【意味怖】取り締まり *概要欄に解説
最後のセリフ「僕が警察だったら」ということは
この男は警察ではないということ。
では何故交通違反の取り締まりをしているのか。
そしてその正体不明の男に個人情報を知られて
しまって大丈夫なのか・・・。
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問題文
(ちょっとちょっとそこのおにいさん)
「ちょっとちょっと!そこのお兄さん!」
(ぴぴぴっとほいっするのみじかいおとがひびいたあとぼくはこえをかけられた)
ピピピっとホイッスルの短い音が響いたあと、僕は声を掛けられた。
(こさめがふりはじめたゆうぐれどきがっこうからのかえりみちでじてんしゃをはしらせていたぼく)
小雨が降り始めた夕暮れ時、学校からの帰り道で自転車を走らせていた僕。
(はやくかえりたかったけどしぶしぶぶれーきをかけそのばにとまる)
早く帰りたかったけど、渋々ブレーキをかけ その場に止まる。
(こころのなかであくたいをつきながらなにくわぬかおでこえのしたほうをふりむいた)
心の中で悪態をつきながら、何食わぬ顔で声のしたほうを振り向いた。
(こえのぬしはぼくのじてんしゃのこうりんにてをおいた)
声の主は僕の自転車の後輪に手を置いた。
(だめでしょうんてんちゅうにいやほんしてたら)
「だめでしょ、運転中にイヤホンしてたら。」
(やっぱりそれかこんなことでよびとめられるなんてさいあくだ)
やっぱりそれか、こんなことで呼び止められるなんて最悪だ。
(いやかたみみははずしてるんで)
「いや、片耳は外してるんで。」
(それでもだめだよそれにみたところらいとついてないよねあぶないよ)
「それでも駄目だよ。それに見たところライトついてないよね、危ないよ。」
(はあすいません)
「はあ、すいません」
(きっぷだすからじゅうしょとなまえせいねんがっぴをおしえて)
「切符出すから、住所と名前、生年月日を教えて。」
(そういわれてぼくはかんねんしておとなしくじてんしゃをおりこたえていった)
そう言われて僕は観念して、おとなしく自転車を降り、答えていった。
(17さいこうこうせいねがくせいしょうはあるああひがしこうね)
「17歳、高校生ね。学生証はある?ああ、東高ね。
(あそこはさかのうえにあるからじてんしゃはたいへんでしょ)
あそこは坂の上にあるから、自転車は大変でしょ。」
(ええまあ)
「ええ、まあ。」
(そのおとこはぼくのじょうほうをてちょうにめもしながらはなしをきいてくる)
その男は僕の情報を手帳にメモしながら話を聞いてくる。
(がっこうにでんわとかされるのかなあめんどうくさいな)
学校に電話とかされるのかなあ、面倒くさいな。
(わかいからだいじょうぶだとおもうかもしれないけどおもわぬじこをよぶこともあるよ)
「若いから大丈夫だと思うかもしれないけど、思わぬ事故を呼ぶこともあるよ。
(ちゃんとるーるをまもってただしくのってください)
ちゃんとルールを守って正しく乗ってください。」
(はいすみませんでした)
「はい、すみませんでした。」
(やっとかいほうしてもらえそうだ)
やっと解放してもらえそうだ。
(うわのそらではなしをきいていたぼくはとめていたじてんしゃにのりなおした)
上の空で話を聞いていた僕は、止めていた自転車に乗り直した。
(つぎからはきをつけてねぼくがけいさつだったらあぶないところだったよ)
「次からは気を付けてね、僕が警察だったら危ないところだったよ。」
(ぼくのせなかにそうこえをかけているおとこをあとにしてかえりみちをいそいだ)
僕の背中にそう声を掛けている男を後にして、帰り道を急いだ。
(100mほどすすんだところでいやほんをとりだしてみみにつけながら)
100mほど進んだところでイヤホンを取り出して、耳につけながら。