こんな　形なのでしょう？

(いきるいみをもとめてうたう)

「生きる意味を」求めて歌う

(ばかがあほがふえるこのよで)

馬鹿が　阿保が　増えるこの世で

(おれはなぜにひとではなくて)

俺は何故にヒトではなくて

(しねるいみもしらないままでいる)

死ねる意味も知らないままでいる

(なんで)

なんで