７番目の僕

(１ばんめのぼくただなにもしらず)

１番目の僕　ただ何も知らず

(うたうことがすきなままにさけびつづけた)

歌うことが好きなままに叫び続けた

(せかいはこんなにもものくろじゃないか)

世界はこんなにも白黒じゃないか

(ぼくはうたいましょういろをつけるために)

僕は歌いましょう　色をつけるために

(２ばんめのぼくだいしょうをしって)

２番目の僕　代償を知って

(そのうらがわにおびえながらうたいつづけた)

その裏側に怯えながら歌い続けた

(せかいはこんなにもちぐはぐじゃないか)

世界はこんなにもちぐはぐじゃないか

(ぼくはうたいましょうつなぎとめるために)

僕は歌いましょう　繋ぎ止めるために

(３ばんめのぼくむちゅうであがいて)

３番目の僕　夢中で足掻いて

(つかみとれるものをしんじてこえをからした)

掴み取れるものを信じて声を枯らした

(せかいはこんなにもうるさいじゃないか)

世界はこんなにもうるさいじゃないか

(ぼくはうたいましょういばしょをつげるために)

僕は歌いましょう　居場所を告げるために

(りかいするまなぶことがいずれみをむすぶのだとして)

『理解する』『学ぶ』ことが　いずれ実を結ぶのだとして

(それならぼくはくりかえしぼくをころすだろう)

それなら僕は　繰り返し僕を殺すだろう

(４ばんめのぼくりょううでをさげて)

４番目の僕　両腕を下げて

(あきらめることがおわりではないとさけぶ)

諦める事が終わりではないと叫ぶ

(せかいはこんなにもからふるじゃないか)

世界はこんなにも極彩じゃないか

(ぼくはうたいましょういろをふやすために)

僕は歌いましょう　色を増やすために

(５ばんめのぼくおしまいをしって)

５番目の僕　おしまいを知って

(そのうらがわをかんがえることをきょひする)

その裏側を考える事を拒否する

(せかいはこんなにもがらくたじゃないか)

世界はこんなにもがらくたじゃないか

(ぼくはうたいましょうくさりほどくために)

僕は歌いましょう　鎖解くために

(６ばんめのぼくもうみをゆだねて)

６番目の僕　もう身を委ねて

(かすれていたむのどをなでてくちをとざした)

掠れて痛む喉を撫でて口を閉ざした

(せかいはこんなにもせいじゃくじゃないか)

世界はこんなにも静寂じゃないか

(ぼくはうたいましょうこころのなかだけで)

僕は歌いましょう　心の中だけで

(いろをうしなうことがせいちょうだというならば)

色を失う事が　成長だと言うならば

(もうなんどじぶんをころしたのだろう)

もう何度自分を殺したのだろう？

(きえたぼくらはどこへいこう)

消えた僕らはどこへ行こう？

(そしてうまれたのは７ばんめのぼく)

そして生まれたのは　７番目の僕

(むじゃきでおくびょうだいたんもうもくうちきでむくちなぼく)

無邪気で臆病大胆　盲目内気で無口な僕

(なんともこっけいなすがたじゃないか)

なんとも滑稽な姿じゃないか

(うまれたばかりのきみへしゅくふくをきぼうをらくたんを)

生まれたばかりの君へ　祝福を希望を落胆を

(りかいするまなぶことで)

『理解する』『学ぶ』ことで

(いろをうしないつづけるなら)

色を失い続けるなら

(それならぼくはなんどでもうまれきえるだろう)

それなら僕は　何度でも生まれ消えるだろう

(７ばんめのぼくぼくをころした)

７番目の僕、　を　　た。