とても素敵な六月でした

(つぶされたわたしのたいくはひどくもろいこけいとばかして)

潰された私の体躯は酷く脆い固形と化して

(おとひとつしないしがいちでいまいましいふしょうをのろうのさ)

音ひとつしない市街地で忌々しい不詳を呪うのさ

(どうとくのむこうっがわであなたはほえているたんぱくなことばのうらがわがすけているよ)

道徳の無効っ側であなたは吠えている淡白な言葉の裏側が透けているよ

(まひるのむさいっしきをふおんないろにしてほんとうにばかなうそつき)

真昼のむさ一色を不穏な色にして本当に馬鹿な嘘つき

(かおるなつがぜにさそわれてかすむしにがみもないていた)

薫る夏が銭誘われて霞む死神も泣いていた

(はじまりのあいずがとどろいてむせぶひこうきぐも)

始まりの合図が轟いてむせぶ飛行機雲

(へいそくとせんのよまいごとでまわるうんだせかいがおわるまえに)

閉塞と千の世迷い言で回る膿んだ世界が終わる前に

(ゆめのなかさえもずっと、やきつけたいの)

夢の中さえもずっと、焼き付けたいの

(くたびれたかいてんもくばみたくもないぎまんのさんぶつ)

くたびれた回転木馬見たくもない欺瞞の産物

(しくまれたさんげきのおかにさいたれんげはかれるのだ)

仕組まれた惨劇の丘に咲いた蓮華は枯れるのだ

(わたしをうがっていくみにくいとうめいはいいろのこころがむすうにひめいをあげるの)

私をうがっていく醜い透明灰色の心が無数に悲鳴を上げるの

(はいとくのしろいいきもしだいにはくぎんがおおいかくしてしまうよ)

背徳の白い息も次第に白銀が覆い隠してしまうよ

(しめるまちかどにとびちったえぐるかんかくをはなつのさ)

湿る街角に飛び散った抉る感覚を放つのさ

(ほえるまいごいぬをほうむってくろけむりのたつそらに)

吠える迷子犬を葬って黒煙の立つ空に

(といかけとせんのきれいことでまわるうんだせかいのおわりなんて)

問いかけと千の綺麗事で回る膿んだ世界の終わりなんて

(あっけのないくらいでいいとはきすてたいの)

呆気のないくらいでいいと吐き捨てたいの

(わめくふみきりがさえぎってこれですべておわりなんだろう)

喚く踏切が遮ってこれで全て終わりなんだろう

(さよならのあいずがとどろいてとけるひこうきぐも)

サヨナラの合図が轟いて溶ける飛行機雲

(がなるうつしよのきょうかいでおろかなあなたはないていた)

がなる現し世の境界で愚かなあなたは泣いていた

(かおるなつかぜにさそわれてかなしくなどないさてんごくもじごくもないのなら)

薫る夏風邪に誘われて悲しくなど無いさ天国も地獄もないのなら

(こんなどろまみれのげんじつをだれかがさばけるの)

こんな泥塗れの現実を誰かがさばけるの

(とうか、「またあいましょう」)

透過、「また会いましょう」