ささぐうた -ヒガン・ルトゥール・シンフォニー-

(ああ、そこなまよいごさん)

嗚呼、そこな迷い子さん

(どうしてこっちにきなさった)

どうしてこっちに来なさった

(いつかはさけがたきさだめでも)

いつかは避け難き運命でも

(とおざかるすべもあったろうに)

遠ざかる術もあったろうに

(ひとでありつづけること)

人であり続けること

(ひとりでいきつづけること)

一人で生き続けること

(なにからもにげなかった)

何からも逃げなかった

(そのきがいに、ひとつさかずきを。)

その気概に、ひとつ杯を。

(めいどのみやげに)

冥土の土産に

(うたってやろうか)

唄ってやろうか

(せめて、むこうぎしまでのはなむけとして)

せめて、向こう岸までの餞として

(ほしがながれながれ、はるか。)

星が流れ流れ、遙。

(おちて、ばんか。)

堕ちて、挽歌。

(うつろわぬ)

移ろわぬ

(そのたましいの)

その魂の

(いろのまま)

色のまま

(うまれかわれよ)

生まれ変われよ

(いつかどこか)

いつかどこか

(むかえるゆくすえを)

迎える行く末を

(うけいれるがまんじゅしゃげ)

受け入れるが曼珠沙華

(いずれたどりつく)

いずれ辿りつく

(たびじのはてにむけ)

旅路の果てに向け

(いまはただみなもをゆらせ)

今はただ水面を揺らせ

(ああ、そこなまよいごさん)

嗚呼、そこな迷い子さん

(とうとうこっちにきなさった)

とうとうこっちに来なさった

(かえられぬぶきようさが)

変えられぬ不器用さが

(まねくものだとわかってたろうに)

招くものだとわかってたろうに

(うえていきたおれたのか)

餓えて行き倒れたのか

(あるいは、えじきとなったのか)

或いは、餌食となったのか

(はては、みとられしあわせなさいごを)

はては、看取られ幸せな最期を

(むかえられたのか。)

迎えられたのか。

(ほこりあるいしを)

誇りある意思を

(うたってやろうか)

詠ってやろうか

(せめて、むこうぎしまでのはなむけとして)

せめて、向こう岸までの餞として

(ほしがながれながれ、はるか。)

星が流れ流れ、遙。

(おちて、あいか。)

堕ちて、哀歌。

(とどろけよ)

轟けよ

(たましいのうた)

魂の歌

(かぎりなく)

限りなく

(とおくはてなく)

遠く果てなく

(いけるがつみ)

生けるが罪

(おえるがそのさばき)

終えるがその裁き

(きんじゅするがまんじゅしゃげ)

謹受するが曼珠沙華

(じきにたどりつく)

じきに辿りつく

(たびじのはてにむけ)

旅路の果てに向け

(いまはただきおくにあそべ)

今はただ記憶に遊べ

(のこすおもいをうたえようたえ)

遺す想いを訴えよ歌え

(すべてをむにきすそのまえに)

全てを無に帰すその前に

(りんねのわをまわせよまわせ)

輪廻の輪を舞わせよ回せ

(すべてをゆうにつなぐために)

全てを有に繋ぐ為に

(ほしよたかくたかく、はるか。)

星よ高く高く、遙。

(のぼれ、さんか。)

昇れ、讃歌。

(あらたなる)

新たなる

(そのたびだちを)

その旅立ちを

(おくさずに)

臆さずに

(つよくあるめよ)

強く歩めよ

(とわにつづく)

永久に続く

(らせんをえがきつつ)

螺旋を描きつつ

(きするはてがまんじゅしゃげ)

帰する果てが曼珠沙華

(ほしをおえ)

星を追え

(いつか)

いつか

(ねがいにこいをせよ)

願いに恋をせよ

(そしてまた)

そしてまた

(いつのひか)

いつの日か

(かけけろよ、てんを)

翔けろよ、天を