瘡蓋（かさぶた）／澤村光彩

(かびんをみるとおもいだすのは)

花瓶を見ると思い出すのは

(つくえのうえにおかれてたゆり)

机の上に置かれてた百合

(きょうしつのなかうすらわらいが)

教室の中薄ら笑いが

(きこえてはまたよるにめをさます)

聞こえてはまた夜に目を覚ます

(きっとみんなはおぼえちゃいないだろう)

きっとみんなは覚えちゃいないだろう

(まいにちちゃんとしあわせなんだろう)

毎日ちゃんと幸せなんだろう

(ときがすべてあらいながす？いまのわたしのこころのなかはまだ)

時が全て洗い流す？今の私の心の中はまだ

(どろどろやみうずまいている)

ドロドロ闇渦巻いている

(ぐちゃぐちゃにこころもゆがんでいる)

ぐちゃぐちゃに心も歪んでいる

(かさぶたがはがれおちていけば)

瘡蓋が剥がれ落ちていけば

(またちがながれてく)

また血が流れてく

(どんなときがたとうとも)

どんな時が経とうとも

(たとえしあわせなみらいがきても)

例え幸せな未来が来ても

(きっときおくのなかにずっとのこりつづける)

きっと記憶の中にずっと残り続ける

(かがいしゃもそのまわりのぼうかんしゃも)

加害者もその周りの傍観者も

(そのめがとどかないくらいに)

その目が届かないくらいに

(とおくまでにげてきた)

遠くまで逃げてきた

(かならずみかえしてやるときめた)

必ず見返してやると決めた

(だれもとどかないとこまでいくと)

誰も届かないとこまで行くと

(ここからわたしのじんせいだいにしょうはじまるから)

ここから私の人生第二章始まるから

(たたかうことをえらんだのは)

戦うことを選んだのは

(たちどまればいきがとまるから)

立ち止まれば息が止まるから

(ないふのきっさきにうつっていた)

ナイフの切先に映っていた

(ゆがんだそのひとみ)

歪んだその瞳

(ひとりおびえてたよるも)

ひとり怯えてた夜も

(ねむれないままむかえたあさも)

眠れないまま迎えた朝も

(ぜんぶつれていけたら)

全部連れて行けたら

(どんなあしたがまってる？)

どんな明日が待ってる？

(もしわたしがきえたとして)

もし私が消えたとして

(せかいはかわらずにまわるだろう)

世界は変わらずに回るだろう

(あのあにめもつづいていくだろう)

あのアニメも続いていくだろう

(つづきがみたくてさ・・・)

続きが観たくてさ…

(かぜがふきむしがないてまたあたらしいきせつがめぐる)

風が吹き虫が鳴いてまた新しい季節が巡る

(あとちょっともうちょっとまだちょっと)

あとちょっと　もうちょっと　まだちょっと

(どろどろやみうずまいている)

ドロドロ闇渦巻いている

(ぐちゃぐちゃにこころもゆがんでいる)

ぐちゃぐちゃに心も歪んでいる

(かさぶたがはがれおちていけば)

瘡蓋が剥がれ落ちていけば

(またちがながれてく)

また血が流れてく

(もがいてはいつくばって)

もがいて這いつくばって

(かざってそれでもいきて)

飾って　それでも生きて

(じぶんにうそはつけないなら)

自分に嘘はつけないなら

(あのひのないふでみらいをきりひらけ)

あの日のナイフで未来を切り拓け