蟲夜

(あとどれだけつむいだなら)

あとどれだけ紡いだなら

(ひかるのだろう)

光るのだろう

(てらしつづけてねむるの)

照らし続けて眠るの

(ゆめさなぎのよう)

夢　蛹のよう

(あなたをさがすひかりは)

あなたを探す光は

(むすうにのびてく)

無数に伸びてく

(あんやにさいた)

闇夜に咲いた

(せすじをむさぼるむしたち)

背筋を貪る蟲達

(あまいかじつにまつわりついてる)

甘い果実に纏わり付いてる

(ゆめにでてきたあなたがいう)

夢に出てきたあなたが言う

(あやめないでとさまようりょうてで)

殺めないでと彷徨う両手で

(つかみはなさないまま)

掴み離さないまま

(はばたきさくつきよ)

羽ばたき咲く月夜

(むらがりまうつゆよ)

群がり舞う梅雨よ

(ぬらしてしまうのひたひたと)

濡らしてしまうのひたひたと

(うきよにあいちる)

浮世に会い散る

(ゆかにはうつめと)

床に這う爪と

(つぎはぎあわせ)

つぎはぎ合わせ

(はねはちぎれちぎれ)

羽はちぎれちぎれ

(ひかりつきそらへはばたいて)

光り尽き空へ羽ばたいて

(さかせ)

咲かせ

(まだまにあうなら)

まだ間に合うなら

(そのてでかこってほしい)

その手で囲ってほしい

(くさむらにそっとふみこみ)

草むらにそっと踏み込み

(まいちるむしもよう)

舞い散る蟲模様

(きつくむすんださびついたいとは)

きつく結んだ錆びついた糸は

(わたしをつなぎはなさない)

わたしを繋ぎ離さない

(えがいたかおをぬりつぶして)

描いた顔を塗りつぶして

(ひかりをちらつかせてめぶきをからせて)

光をちらつかせて芽吹きを枯らせて

(いきはとだえ)

息は途絶え

(かけあいこういのちよ)

掛け合い乞う命よ

(まざりくらうあんや)

混ざり喰らう闇夜

(もやしてしまうのひがんはな)

燃やしてしまうの彼岸花

(ひかれてあうむしよる)

惹かれて会う蟲夜

(こいにさくはなを)

故意に咲く花を

(きずついておちてゆくわたしたちは)

傷ついて落ちてゆくわたし達は

(そらたかくてらす)

空高く照らす

(そのひとみをみせて)

その瞳を見せて

(さかせあんやを)

咲かせ　闇夜を

(いまもまだみえている？)

今もまだ見えている？

(ちらついたあわいひかり)

ちらついた淡い光

(からませたまゆをやぶってうまれる)

絡ませた繭を破って産まれる

(あてもないそらへとびたつ)

宛てもない空へ飛び立つ

(あんやにさくつきよ)

闇夜に咲く月夜

(むらがりまうつゆよ)

群がり舞う梅雨よ

(ぬらしてしまうのひたひたと)

濡らしてしまうのひたひたと

(うきよにあいちる)

浮世に会い散る

(ゆかにはうつめと)

床に這う爪と

(つぎはぎあわせ)

つぎはぎ合わせ

(はねはちぎれちぎれ)

羽はちぎれちぎれ

(つむいでずっと)

紡いでずっと

(そうずっとあがくむしよる)

そうずっと足掻く蟲夜

(さからいあういのちを)

逆らい合う命を

(さなぎはこえをあげめぶいてゆく)

蛹は声をあげ芽吹いてゆく

(つめたいそのては)

冷たいその手は

(あさのひをよび)

朝の陽を呼び

(わたしのなくうぶごえ)

わたしの鳴く産声

(てらしてゆくの)

照らしてゆくの

(ひかりまいはなち)

光舞い放ち

(あんやへはばたき)

闇夜へ羽ばたき

(あいさかせ)

相咲かせ