【意味怖】留守番 *概要欄に解説
霊のノック音と声は、語り手以外には聞こえないはず。
それなのに「開けちゃだめ」と言ったところから、
リビングに居るほうが幽霊。
さらに母親は「寿司」を買ってくると言っていたのに
「ハンバーグ」を用意しているところもおかしい。
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問題文
(よるの12じ)
夜の12時。
(ねているとまどをこんこんとのっくされる)
寝ていると、窓をコンコンとノックされる。
(おれはさいきんれいしょうとやらになやまされている)
俺は最近、霊障とやらに悩まされている。
(いっしゅうかんまえにゆうじんときもだめしでしんれいすぽっとにいってからだ)
一週間前に、友人と肝試しで心霊スポットに行ってからだ。
(どうやらついてきてしまったらしい)
どうやら、ついてきてしまったらしい。
(このところまいにちよるになるとまどやかべをのっくされたり)
このところ毎日、夜になると窓や壁をノックされたり、
(いれてとこえをかけられたりする)
「入れて」と声をかけられたりする。
(そのせいでいっしゅうかんほとんどねていない)
そのせいで、一週間ほとんど寝ていない。
(さらにやっかいなことがある)
さらに厄介なことがある。
(そののっくするおとやこえはおれいがいのひとにはきこえないということだ)
そのノックする音や声は、俺以外の人には聞こえないということだ。
(だからせいしんてきなびょうきじゃないかといわれてしまう)
だから、精神的な病気じゃないかと言われてしまう。
(おれとしてはどうかんがえてもせいしんてきなものではないとかくしんしている)
俺としては、どう考えても精神的なものではないと確信している。
(というのもまどのかぎをかけわすれたさいにゆっくりとまどがうごきはじめたのだ)
というのも、窓の鍵をかけ忘れた際に、ゆっくりと窓が動き始めたのだ。
(あわててまどをしめるとどうしていれてくれないのというこえもきこえてきた)
慌てて窓を閉めると「どうして入れてくれないの」という声も聞こえてきた。
(こうなってくるとほんとうにきがくるいそうになる)
こうなってくると、本当に気が狂いそうになる。
(そんなときははおやがどうそうかいがあるのででかけるといいだした)
そんなとき、母親が、同窓会があるので出かける と言い出した。
(ちちおやはしゅっちょうでるすちゅう)
父親は出張で留守中。
(そんなじょうたいでははおやまでいえをあけるなんてじょうだんじゃない)
そんな状態で母親まで家を空けるなんて、冗談じゃない。
(なんとかせっとくをこころみる)
なんとか説得を試みる。
(が11じにはかえるこうぶつのすしをかってくるとおしきられてしまった)
が、11時には帰る、好物の寿司を買ってくる、と押し切られてしまった。
(まあおれももうだいがくせいだ)
まあ、俺ももう大学生だ。
(こんなわがままをいいつづけるわけにはいかない)
こんな我儘を言い続けるわけにはいかない。
(ゆうがたになるとははおやがでかけていく)
夕方になると、母親が出かけて行く。
(だいじょうぶ6じかんくらいたえればいいだけだ)
大丈夫、6時間くらい耐えればいいだけだ。
(ははおやがでていってからはへやにとじこもってふとんをかぶる)
母親が出て行ってからは、部屋に閉じこもって、布団を被る。
(もちろんまどやどあにかぎがかかっていることはかくにんずみだ)
勿論、窓やドアに鍵がかかっていることは確認済みだ。
(ねていなかったせいかすこしうとうとしているといんたーほんがなった)
寝ていなかったせいか、少しうとうとしていると、インターホンが鳴った。
(まだじかんは7じ)
まだ時間は7時。
(こんなじかんかられいがあらわれることなんていままでなかった)
こんな時間から、霊が現れることなんて、今までなかった。
(まさかおれがひとりだということをしってねらってきたのだろうか)
まさか、俺が一人だということを知って、狙ってきたのだろうか。
(ふたたびいんたーほんがなる)
再び、インターホンが鳴る。
(おそるおそるどあののぞきあなからみるとはいたついんだった)
恐る恐る、ドアの覗き穴から見ると、配達員だった。
(どあをあけてにもつをうけとる)
ドアを開けて、荷物を受け取る。
(もうはいたつがくるならいっておいてくれよ)
もう、配達が来るなら言っておいてくれよ。
(おれはあんどしてふたたびへやでふとんをかぶる)
俺は安堵して、再び部屋で布団を被る。
(するといつのまにかねむってしまっていた)
すると、いつの間にか眠ってしまっていた。
(めをさますとよるの11じ)
目を覚ますと、夜の11時。
(そろそろははおやがかえってくるはずだ)
そろそろ母親が帰ってくるはずだ。
(それにこのじかんならまだゆうれいはあらわれないだろう)
それに、この時間なら、まだ幽霊は現れないだろう。
(といれにむかおうとろうかにでるとりびんぐのでんきがついていた)
トイレに向かおうと廊下に出ると、リビングの電気がついていた。
(どあごしにこえをかける)
ドア越しに声をかける。
(あれかあさんかえってきてたのー)
「あれ、母さん?帰って来てたのー?」
(うんはやくかいさんになっちゃってそれよりおなかすいたんじゃない)
「うん、早く解散になっちゃって。それよりお腹すいたんじゃない?」
(あーうんへった)
「あー、うん、減った。」
(はんばーぐつくったからごはんにしましょ)
「ハンバーグ作ったから、ご飯にしましょ。」
(といれいってからねー)
「トイレ行ってからねー。」
(するととつぜんどんどんとどあがはげしくのっくされた)
すると突然、ドンドンとドアが激しくノックされた。
(おねがーいそこいるんでしょげんかんのどああけてー)
「お願ーい!そこいるんでしょ!玄関のドア、開けてー!」
(ははおやのこえだ)
母親の声だ。
(うそだろこんなこともできるのか)
嘘だろ、こんなこともできるのか?
(かぎをおとしちゃったのあけてー)
「鍵を落としちゃったの、開けてー!」
(あぶない)
危ない。
(さきにははおやがかえってきていなかったらだまされているところだった)
先に母親が帰って来ていなかったら、騙されているところだった。
(だがさらにどんどんとはげしくのっくされる)
だが、さらにドンドンと激しくノックされる。
(はやくははおやのところへもどろうとおもったときだった)
早く、母親の所へ戻ろうと思った時だった。
(あけちゃだめよはやくこっちきなさい)
「開けちゃだめよ!早くこっち来なさい!」
(りびんぐからははおやのこえがきこえた)
リビングから母親の声が聞こえた。
(おれはあわててげんかんのどあをあけた)
俺は慌てて、玄関のドアを開けた。