深夜怖い

(なにかがいる)

なにかがいる

(わたしをみてる)

私を見てる

(ろうかにいる)

廊下にいる

(べっどにいる)

ベッドにいる

(あしおとがする)

足音がする

(わたしをみてる)

私を見てる

(だからこのへやになぜかとじこめられている)

だからこの部屋になぜか閉じ込められている

(のうむがきてる)

濃霧がきてる

(とかげがいる)

蜥蜴がいる

(しーつをぬらす)

シーツを濡らす

(つれていかれる)

連れて行かれる

(てあしをしばる)

手足を縛る

(だからにげることはできない)

だから逃げることはできない

(はなおさないうつろかゆいほねうるさいまざりきたない)

花幼い 虚痒い 骨五月蝿い 混ざり汚い

(はなしいたいゆめまばゆいつつじあまいかなたはかない)

話痛い 夢眩い 躑躅甘い 彼方儚い

(つなぎおもいあざあかるいくちさかないあかほのぐらい)

繋重い 痣明るい　口咲かない 赤仄暗い

(いきぐるしいわずらわしいちなまぐさいしんやこわい)

息苦しい 煩わしい 血生臭い 深夜怖い

(おわらぬあくむをしってるか)

終わらぬ悪夢を知ってるか

(はがぬけおちてくかんかくをしってるか)

歯が抜け落ちてく感覚を知ってるか

(なめくじまみれのきょうしつで)

蛞蝓まみれの教室で

(よめぬきょうかしょをひらくかんかくをしってるか)

読めぬ教科書を開く感覚を知ってるか

(とわのくらやみをしってるか)

永遠の暗闇を知ってるか

(まぶたにとりつくおばけをしってるか)

瞼に取り憑くお化けを知ってるか

(こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい)

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い

(しんやこわい)

深夜怖い

(かがみにいる)

鏡にいる

(わたしをみてる)

私を見てる

(ばけものがいる)

化け物がいる

(みなもにいる)

水面にいる

(えきしょうにいる)

液晶にいる

(わたしをみてる)

私を見てる

(いつからかくびはおさえつけられつづけている)

いつからか首は押さえつけられ続けている

(くらげがきてる)

クラゲが来てる

(くちをふさぐ)

口を塞ぐ

(すーぷがにごる)

スープが濁る

(ちをさわられる)

血を触られる

(てあしがうずく)

手足が疼く

(しらないなまえでよびかけられつづけている)

知らない名前で呼びかけられ続けている

(おわらぬあくむをしってるか)

終わらぬ悪夢を知ってるか

(うえるははをみるかんかくをしってるか)

飢える母を見る感覚を知ってるか

(いちからひゃくまでかぞえて)

一から百まで数えて

(それでもうかばぬからだのおもさをしってるか)

それでも浮かばぬ体の重さを知ってるか

(どあのそとがわをしってるか)

ドアの外側を知ってるか

(からだのしんまでこおるこどくをしってるか)

体の芯まで凍る孤独を知ってるか

(こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい)

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い

(たすけて)

助けて

(せがのびるゆめをしってるか)

背が伸びる夢を知ってるか

(あかないどあをたたくゆめをしってるか)

開かないドアを叩く夢を知ってるか

(てがかわくゆめをしってるか)

手が乾く夢を知ってるか

(かがみのはへんが)

鏡の破片が

(ばけもののはだつきささる)

化け物の肌 突き刺さる

(とわのおわかれをしってるか)

永遠のお別かれを知ってるか

(きおくをたべるあおむしをしってるか)

記憶を食べる青虫を知ってるか

(こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい)

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い

(こわいよ)

怖いよ

(あのかどをまがればあのこがまっている)

あの角を曲がればあの子が待っている

(あのかどをまがればあのこがまっている)

あの角を曲がればあの子が待っている

(あのかどをまがればだれかがまっている)

あの角を曲がればだれかが待っている

(あのかどをまがればだれかがまっている)

あの角を曲がればだれかが待っている

(あのかどをまがれば)

あの角を曲がれば

(あのかどをまがればまっている)

あの角を曲がれば　　待っている

(あのかどをまがれば)

あの角を曲がれば

(あの)

あの