知っちゃった/椎乃味醂

(ああここはまさにじごくだ)

嗚呼ここはまさに地獄だ

(しべんせいのあるげーみふぃけーしょんとかしたしこうじもんじとう)

思弁性のあるゲーミフィケーションと化した思考自問自答

(たいがいしょうきのさたでないじょうたい)

大概正気の沙汰でない状態

(ちょうじょうげんしょうをたいしょうとしたぎゃくそうのそうぞう)

超常現象を対象とした逆相の創造

(ものがたりのかたりはいちぎのほうがかんけつで)

物語の語りは一義の方が簡潔で

(にこうをたいさせればめいかいで)

二項を対させれば明快で

(そうしてさんすんのしたをふるったかれがおくのはしんだでぃすくーるで)

そうして三寸の舌を掉った彼が置くのは死んだディスクールで

(しゃかいはふくざつだししょうがないねとはならないおとしこみごびゅうで)

社会は複雑だししょうがないねとはならない落とし込み誤謬で

(せかいをかたりつくしたきになっている)

世界を語り尽くした気になっている

(はつかそもそもおまえはだれ)

は？つかそもそもお前は誰

(なあ)

なあ

(しっちゃった)

知っちゃった

(しっちゃった)

知っちゃった

(しっちゃった)

知っちゃった

(しっちゃったんです)

知っちゃったんです

(とかのたまってまたひとりゆうえつかんにひたりにいくようそうですわら)

とか宣ってまた一人優越感に浸りに行く様相です笑

(はあ)

はあ

(しっちゃった)

知っちゃった

(しっちゃった)

知っちゃった

(しっちゃった)

知っちゃった

(しっちゃったんです)

知っちゃったんです

(このせかいのいちぶがもうしんじゃったってことを)

この世界の一部がもう死んじゃったってことを

(しっちゃったんです)

知っちゃったんです

(ああここはまさにじごくだ)

嗚呼ここはまさに地獄だ

(けんいせいのあるぶんがくてきいみろんにむかうしこう)

権威性のある文学的意味論に向かう思考

(いったいいっていではたいがいかたづけられないじょうきょう)

一対一定では大概片付けられない状況

(そんなのかんけいなくちょうみがってなかいしゃくでもうそう)

そんなの関係なく超身勝手な解釈で妄想

(ものがたりのかたりはきもちよければよくて)

物語の語りは気持ち良ければよくて

(わかりやすいこうぞうをもとめて)

わかりやすい構造を求めて

(そうしてさんすんのしたをふるうさまは)

そうして三寸の舌を掉う様は

(もうしょみんもどきのばてれんで)

もう庶民もどきのバテレンで

(しゃかいはそうぞうよりかんたんにきじゅつできるようなもんじゃないし)

社会は想像より簡単に記述できる様なもんじゃないし

(だからそれをひなんするのもきっとおもうよりたんじゅんじゃない)

だからそれを非難するのもきっと思うより単純じゃない

(かくてじょうしきとかてごらいずされるところをぜったいかし)

かくて常識とカテゴライズされるところを絶対化し

(ぞくせつというらべるのみでしにしずむにいたることもまた)

俗説というラベルのみでシニシズムに至ることもまた

(ひごうりのうらがえしであって)

非合理の裏返しであって

(かんといこうのそうかんしゅぎではたとえば)

カント以降の相関主義では例えば

(そうかんのがいぶのじつざいをこうていするいっしゅのいでおろぎーにたいして)

相関の外部の実在を肯定する一種のイデオロギーに対して

(ゆうこうかつふかぎゃくてきなはんばくができません)

有効かつ不可逆的な反駁ができません

(げんめいをせいとうかするかくされたどうりが)

言明を正当化する隠された道理が

(そうかんのがいぶにもないとしょうめいしなければならない)

相関の外部にもないと証明しなければならない

(そのためにぜったいてきだとうせいのあるしこうげんりをもさくします)

そのために絶対的妥当性のある思考原理を模索します

(ひはんのぜいじゃくせいについて)

批判の脆弱性について

(しっちゃった)

知っちゃった

(しっちゃった)

知っちゃった

(しっちゃった)

知っちゃった

(しっちゃったんです)

知っちゃったんです

(はあ)

はあ

(しっちゃった)

知っちゃった

(しっちゃった)

知っちゃった

(しっちゃった)

知っちゃった

(しっちゃったんです)

知っちゃったんです

(それでもどこかにきぼうはないものかと)

それでもどこかに希望はないものかと

(きょうもさがしているんです)

今日も探しているんです