カトラリー

(なんでもないのになみだがこぼれおちたらいいからわらって)

何でもないのに涙がこぼれ落ちたらいいから笑って

(いってきものこさずにすくったらとだなのすみのほうへかくすから)

一滴も残さずに救ったら戸棚の隅の方へ隠すから

(だれかのことばのぶんだけまたすこしだけよるがながくなる)

誰かの言葉の分だけまた少しだけ夜が長くなる

(めをとじたらどう？)

目を閉じたらどう？

(もうみたくもないなんていえるわけもないし)

もう見たくもないなんて言えるわけもないし

(ふきげんなこえはかすんだあさいゆびわのあじをちょうだいな)

不機嫌な声は霞んだ浅い指輪の味をちょうだいな

(またいつものつくりばなしやけたらいとでうつすゆめをみていた)

またいつもの作り話灼けたライトで映す夢を見ていた

(あいいろになるこのみゆだねなすままにゆえにわすれてしまっても)

藍色になるこの身委ねなすままに故に忘れてしまっても

(あいようであるようにさびたかとらりーきみがおわらせてよさいあくのばあいは)

愛用であるように錆びたカトラリー君が終わらせてよ最悪の場合は

(なんでもないのになにだがあふれだしたらきょうだけわらって)

何でもないのに何だが溢れ出したら今日だけ笑って

(いっさいのかんじょうをころしたらとびらのまえでちゃんとはなすから)

一切の感情を殺したら扉の前でちゃんと話すから

(だれかのくらしのぶんだけまたすこしずつまちがしずんでる)

誰かの暮らしの分だけまた少しずつ街が沈んでる

(めをあけたらもうだれもいないなんてしゃれにならないし)

目を開けたらもう誰も居ないなんて洒落にならないし

(あいそがつくまえにきがねなくわがままにやがてなくしてしまっても)

愛想が付く前に気兼ねなく我儘にやがて無くしてしまっても

(こうかいしないようにおりなおすめろでぃ)

後悔しないように織りなおすメロディ

(きみとおどらせてよさいぜんのよういは)

君と踊らせてよ最善の用意は

(ふきげんなこえはかすんだにがいゆびわおさめてちょうだいな)

不機嫌な声は霞んだ苦い指輪納めて頂戴な

(またいつものつくりばなしばかみたいなわるいゆめを)

またいつもの作り話馬鹿みたいな悪い夢を

(あいいろになるこのみゆだねなすがままにゆえにわすれてしまっても)

藍色になるこの身委ねなすがままに故に忘れてしまっても

(あいようであるようにさびたかとらりー)

愛用であるように錆びたカトラリー

(きみがおわらせてよさいあくのばあいは)

君が終わらせてよ最悪の場合は

(なんでもないこのなみだがいらなくなったならもうわすれて)

何でもないこの涙が要らなくなったならもう忘れて

(たまったしょっきあらったらきおくのおくのほうへかくすから)

溜まった食器洗ったら記憶の奥の方へ隠すから

(だれかのことばのぶんだけまたすこしだけきみがいなくなる)

誰かの言葉の分だけまた少しだけ君が居なくなる

(めをとじたらどう？もうみたくもないなんていえるわけもないし？)

目を閉じたらどう？もう見たくもないなんて言えるわけもないし？